トップページ > カヌー > 北海道の川紹介 >

鵡川

日高山脈に源を発し、沙流川と並行するように流れて太平洋へと注ぐ鵡川。
流れている場所はお互いに近いけれど、川の様相は全く違う二つの河川。
一番大きな違いは、幾つかのダムによって分断されている沙流川と違て、鵡川の本流にはダムが無いと言うことかもしれない。
その気になれば鵡川は河口まで一気に下ることが可能なのだが、途中に赤岩青厳峡という自然が作り出した関所があるため、カナディアンカヌーで通して下るのはほぼ不可能と思われる。
流域の地質の影響があるのか、鵡川はちょっとした雨で直ぐにまっ茶色に濁ってしまう。
それでも、泥水が流れ込まない時の鵡川の水は、水質調査で日本一になったこともある沙流川よりも透明度があるかも知れない。
技術的に難しい川だけれど、ダイナミックな風景と清流を楽しむために、少し無理してでも下りたい川である。



鵡川上流部(滝の沢信号所~占冠) (難易度:3 清流度:4)

双珠別川が合流する上流部は、以前はトマム川と呼ばれていたが、現在は鵡川の名前で統一されている。
一般的な川は上流部へ向かうほど流れが激しくなるものだけれど、鵡川の場合は途中で夕張と日高の山脈に挟まれた占冠を流れるので、その付近では比較的穏やかな流れとなっている。
この区間も、途中に2箇所ほど難所となる瀬があるくらいで、比較的楽に下ることができる。
川の水も澄んでいて、隠れたカヌーフィールドと言えるだろう。
カヌークラブでこの区間を下るのは、大体が春の山菜を目的としている。山菜だけではなく、春の野草が咲き桜が山肌を彩る美しい風景を楽しめる。
ただ、この時期は雪解け水による増水が続いている時でもあり、水量が多い時は山菜を収穫するために命がけで瀬を下るなんて事態になりかねない。
適度な水量があれば快適な川下りを楽しめる区間である。


川の水位情報:鵡川占冠観測所

川下り日記:2008/5(滝の沢信号所~占冠) 2012/5(滝の沢信号所~占川橋) 2013/5(滝の沢信号所~占川橋) 2017/05(滝の沢信号所~占冠PA付近鉄橋) 2019/05(滝の沢信号所~占冠PA付近鉄橋) 2023/05(滝の沢信号所~東占冠信号所付近) 2024/05(滝の沢信号所~東占冠信号所付近)

川下り動画:2012/05(旧道下の瀬)、2013/05(増水中の瀬)、2017/05(例会の様子、水やや多め)

 


山の斜面ではエゾヤマザクラがピンクの花を咲かせ、美しい風景に癒される
 

花より山菜のメンバー

山菜を採るためにはこの瀬を下る必要あり

時には増水してこんな状態になることも

こちらの瀬も増水すると岩が完全に隠れてしまう



赤岩青厳峡(赤岩橋~ラフトゴール地点) (難易度:5 清流度:3)

鵡川の赤岩青巌峡と言えば、川下りができる道内の川の中でも難易度は最高ランクに位置する川である。
そこを大型のカナディアンで下ったという話しは、これまで聞いたことがなかった。まさか、そこを自分で下ることになるとは思ってもいなかったが、水が少ない時ならばかろうじて下る事ができる。
ただ、我が家が下ったのは赤岩橋から下流である。ラフトツアーで下る時の赤岩青厳脅威といえば、高速道路の下から下ることになる。
そこから赤岩橋までの区間は、水が少ない時でも大型カナディアンで下るのはほぼ不可能だろう。
赤岩橋から下流も、3カ所ほど厳しい瀬があり、初めて下った時は全部ポーテージしていた。
これでは赤岩青厳峡を下ったとは言えなかったけれど、2回目に下った時は1カ所半のポーテージで済んだので、これでようやく赤岩青厳峡を下ったと公言できるようになったのである。
水量にもよるけれど、無理してチャレンジすれば下れるかもしれないが、岩に張り付いてカヌーを折ってしまうリスクもある。
そうなると、他のメンバーに面倒をかけることとなり、
もう少し水が増えればもっと楽に下れるかもしれないが、そうすると本来の赤岩青巌峡の荒々しい流れが蘇ってきそうで、やっぱりここはカナディアンカヌーで無理して下るような川ではないのである。
ただ、ラフトツアーが行われている川では迫力的にはここが一番なのは間違いない。増水時にラフトでキャーキャー言いながら下った方が楽しいだろう。。


川の水位情報:鵡川占冠観測所

川下り日記:2012/07(赤岩橋~ラフトゴール地点) 2014/10(赤岩橋~ラフトゴール地点)

川下り動画:2012/07(完全版水が少なくて悪戦苦闘している様子大岩越えのポーテージの様子他のメンバーの様子)、2014/10(落ち込みにチャレンジ)

 


こんな美しい広葉い風景を楽しめるので是非とも下ってみたい川だが
 

落ち込みにチャレンジ

これくらいなら何とか下れるが

大型カナディアンでは厳しいか

この岩の上をポーテージするのは大変だった



ニニウ~富内 (難易度:4 清流度:3)

占冠から下流は、エキスパートだけが下れる赤岩青巌峡があるため、一般のパドラーはニニウ付近から下ることになる。
この区間は下る距離が長いので、1日のツーリングでで下るのは福山大橋から上流と下流のどちらかの区間になる。
どちらも、大きな岩がゴロゴロと転がる瀬が連続し難易度は高い。それでも、急な流れの中でカヌーの方向をコントロールできるだけの技術があれば、ベテランのサポートの下でチャレンジすることは可能である。
この区間の魅力は、瀬を下る楽しさに加えて、周りの山々のダイナミックな景観である。大きな川なので、河畔林に遮られることなくその景観を満喫できるのだ。
それと、自然度の濃さも魅力だろう。元々が熊の気配が濃厚な地域である。
川に沿って細い砂利道の道道が通っていたけれど、土砂崩れ等により長い間通行止めになったままで復旧の見通しも全くない。
人里離れたこの山の中に入っていくには、現在はカヌーで川を下るしか方法は無いのである。
しかし、川に沿う道路が通れないため、川下りの際の車の移動は大変である。
福山大橋上流部は、国道274を十勝方向に走って、途中から占冠への道道へ入り、赤岩青厳峡からニニウ方向へ川に沿って下っていく。
福山大橋下流部は国道274を札幌方向に走って、途中から穂別町へ向かい、穂別町からは川沿いを富内まで上がっていく。
どちらも大変な遠回りである。
高速道路の工事が続いていた頃は、その影響で川の水が濁るのだろうと思っていたが、工事が終わってしばらく経っても、雨が降ると直ぐに川が茶色く濁ってしまう。
川を下っていても山の斜面が大きく崩落している個所を目にするが、この地域の地質の影響があるのかもしれない。
しかし、泥さえ流れ込まなければ、美しい清流の川下りを楽しめるのも、ここの良い所なのである


川の水位情報:福山観測所

川下り日記:2005/6(福山大橋~富内) 2008/6(ニニウ~福山大橋) 2009/10(福山大橋~富内) 2011/8(福山大橋~富内) 2011/10(ラフトゴール地点~福山大橋) 2014/05(ニニウ~福山大橋) 2014/08(福山大橋~富内) 2014/10(ニニウ~福山大橋) 2015/10(ラフトゴール地点~福山大橋) 2016/10(道東道鵡川橋下流~福山大橋) 2017/06(道東道鵡川橋下流~福山大橋) 2017/07(福山大橋~ニタカイ沢川) 2017/10(道東道鵡川橋下流~福山大橋) 2018/05(道東道鵡川橋下流~福山大橋) 2021/10(道東道鵡川橋下流~福山大橋)

川下り動画:2009/10(増水の福山下流で死にかける)、2011/08(増水の福山下流、擁壁の瀬他のメンバー擁壁の瀬瀬1瀬2ゆったり下る崖の風景岩避け斜面崩落個所他のメンバー大岩の瀬)、2014/05(清流を下る福山大橋手前の瀬)、2015/10(増水の福山上流)、2017/06(ソロで福山上流)、2017/06(福山大橋手前の瀬)、2017/07(渇水の福山下流)、2017/10(バク転の瀬沈脱祭り)

 


こんな風景を眺めながら下っていけるのがこの区間の魅力である。
 

こんな大岩が出迎えてくれる

紅葉の美しさは特筆ものだ

巨大な岩がゴロゴロしている核心部へと入っていく

核心部の途中で一息つけるポイント

こんな水を見ると下らずにはいられない

これくらいの時に下るのが一番楽しい

下流部ではこの風景に驚かされる、下の構造物は
道路の覆道だけれど、これでは開通することは無理だろう

山肌が崩れたこんな風景が続く
 

山肌が崩れたところでは
その崩れた岩で瀬になっているところが多い

発電所の跡らしいが、昔はこの川沿いにも
人の気配があったのだろう



富内~豊田 (難易度:2 清流度:2~3)

荒々しい流れが続いていた鵡川も富内付近からは穏やかな流れへと変わり、初心者でも安心して下れるようになる。
瀬と言えそうなものも殆ど無い。
川幅も広がり、ここから先はのんびりとしたロングツーリングを楽しみたいパドラー向けの川と言える。
ただ、穂別町を過ぎる辺りから急に川の濁りが目立ってくるのが気になるところである。
この先、海まで下ることも可能だが、なかなかそのチャンスが巡ってこない。


川の水位情報:穂別観測所

川下り日記:2006/6(富内橋~穂別橋)  2008/6(穂別橋~豊田)

 


回りの山とは距離が離れ、流れも穏やかになる
 

所々で川岸の変化も楽しめる

まだ流れがあるので下りやすい




ページトップへ