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鵡川

(滝の沢信号所〜占川橋)

カヌークラブの5月例会初日は鵡川の上流部、JRの滝の沢信号所付近から占橋までを下る。この区間は4年前の5月例会でも下っているところだ。
その時には、川下り中にアイヌネギなどが沢山収穫できたので、今回も川よりも山菜目当ての例会といった雰囲気である。
川の水位は前回下った時よりも30センチ近く下がっていた。
普段ならば、「もっと水が増えなければ面白くない」と文句を言うようなメンバーも、「水が少ない方が山菜を採るのに上陸しやすいから」などと言っているくらいなのだ。

集まったメンバー道東自動車道が十勝まで繋がって以来、訪れる人もガクッと減ってしまった占冠の道の駅に集合。
前回の例会での20人以上が集まったのに、こちらの方も参加者がガクッと減ってしまい、集まったのはわずか11人だった。

スタート地点へ移動。
水量は少ないけれど、水の濁りもなく、川底の石まではっきりと見えている。
ただ、残念なことに空が曇っているので、その川底の石がキラキラと光るような光景にまではなってくれない。

川に出る前に、そこでいきなりコゴミの収穫が始まった。
川下りがスタートもう最初から山菜モードに突入である。
湿地に生えているイメージの水芭蕉が、川岸の所々で花を咲かせている。

スタートしてまだ500m程しか下っていないのに、先を下っていたメンバーがいきなり舟を降りた。
見上げると、そこの斜面一帯は完全なネギ畑となっていた。
全員がスーパーのレジ袋を手にして辺りに散らばる。
ライフジャケットに取り付けたまま使う機会のほとんどないレスキューナイフが、ここぞとばかりに活躍する。
ネギに混ざってサクラソウややオオバナノエンレイソウも花を咲かせている。


アイヌネギの収穫   アイヌネギと花
一斉にアイヌネギの収穫が始まった   アイヌネギに混ざって春の野草が咲く

20分ほどそこで収穫してから再び下り始める。
川は、上流部へ向かう程流れも激しくなるのが普通だが、鵡川のこの区間は2か所ほど緊張を強いられる瀬がある程度で、その花を観察他は比較的穏やかな流れとなっている。
そのために皆の視線は、川の流れよりも川岸の斜面に向けられたままである。

その中でK島さんだけは一生懸命花を探しているようだ。
特に目を惹くのが岩場に咲くピンクの可憐な花。
同じ花かと思っても、良く見ると花びらも葉も全然違っていたりする。
ソラチコザクラとヒダカイワザクラらしい。
葉の形の違いとかを説明するK島さんの回りで、男達がもっともらしい顔でうんうんとうなずいていたが、直ぐに興味を失ってまた山菜を探しに行ってしまう。

山の緑はまだ薄いけれど、所々で花を咲かせるエゾヤマザクラが美しい。


ヒダカイワザクラ   ソラチコザクラ
ヒダカイワザクラ   ソラチコザクラ

サクラが咲いている
サクラを眺めながらの川下り

ネギに命をかける再び前を下っているメンバーが上陸し始めた。
I山さんがネギを求めて、滑落も恐れずに急な崖をよじ登る。
山菜にそこまで命をかけるのかと感心してしまう。
ここでも時間がかかって、結局そのまま近くで昼の休憩に入ることにした。
まだスタートしてから2キロも下っていないのに、ゴールに着くのは一体何時になるのだろう。

最初の瀬が近づいてきた。
前回は初級者も混ざっていたので、手前で上陸して下見をしたけれど、今回はそのまま下ってしまうようだ。
水が少ない分、流れの激しさは無いが、逆に岩避けに忙しくなる。
途中でカヌーが後ろ向きになってしまったけれど、慌てずにもう一度向きを直して、その瀬をクリアした。
岩だらけの瀬を下る前回下った時の川下り日記を読み返すと、緊張で口の中がカラカラになる状態でここを下っていたようだ。
その時と比べるといくらかは進歩しているのかもしれない。(I山さんのヘルメットカメラによる瀬の動画

I山さんがタランボを見つけて上陸する。
アイヌネギやウドばかり探していたけれど、タランボは予定外だった。
川岸の様な環境にタランボなど生えていないと思っていたのだ。
「えっ?どこにあるの?」って聞かないと分からない様な場所に生えているのに、I山さんの優秀な山菜センサーはそれを見逃さないのである。
後はウドがあれば申し分ないのだけれど、なかなか見つからない。

カヌーに乗ったままネギの収穫それにしてもアイヌネギはそこら中に生えていた。
カヌーに乗ったままでも収穫できる場所さえある。
少し大きくなりかけているけれど、もう1週間早ければ上物のアイヌネギをカナディアンカヌーが一杯になるくらいに収穫できたことだろう

山菜以外にも、エゾノリュウキンカやニリンソウにサクラソウ、岩場で咲くソラチコザクラとヒダカイワザクラ、花も楽しめる川下りである。

 



エゾノリュウキンカが美しい   お花畑
川縁を彩るエゾノリュウキンカ   崖を登った上で見つけたお花畑

ウドを積んで下ってきたO橋さん先頭の方を下っていて途中で後ろを振り返ると、他のカヌーの姿が見えなくなっていた。
またどこかでネギ畑でも見つけたのだろう。
川原に上陸して待っていると、ややしばらくしてからようやく後続部隊が追い付いてきた。
O橋会長の舟を見ると、ウドらしきものが頭を出していた。
今度はウド畑も見つけたらしい。
私達も一生懸命ウドを探していたのに、全然気が付かなかった。

その先でもまたI山さんの山菜センサーにウドが反応したようだ。
そのコツを聞いてみると、前年の枯れたウドを目印にして探しているとのこと。
ウドを探すには去年の枯れたものを目印に今までは緑色の物体だけに注意を払っていたので、それでは他の植物も一杯生えている中でウドを見つけるのは確かに無理である。
それを参考に斜面を探していると、結構あちらこちらにウドが生えているのが分かった。
今度は枯草ばかりに目がいってしまう。

前方に橋が見え、I山さんが「そろそろゴール近くの橋かな?」と言う。
しかし、GPSで確認してみると、まだ3分の2までも下ってきていなかった。
下っている時間よりも山菜を採っている時間の長いくらいだからこれも当然だろう。
その後は山菜に向ける時間を少しだけ減らして、先を急ぐことにした。

そうして2か所目の瀬にやってきた。
ここでは全員が一旦上陸する。
2か所の落ち込みがクランク状に繋がっている瀬である。
2カ所目の瀬前回はかみさんが逃げ出して、私一人でここを下っていた。
水が減っていたので、流れの中に前回は無かったはずの岩が頭を出していたが、それは大して邪魔にはならないだろう。
嫌がるかみさんを引っ張って、チャレンジすることにした。
最初の落ち込みを回避するチキンルートもあるけれど、それじゃあ面白くない。
ヒーローコースへ向かって下っていくと、ギャラリーから「おっ!ヒーローコースだ!」と驚きの声が上がる。
最初の落ち込みの後、上手くカヌーの向きを変えられず対岸まで流されたが、二つ目の落ち込みの先では予定通りのルートで瀬をクリア。



その後は他のメンバーが下ってくる様子を撮影する。
O橋会長は山菜を満載した舟で、慎重にチキンルートから下ってきた。
ところが、二つ目の落ち込みの先で予想外の沈。
ウドは大丈夫か?期せずにして皆から悲鳴が上がる。
その悲鳴はO橋会長に対して向けられたものではなかった。
「ウドが流される〜!」
「ネギは大丈夫か〜!」
誰もO橋会長のことなど気にもしていないのだ。
可笑しくてお腹を抱えて笑ってしまう。
幸い、積んであった山菜は全て無事で、逆に鵡川の清流で洗われて、更に美味しさが増したかもしれない。

ゴール間近になってようやく青空が広がってきた。
どうせなら最初からこの青空の下を下りたかったけれど、一番の目的だった山菜はたっぷりと収穫できて、何の不満もない楽しい川下りだった。

この日の夜はかなやま湖スポーツ研修センターに宿泊して、美味しい山菜料理のに舌鼓を打ったのである。


上陸地点  
ゴールする頃に良い天気に   炊事室で山菜パーティー

2012年5月19日 曇りのち晴れ
当日12:00 鵡川水位(占冠観測所) 330.15m


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