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鵡川

(ニニウ〜福山大橋)

カヌークラブ10月例会初日は、5月にも下っている鵡川のニニウから福山までの区間。
今年は8月にも福山から下流を下っていて、昔は敷居の高かった鵡川も、今は例会で気軽に下れる川に変わっていた。
紅葉の鵡川これは決して川の難易度が下がった分けではなく、また、会員のスキルが上がったわけでもなく、ただ皆の感覚が麻痺してきていることによる気がする。

初日はその、感覚が麻痺したメンバー16名が集まった。
スタートは、何時もと同じニニウキャンプ場上流の川原。
水はかなり少ないけれど、その分、水の透明度は申し分ない。
それに、何と言っても上空の青空と周りの山々の紅葉が素晴らしい。

O橋さんが「山が燃える〜」と口ずさんでいたが、本人の口からそれが「天城越え」の一節であることを言われるまで、誰もそうとは気付かなかったようだ。
それでもO橋さんの気持ちだけは伝わってきた。
紅葉の鵡川太陽の光に照り映える山々は、紅葉に染まって正に燃え上がるような色合いなのである。

水量が少ないので、川の流れは全く以って穏やかである。
流れに舟をまかせて、紅葉の山々を眺めながら下っていく。
川の水がこれだけ少ないのに、歴舟川などのように座礁しないで下れるのが嬉しい。

営業を再開したニニウキャンプ場の周りを半周するように鵡川は流れていく。
ここのキャンプ場に最後に泊まったのは、もう10年以上も前のことになる。
せっかく直ぐ横を川が流れているのに、キャンプ場からはその存在に気付くことはほとんど無く、何だかとても勿体ない気がする。


紅葉の鵡川
この辺りがキャンプ場の裏になる

紅葉の鵡川   紅葉の鵡川
紅葉と水の反射が眩しい   川の水も赤く染まる

高速道路の下をくぐる緩やかなカーブを描きながら、鵡川の遥か上を通っている高速道路の下を通り抜ける。
これから先、鵡川はいよいよ人の気配の感じられない山の中へと入っていく。
川沿いには道道占冠穂別線が通っているのだけれど、数年前から通行止めになったままで、開通させるための工事が行われている様子も無い。
まるで、深山幽谷の中に迷い込んだような感覚である。

それでも途中までは車で入ってこられるようで、私たちが昼食のために上陸した川原の対岸では、男性が一人でボルダリングの練習をしているところだった。
山の中で静かに岩登りをするつもりが、突然カヌーの大集団が現れ、おまけに目の前の川原に上陸されては、彼も迷惑に感じていたかもしれない。


ボルダリング   昼の休憩
ボルダリング中の男性   ボルダリングを見学しながら昼の休憩

鵡川の大岩鵡川のこの区間を下っていると、ボルダリングをしたくなるような巨大な岩があちらこちらに現れる。
その中でも一番大きな岩が、そこから少し下った場所で川の中に立ちはだかっている。

私もその上に登ってみようと思って、登れそうな所を探してみたが、それこそボルダリングの技術が無ければ手に負えないような岩である。
昔、F本さんがこの岩の上から飛び降りたことがあったが、一度登ってしまうと川に飛び降りる以外に降りる方法がないと言うことが、今回初めて分かった。

水が少ないこともあり、瀬というような瀬も現れないままに下っていく。
この区間の鵡川ってこんなに穏やかな川だったろうか?
5ヶ月前に下ったばかりなのに、その時の記憶があまり残っていない。
見覚えのある風景これは他のメンバーも似たようなものだった。

その理由は高齢化に尽きる。
昨日の事さえ直ぐに忘れてしまう人達が、数ヶ月前のことなど覚えているわけがないのである。
おかげで、毎回新鮮な気持ちで川を下れるので、これはこれで良いこともあるのだ。

それでも、比較的症状の軽いかみさんが、「ここって前回沈脱祭りのあったところじゃない?」と聞いてきた。
右岸側に見えてきたコンクリートのよう壁。
確かにそうかもしれない。
前回誰かがバクテンの瀬と呼んでいたところだ。

前を下っているカヤックの姿が突然見えなくなる。
結構な落差の落ち込みになっているようだ。
近づいていくと、落ち込みの先で波が左右から被さってきて、複雑な流れになっているのが分かる。
沈寸前どんな事態にも対応できるような心構えで、瀬の中に突入。
その瞬間、横波を受けてカヌーが大きく傾く。
完全に沈を覚悟したが、何とか体勢を立て直すことができた。
今シーズンは同じような形で何度か沈を免れたことがあり、リカバリーだけは上達しているのかもしれない。
もっとも、リカバリーといってもパドル操作で回避しているわけではなく、ただ身体のバランスを保っているだけなのである。

後続メンバーも、1回転したり、岩に衝突したりと苦労しながら下ってきたが、前回のような派手な沈脱祭りとまではならずに済んだ。
これも、水が少なくて瀬のパワーも弱まっているからなのだろう。


鵡川バク転の瀬   鵡川バク転の瀬
バク転の瀬   複雑な流れに翻弄されるカヤック

紅葉の鵡川
太陽に照らされた紅葉は本当に美しい

岩除けが連続するこの区間の核心部も、余裕を持って下ることができた。
今回の一番の難所は、やっぱりバクテンの瀬だったと言えそうだ。

下り始めたときは青空だったのに、上空は次第に雲の面積の方が多くなってきていた。
せっかくの紅葉も、曇り空では映えないが、それでも一目で見渡せる山々全てが錦に染まる風景は感動的だ。
今年の紅葉は赤の色付きが良いと言われているが、時々ドキッとさせられるくらいに真っ赤に染まった樹木があって目を奪われる。


岩だらけの鵡川核心部
岩だらけの流れがずーっと続いている核心部

鵡川の紅葉   核心部への入口

今年の紅葉は赤が鮮やかだ

  いよいよここから核心部へと入っていく

穏やかな鵡川川の流れは相変わらず緩やか。
一生懸命漕がなければ前に進まないところに、時々強い向かい風が吹き付けてくる。
何時も以上に下るのに時間がかかっている。

ようやく前方に国道を走る車の姿が見えてきた。
しかし、その手前に最後の瀬が待ち構えている。
前回はそこでも危うく沈しかけていた。
緊張しながら瀬に入ったが、ここもやっぱり簡単にクリアして、ゴールの福山大橋に到着。

今回の水量ならば、川の難易度も1ランク下がりそうな感じである。
紅葉を愛でながらのダウンリバーにはちょうど良いところだった。
ゴール直前の瀬ただ、並行する道道が通れない分、車の回収には時間がかかりのが難点である。
スタート地点に止めてある車を取りに戻り、ゴール地点でカヌーを積み込み、今回の例会の宿泊場所である日高青少年自然の家に着く頃には、既に辺りは暗くなっていた。

2014年10月11日 晴れ時々曇り 
当日12:00鵡川水位(福山観測所) 168.44m 


鵡川川下りゴール地点
車の回収を終えて戻ってくる頃には既に夕暮れが近付いていた

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