北海道キャンプ場見聞録
天塩川
道北の大河天塩川は、河口から約160キロ、堰堤などの障害物に妨げられることなく川を下れることができて、その距離は日本一だそうである。 そのために、流域の町ではカヌーによる町興しなども盛んで、北海道カナディアンカヌークラブ主催で毎年行われるカヌーツーリング大会(ダウン・ザ・テッシ-オ-ペッ)には、カナディアンカヌーを中心として200艇ものカヌーが参加する。 のんびりとしたダウンリバーがとてもよく似合う川である。 と思っていたが、初めて参加したダウンザテッシでは、他のカヌーはまるでレースでもやっているかのように必死になって漕ぐものだから、のんびりとしたダウンリバーは全くできなかったのである |
名寄大橋~河口 (難易度:2~3 清流度:2~3)
要所要所にカヌーポートが整備され、川からアクセスできる場所に温泉付きのキャンプ場も幾つかあり、ロングツーリングするにはおあつらえ向きの川である。
ただ、障害物に遮られることなく160キロを下れるとは言っても、実際にツーリングに適した区間は名寄から中川までの100キロ程度だと思われる。
そこから先は、風景も単調で流れも緩やかになり向かい風が吹くことも多く、ただひたすら河口を目指して漕ぐこととなり、一部のストイックなパドラー向けの区間と言えるだろう。
天塩川には、ゆったりと流れる大河のイメージがあるけれど、中川町までの間には結構瀬もあり、テッシと呼ばれる難所も現れる。
天塩川の名前はアイヌ語の「テッシ-オ-ペッ」(梁(やな)・多い・川)に由来しており、岩が梁の様な形で川を横断している場所が所々にあるのだ。
他の川だと、増水すると危険な流れにかわることが多いが、天塩川の場合は瀬の波が極端に大きくなることも無く、テッシも水没し、増水した方が下りやすくなる気がする。
ただ、それはある程度のスキルがあるパドラーの場合で、一般的には水が少ない方が安全に下ることができるだろう。
ただし、テッシの部分だけは、落差があったり通過できる場所が限られたりするので、慎重なスカウティング、もしくは経験者の同行が必要である。
水質は、この様な大河の宿命として、お世辞にも綺麗とは言えない。
特に気になるのは、周辺が酪農地帯なのでそこから流れ込むし尿である。
ただ、川の水からし尿の臭いが漂っていたのはもう20年以上前の話しであり、最近は堆肥場の管理も厳しく指導されるようになっているので、昔のようなことはないだろう。
2019年のダウンザテッシで下った時は過去に例のないような渇水状態だったが、瀬の中では川底の石が確認できるくらいに水は澄んでいた。
川の水位情報:名寄市名寄大橋、美深町美深橋、美深町恩根内、音威子府村茨内、中川町誉平、天塩町新問寒別橋、天塩町円山、幌延町天塩大橋、天塩町天塩河口
川下り日記:1997/7(音威子府~中川) 2010/7(びふかアイランドカヌーポート~天塩川温泉) 2018/07(ダウンザテッシファーストステージ、サードステージ、ファイナルステージ) 2019/07ダウンザテッシ1日目(美深~音威子府)、2日目(音威子府~中川) 2023/07ダウンザテッシ1日目(びふかアイランドカヌーポート~音威子府村 川の駅「中の島」)、2日目(川の駅「中の島」~佐久橋上流右岸)
川下り動画:2018/07(ダウンザテッシファーストステージ、サードステージ、ファイナルステージ)、2019/07ダウンザテッシ1日目(美深~音威子府)、2日目(音威子府~中川)
天塩川を下っていると道北の空の広さを実感できる
初参加のダウンザテッシ、川を埋め尽くすカヌー
真っ青な空が広がると気持ちが良い
曇り空で水も茶色く濁っているとテンションダウン
回りに山が見えている時は
下っていて風景の変化を感じられるが
下流部に入ってくると風景の変化を感じるのは
橋を通過する時くらいだ
さすがにカヌーが盛んな天塩川だけあって
途中の橋には距離表示も出ている
天塩川は増水している時の方が下りやすい
増水すると河原が水没し
休憩できる場所も少なくなる
利尻山が見えてくると河口も近い
オントルイの風車群も見えている
下流部では川幅は200mを越え
流れも緩くなり向かい風が吹くと修行の川下りとなる