北海道キャンプ場見聞録
千尺高地(2017/02/12)
初めてのバックカントリーは
カヌークラブのO橋さんのバックカントリーデビュー。
初めて登る山は千尺高地。
雪山ガイドでは初級の山として紹介されているけれど、「初級=簡単に登れる山」ということではない。
それは私も十分に経験して分かっていた。
この日はおまけに天気もパッとしなかった。
雪がチラチラと舞い、尾根まで上がれば風も強そうである。
出発前
何時も車を停めていた駐車場までは除雪されていたなったが、道路から駐車場への入り口付近が広く除雪されていたので、そこへ車を停める。
参加者は10名。
O橋さんは、これまでゲレンデでボードに乗っていたけれど、バックカントリーデビューのために更に20万かけてビーコンやスノーシュー、ザック等一式を揃えてこの日に臨んでいた。
ボード組みは、他にたけちゃんとめぐちゃん。
めぐちゃんはスプリットボードなので、O橋さんとたけちゃんがスノーシューで登る。
何時もは夏道コースであるスキー場跡の斜面から登り始めていたが、今日は林道の方にしっかりとしたトレースが付いていたので、そちらに進む。
そのまま林道を登っていくのが胡桃沢林道コース。
私は今回は林道コースを登ってみたかったけれど、他のメンバーが夏道コースへ行くと言うので、途中から林道を離れて夏道コースに合流。
早くも疲れ気味のO橋さん
地形図を見る限りでは、下りは林道コースの方が登り返しも無くて楽そうである。
しかし、自信を持って他のメンバーをそちらへ連れて行くほどの確信は無いのである。
1時間ほど登ったところで最初の休憩。
O橋さんが早くもへたり込む。
まだ本格的な登りは始まっていないのに、少し早過ぎる気もする。
普段の生活で長い距離を歩くことは殆ど無いと言うのに、慣れないスノーシューで雪の上を歩くのはそれだけで疲れるのだろう。
雪化粧した立派なエゾマツが姿を見せ始めるが、O橋さんにそんな風景を楽しむ余裕は無さそうだ。
天気が悪いことも災いしていた。
これが、真っ青な空を背景にした真っ白な森の姿だったならば、どんなに疲れていたとしてもその美しさに感動するはずである。
バックカントリーの楽しさは、滑ることだけではないのである。
足元だけ見つめながら登り続けるO橋さん
尾根の上に出てくると、予想通りに風も強くなってくる。
この状況では、バックカントリーの楽しさなど感じるはずもない。
O橋さんが「身の危険も感じる」と呟いていたけれど、それは正直な感想だろう。
楽しいだけがバックカントリーではなく、最初にこんな状況を経験できたのは、むしろ良かったのかも知れない。
そろそろ2度目の休憩を取りたい時間だったが、風が強く吹き付けてくる中では休んでいることもできない。
先頭グループに必死についていくその姿は涙ぐましく、男の意地さえも感じさせる。
後ろから登ってくるグループとの距離も大きく開いていた。
ガスがかかり、周りの風景が白く見える。
それでも見通しはそれ程悪くは無く、幻想的でなかなか美しい風景だ。
山頂間近で陽が射してきた
吹雪の中から後続メンバーが姿を現した
雲の中にぼんやりと太陽が姿を現し、辺りも少し明るくなる。
そんな中、登り始めてから2時間半で山頂に到着。
吹き付けてくる風雪で顔が痛い。
後続グループが地吹雪の向こうから姿を現す。
厳しい自然の中の美しさをそこに感じた。
吹雪の中で、各自黙々と滑走準備を整える。
滑るのは北斜面。
何時もならば順番に滑り降りるのだが、強風が吹きつける中で待っているのにも耐えられず、次々と滑り降りていく。
最初の急斜面はあっと言う間に終わってしまった。
登ってきた夏道に合流するためには、そこからトラバース気味に滑らなければならない。
しかし、そのまま真っ直ぐに滑り降りているトラックがあった。
それが多分、胡桃沢林道コースへ繋がっているのだろう。
私のGPSに登録してあったルートとも合っているので、そのトラックを道案内にして滑っていく。
下
残念ながら滑っている途中の写真は無し
界の気温は上がっていても、山の上はまだ氷点下。
新雪も積もっていて、雪質だけで言えば今シーズン一番のふわふわパウダーかもしれない。
O橋さんも、バックカントリーを滑る楽しみに目覚めたみたいだ。
樹木は多いけれど、予想していた通り無駄な登り返しはほとんど無い。
ボーダー組みも苦労しないで、滑りを楽しんでいる。
林道に出てきた後は一気に駐車場所まで滑り降りる。
これならば、登る時も林道コースの方が楽かもしれない。
千尺高地の新たな魅力を感じた山行だった。