ここのホテルは、1階に無料で使えるネットに繋がったパソコンやコインランドリー、カンタンな炊事ができるスペースまであって、なかなか便利である。
料金も安く、そのためか外人旅行者らしき人も沢山泊まっていた。
朝8時発の高野山行き特急こうやに乗るため、早めにホテルを出る。
朝早くから路上でぶらぶらしているおじさん達。
「大阪って、こんなおっさん達がが多いんやな~」
いつの間にか、頭の中で考える言葉まで大阪弁になっていた。
歩道上の怪しげな店は更に数が増えていた。
「一体ここは何なんだろう?」と考えながら、駅前にある大きなビルに掲げられていた看板を見て、ようやく納得することができた。
「あいりん職業安定所」
でも、昨夜の路地で見かけた男達は、やっぱり売人だったのかもしれない。
日曜日だけあって、特急こうやの座席は満席になっていた。
終点極楽橋からはケーブルカーに乗り換えて、山の上の高野山駅に到着。
直ぐにまたバスに乗って大門へと向かう。
ようやく高野山を歩き始められた頃には、既に午前10時になっていた。
今回の旅では、日帰り日程で高野山散策を組み込んだけれど、交通の便があまり良くないので厳しい行程になってしまった。
それでも、大門から高野山奥の院まで歩く時間は確保できて、熊野古道と一緒に世界歴史遺産に指定された高野山の雰囲気だけでも味わうことができそうである。
まずは、1705年に再建された巨大な大門を通り抜けて高野山ウォークの始まり。
次に向かったのが伽藍。根本大塔や金堂などの建物があるけれど、どちらも昭和に入ってから再建された建物なので、全く興味が湧かない。
信仰心があるわけでもなく、私の価値基準は、その建物の建設年代だけなのである。もちろん、古ければ古いものほど、感動が大きくなるのは言うまでもない。
建物よりも私達を喜ばせてくれたのは、鮮やかに色づいたモミジである。
今年はなかなか美しい紅葉を見る機会に恵まれず、ちょうど札幌付近の紅葉が見ごろを迎える頃に旅立ってしまい、多分帰る頃にはその紅葉も散ってしまっているはずだ。
その諦めかけていた紅葉を、まさか高野山で楽しめるとは、全くの予定外だった。
特に、北海道のモミジと違って葉が小さく、繊細な面持ちのこちらのモミジの紅葉は、かみさんの大のお気に入りでもあるのだ。
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