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歴舟川

(農村公園キャンプ場 〜 大樹橋)

 今年になってカヌーに乗ったのは美々川の1回だけ、これでいきなり歴舟川のカナディアン一人漕ぎとなるとさすがにちょっと心配になってきた。
 そこで、この1週間前に十勝の実家に帰省するので、ついでに軽く十勝川を下ってトレーニングしておくことにした。
 十勝川を下ったのは5年前、屈足の新清橋から清水町の上川橋まで、その時からいくらかはスキルアップしているだろうから、今回は芽室町あたりまで下るつもりで下見に出かけた。
 まずは芽室町の祥栄橋、橋のちょっと上流左岸に車を乗り入れられる河原あり、理想的な上陸地点である。
 次にその上流の十勝橋、橋の下流直ぐに流木の山があり、川の流れが轟々とそれにぶつかっている。
 あれに吸い込まれたら命落とすかも・・・。
 まあ、それもな、なんとか避けるくらいの技術はあるだろう、次の清水大橋に向かう。
 ここもまた橋桁に大量の流木がひっかかり、川の流れも相当に速い。おまけにそれを過ぎた先には・・・。
 なんだこりゃあ、川が流木で塞がっているではないか。
 流れの中央に立てられた水位計(?)に流木がからまり、川幅の2/3程が通れなくなっているのだ。
 や、止めた、止めた、こんな川はファミリーで下る川ではないや、あっさりと敵前逃亡する事に決めたのである。
 しかし、自信喪失・・・。
 こんな事ではいつまでたっても一人前のパドラーにはなれない。何とか歴舟川で自信をつけなくては。

 今回のメンバーはKさん父娘、Yさん夫婦(?)それに私の5人、他の4人はカヤックなのに、私だけカナディアンでそれも一人で漕がなければならない。
 KさんのアドバイスでALLYのシートを中央部に付け替える。
 幅の関係で絶対に中央にはシートを付けられないと思っていたのだが、パズルのような感じで足の向きを変えたりして、ちょうど良いポジションにセッティング出来た。
 これで完璧、キャンプ場前の瀞場で早速パドリングの練習をする。
 久しぶりのカヌーなのでそれだけで疲れ切ってしまった。
 川の水量が少ないため、今回下るのは大樹町市街までということになる。
 個人的には河口まで下りたいという希望があったのだが、後でそれは全く無理であることを痛感させられることになった。

 早速スタート、すぐに小さな瀬に突入する。
 瀬とは言っても、水量が少ないので、全然迫力はない。
 カヌーの腹をこすらないように、少しでも水深が深いところを縫うようにパドリングしなければならない。
 そこの最後に少しだけ波が高い場所が有ったが、無事に通過して瀞場で一息つく。
 ちょっと不安だった一人でのカヌー操作も、全く問題はなかった。
 かえって一人の方が、自分の思うように操作できるし、前方の見通しも良く、水中に隠れた大きな石を避けながら漕ぐのには都合が良い。

 今下ってきた流れを振り返ると、どことなく見覚えのある景色だ。
 !!、そう、そこは我が家が記念すべきカヌーでの初沈をした場所だったのだ。
 今回は、その時よりも波が小さく、リベンジを果たしたという気にはなれないが、前回よりもかなり余裕を持ってクリアできたことは確かである。
 その後も、時々現れる瀬を楽しみながらのんびりと下っていく。
 前回の初挑戦では、周りの景色を眺める余裕もほとんど無く、流れの中央をただひたすら前へ前へと漕いでいくような有様だった。
 それに比べて今回は天気も最高、周りを眺める余裕も出来て、瀬の中では自然と鼻歌まで出てくるような気分である。
 あまり余裕を持ちすぎてのんびり下っていたので、気がついたら他のメンバーからかなり遅れてしまっていた。
 慌てて漕ぎはじめるが、ここが一人漕ぎの悲しいところ、なかなかスピードが上がらない。
 おまけに、久しぶりのカヌーだったので直ぐに手の皮が擦りむけてしまい、力も入れづらい。
 やっぱりカナディアンは二人で漕ぐものである。
 そんな状態だったので、休憩の声がかかったときは、ホッとした。
 よれよれになりながらの上陸である。

 おにぎり二つでようやく体力回復。
 ゴール地点まではもう少しだ。
 その日の歴舟川は本当に穏やかすぎるくらいの流れだったが、岸辺を見ると、所々に引っ掛かっている流木の山が増水時の様子を物語っている。
 きっと、水量が少し増えただけで川の難度は急に上がるのだろう。
 出きれば、自分のテクニックのぎりぎりのところで下れるような流れの中を漕いでみたいなー、と思いつつ、相変わらず鼻歌を歌いながら瀬の中を下っていった。
 前回の時のもう一つのトラブル、瀬の途中で水中の障害物にひっかかり、身動きがとれなくて途方にくれた場所、その場所も少し手前で確認して余裕を持ってその横を通り抜ける。
 あんな場所に引っ掛かっただけでパニクってたんだなー、と懐かしくなってしまう。
 そこを通り過ぎたらゴール地点は後少しだ。
 さわやかな風が川面を伝ってきた。火照った体に優しく吹き付ける。
 あ、あれっ、カヌーが・・・
 軽量なALLYは、さわやかな風に吹かれて簡単に向きを変えてしまうのだ。
 手の力も無くなってきているので、パドルでの抑えも効かない。
 風に吹かれてクルクル回りながら、やっとゴール地点までたどり着いた。
 そのゴール地点だが、水の流れているところが車を置いてある場所とやたら離れている。
 疲れた体にむち打って、一人でカヌーを担いで車のところまでトボトボと歩きながら考えた。
 やっぱり、瀞場と向かい風とカヌーを運ぶときだけは、かみさんにいて欲しいなー。

 最高に気持ちよくて、ちょっとだけ物足りない、歴舟川の川下りだった。


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