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石狩川大函小函(2022/07/17)

層雲峡でラフティング

カヌークラブ7月例会は、会員の事故のこともあって初日のレスキュー講習会だけで終わることになっていた。
それでも川に貪欲なNもとさんは、今回の宿泊先であるアルパインリバーガイドのラフティングツアーに申し込んでいたのである。
私も、石狩川の大函小函を下れるとなると黙ってはいられない。

2008年の秋に一度、カナディアンでここを下っているけれど、その後は一度も下れてはいなかった。
もともとはカナディアンで下るような川ではなく、その後流れも少し変わったらしくカナディアンでは無理だろうと言われ、すっかり遠ざかっていたのだ。
ここを下るためには、ラフトに乗るしかもう手段は無いのである。

層雲峡大函小函ラフティングツアー
ラフティングはここからスタート


クラブからは当日朝になってHかわさんが飛び入り参加。
他にウッチーが、SK(セイフティカヤック)の名目で参加。
この日の大函小函の水量は層雲峡観測所で626.58m。ウッチーが先日、増水したこの区間を下った時の水位を軽く超えていた。

層雲峡大函小函ラフティングツアー
この水位を見てウッチーはビビっていた


それを見て下るのを諦めていたのに、ラフティングツアーのお客さんでスパッツ姿の若い女性を見た途端に「俺、やっぱり下るわ!」とコロリと態度を変えたのである。
皆から、SKはスパッツカヤックだとかスケベカヤックだとか、散々冷やかされたのは言うまでもない。

層雲峡大函小函ラフティングツアー
参加者で記念撮影


一般参加者は3組6名、それに私達3名が加わってラフト2艇で下る。
出発前にヘルプガイドのハルナさんからのレクチャー。
はるなさんは、ネパールの激流で鍛えてきた猛者だけれど、とてもそんな感じには見えない優しいお姉さんといった感じだ。

層雲峡大函小函ラフティングツアー
ハルナさんのラフトに乗りたかった~(笑)


レクチャーの後はそれぞれのラフトに分かれて、陸上でのパドリング練習。
ラフティングツアーではお約束の一つなので、私達も一緒に乗る若いカップルと一緒に「いちに、いちに」と声を揃えてパドリング。
私達の乗るラフトのガイドはトシさん。
ハルナさんがガイドに付いてくれるのかと思っていたが、ベテランのお客さんということで敬遠されたようだ。

確かに、クラブのメンバーがラフトに乗った時の話を聞くと、自分の漕ぎたいように漕ぐものだからガイドさん泣かせになっているらしいので、賢明な選択と言えるだろう。

層雲峡大函小函ラフティングツアー
私達のチーム


そしていよいよ大函小函のツアーが始まった。
私もNもとさんも最初からテンションマックスである。

私がラフトに乗るのは増水した沙流川アッパーをHOAのツアーで下って以来である。
その時も最初からテンションマックスで、ウワーッ、ギャアーッと騒ぎっぱなし。
動画を見ると、その燥ぎっぷりに流石に自分でも恥ずかしくなってしまう。

層雲峡大函小函ラフティングツアー
大函の絶景が目の前に広がる


その時はラフトに乗っているのも内輪の人間ばかりということも有ったけれど、今回は他のお客様もいるので少々抑え気味である。
それでも、若い二人にも楽しんで貰うために大げさに感動して大げさに悲鳴をあげる。

トシさんも、わざと岩にぶつけたり、横向きに落ち込みに入ったりと、お決まりのサービス。
若いカップルも良い乗りで楽しんでいるようだ。

層雲峡大函小函ラフティングツアー
岩に激突!


両側に柱状節理の岩壁が立ちはだかる大函の風景は、ダイナミックな景観が続く小函とはまた違った美しさを楽しめる。
そんな風景を楽しみながらゆっくりと下りたかったけれど、水量が多くて流れも早いので、あっという間に大函の出口が見えてきた。

層雲峡大函小函ラフティングツアー
大函の風景を楽しみながら下っていく


夏の渇水期には浅瀬で引っかかりながらのラフティングになるので大函を抜けるのに20分もかかるのだとか。
スリリングな川下りは小函の方で楽しめるので、大函では引っかかりながらでも時間をかけて下った方が良いかもしれない。

層雲峡大函小函ラフティングツアー
川を下らなければこんな滝は見ることができない



国道の橋を過ぎると早速、前方に白波が見えてきた。
カナディアンで下るのなら緊張を強いられるところだけれど、ラフトならばそんな大波もただのアトラクションに過ぎない。
キャッホーと叫びながらラフトの揺れを楽しむだけである。

層雲峡大函小函ラフティングツアー
トシさんに言わせると、石狩川の水飲み放題とのこと


トシさんは私がカナディアンに乗っていることを知っているので、時々「ドロー入れてください」とか頼りにしてくれるのが嬉しい。
そんなドローでもラフトは結構反応してくれる。
勿論、後ろでトシさんも操作してくれているのだろうが、ラフトを操っている感覚がなかなか面白い。
一般的なラフティングツアーでは、ガイドの掛け声に合わせて「いちに、いちに」と漕ぐだけで、勝手にドローとか入れたら怒られるところだ。

層雲峡大函小函ラフティングツアー
マリさんが所々で写真を撮ってくれる


流れが穏やかになったところで、トシさんが「川に入ってみませんか」と声をかける。
私は、沈以外で自分から川に落ちるようなことはご免だけれど、若いカップルの男性の方は躊躇いもなく川に飛び込んだ。
ラフティングを思いっきり楽しむには、これくらい積極的な方が良さそうだ。。

層雲峡大函小函ラフティングツアー
私はわざわざ川に落ちたくはない


トシさんの奥さんのマリさんが、先回りしてカメラを構えていた。
前を下っているラフトのお客さんが立ち上がっているのを見て、Nもとさんが「えっ、立っても良いの!」と喜んだ。
何時もはSUPに乗っているNもとさんなので、立って漕ぐのが普通なのだ。
ラフトの中で立ったら怒られると思っていたようで、それが立っても良いと分かってとても嬉しそうに立っていた。

層雲峡大函小函ラフティングツアー
SUPに乗っていると、川は立って下るものだと思っているのだろうか


前方に神削岩が見えてきた。
いよいよ小函の核心部へと入っていく。

昭和62年の天城岩崩落事故をきっかけに、小函を通る国道は大部分がトンネル化され、その旧道を利用した遊歩道も崩落が多いことから閉鎖され、現在小函の景観を楽しむには川を下るしか方法がない。
しかし、ここを下るにはある程度のスキルも必要であり、一般の人がこの景観を見る手段は完全に潰えていたのだ。

それが、アルパインリバーガイドで大函小函のラフティングツアーを始めてくれたおかげで、一般の人でも小函の圧倒的な景観を目にすることができるようになった。
これは本当に画期的なことである。

層雲峡大函小函ラフティングツアー
現在、川を下らなければこの風景を見ることはできない


瀬を越えていくと正面に姫岩と羽衣岩が見えてくる。
その手前にあるのが錦糸の滝。

層雲峡大函小函ラフティングツアー
姫岩と羽衣岩、この区間一番の絶景かも


一旦、錦糸の滝の下にあるエディに入って一休み。
天気も良くて、滝の水しぶきが太陽の光に照らされキラキラと輝きとても美しい。

層雲峡大函小函ラフティングツアー
錦糸の滝からマイナスイオンが降り注ぐ


束の間の穏やかな一時だった。
その先で待ち構えているのは、トシさんが言うところ姫岩の滝。
まあ、滝というよりは落ち込みなのだけれど、14年前に下った時は唯一ポーテージした場所でもある。
落ち込みの落差も当時よりは大きくなったと聞いたこともあり、滝という表現はあながち大げさでもないのかもしれない。



そしていよいよ姫岩の滝へ。
トシさんから「しゃがんで、のコールがあったら絶対にしゃがんでください」と念を押される。
滝へ近づくに従って波も大きくなってくる。
そこにしゃがんでコール。
ラフトの中に身を隠すように小さくなる。
真下に落ちたかと思ったラフトは、その反動で大きく跳ね上がった。

層雲峡大函小函ラフティングツアー
姫岩の落ち込み


その後も瀬は続き、ようやくエディに入ったところで皆でパドルを上げてお決まりのハイタッチ。
カップルの女性だけがパドルを上げずにいたが、滝落ちのショックで呆然としていたようだ。

層雲峡大函小函ラフティングツアー
イェーイ!


トシさんがラフトから飛び降りて上流へと走っていく。
後ろからカヤックで下ってきていたウッチーは落ち込みをポーテージしたようだが、その途中でカヤックをながしかけたらしい。
大事には至らず無事に皆と合流。

この後、左岸側には天柱峰、天城岩など柱状節理の断崖絶壁が続くが、川の上からは樹木に隠れてあまり見えない。
そんな中で撮影した写真の中に天城岩が偶然写っていた。
昭和62年にその一部が崩落し、崩れ落ちた岩は対岸の国道まで達して、通行中だった車や自転車を押し潰し、3名の死者を出している。
現在は川を下っていても、その痕跡には気が付かなかった。

層雲峡大函小函ラフティングツアー
天城岩、茶色い部分が岩が剥がれ落ちた跡だ


層雲峡と言えば銀河の滝と流星の滝が一番知られている。
しかし、これらの滝も遠くからチラリと見えるだけで、近くまで来ると川沿いの木々に邪魔されその姿は見えない。
まあ、これらの滝は自家用車や観光バスで訪れた人たちが見る滝なので、別に川の上から見る必要もない。
この辺りでは、ラフトも観光客の見物の対象である。

層雲峡大函小函ラフティングツアー
左側にチラリと見えているのが銀河の滝か?


車で入ってこられるので、マリさんが所々で先回りして写真を撮ってくれる。
ラフトのツアーではこの写真も楽しみの一つだ。

層雲峡大函小函ラフティングツアー


層雲峡大函小函ラフティングツアー


大きな瀬も無くなり、カヤックのウッチーにもようやく笑顔がみられるようなってきた。

層雲峡大函小函ラフティングツアー
ホット一息のウッチー


トシさんは、ラフトの操作をお客さんに任せて後ろで寛いでいた。
職場放棄のラフトガイドといった感じで笑える。

層雲峡大函小函ラフティングツアー
働かないラフトガイド


ゴールが近づいたところで、トシさんが「最後に滝でも浴びていきますか」と言ってラフトを接岸させる。
私は大きな滝に打たれる事ができるのかと喜んだが、小さな流れ込みに頭を付ける程度でちょっと拍子抜け。
それでも温泉水流れ込んでいるのか、硫黄臭もしてお肌がスベスベになりそうだった。

H川さんはそこに後ろ向きに入ろうとして、そのまま流されNもとさんにレスキューされていた。
こうして、楽しかったラフティングツアーも終了。

層雲峡大函小函ラフティングツアー
このまま流されてしまったH川さん


ウッチーは、今まで下ったことのない水位の大函小函を無事に下れたのがとても嬉しそうだった。
こうしてスキルアップするのも楽しいけれど、能天気にキャーキャー言いながら下る方がもっと楽しいのだ。
 

ラフティングツアーの動画

(当日9:00石狩川水位 層雲峡観測所:626.58m)



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