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歴舟川

(坂下堰堤〜カムイコタンキャンプ場)

カヌークラブの9月例会は歴舟川の坂下仙境からキャンプ場までを下る。
前日の雨で増えた水量も夜の間に下がってしまって、朝には102.18mとなっていた。
僅か数センチの増減で一喜一憂するような例会も、あまり記憶にはない。

集合写真今日の参加者は18名17艇。昨日のヌビナイと同じだけれど、2名が入れ替わり。
人数が増えると全体を統率するのも難しくなる。
昨日のヌビナイではスタート地点への道を間違え、今日は途中で一人行方不明になったり、車のトラブルで帰ったと思っていた人が遅れてやって来たりと、何時ものドタバタ劇を繰り広げる。

私達の後からやって来たガンネルズが先に川に出ていき、それから遅れること20分、ようやく私達も歴舟川を下り始める。

水は少ないけれど、下るのに支障はなさそうだ。
曇り空なのがちょっと残念だが、雨が降っていないだけましである。
ゴルジュの中へと入っていく我が家がここを初めて下ったのは2006年。それ以来、2009年を除いて毎年1回は下っていることになる。
そうして、ここのゴルジュ地形の風景には、下る度に感動してしまうのだ。

緩やかな流れに舟を任せて、ゴルジュの中へと入っていく。
カヌーの下を、傷ついてボロボロになったサケが上流に向かって泳いでいく。
浅瀬では無色透明の水を通して川底の石がくっきりと見え、深みではその水がエメラルドグリーンに染まって見える。
見上げるような岩壁が両岸から迫ってくる。
何度下っても、新鮮な感動を覚えるのである。


歴舟川のゴルジュ   歴舟川のゴルジュ
両岸から迫る岩壁   風景に圧倒される

ゴルジュの中の瀬所々に瀬も現れる。
昨日のヌビナイ川のように途中で嫌らしい岩が待ち構えている訳でもなく、素直な瀬で気持ち良く下ることができる。
調子に乗ってサーフィンまでしてしまう。

調子に乗りすぎて、次の瀬でもサーフィンをしようとして今シーズン初の沈をしてしまった。
かみさんが上流側に向かってクロスドローを入れた瞬間、そのパドルが喰われてしまったらしい。
でも、後からヘルメットに付けているGoProの動画を確認しても、そんな様子も確認できずに結局は原因不明。
今シーズンは、かなりハードな瀬を下っても沈しないで乗り切ってきたのに、沈する時はこんなものである。

沈はしょうがないこととしても、その後エディに巻かれてなかなか岸に上がれず、皆に見られている中をグルグルと回り続けていたのは情けなかった。
誰かから「沈し慣れてないから」と笑われたけれど、川下りのスキルとしては、沈しないことよりも、沈した後にどう対応するかの方が大切なのである。


サーフィン中   沈
頭上でパドル回してます   調子に乗りすぎて沈!

ゴルジュ出口の瀬は、水が少ない時はパドリングが忙しい。
最後に流れの真ん中で岩が待ち構えているので、これを避けるのがポイントとなる。


下から見ると分かりづらいけれど、最後の岩の落ち込みがちょっといやらしい

ゴルジュを抜けた後、川の流れは樹木の茂った大きな中州により左右に絶たれている。
何時もは左のルートしか下れないのだが、今回は右のルートにも水が流れ下れそうに見える。
何人かは右の分流に入っていったが、私は水の少なさが気になったので、いつも通りに左の分流を下った。
ポーズをとって瀬を下る結局は、右の分流は座礁することが多くて外れだったようである。

この分流が合流する手前に小さな瀬があり、そこでkenjiさんがカメラを構えて待機していた。
それにつられて、珍しくかみさんもポーズをとる。

合流後、直ぐその先で、巨大な岩を境にして再び流れが二つに分かれる。
ここも左が本流。過去に一度だけ右に入ったことがあるけれど、今回は素直に左へと進む。
再度合流した時は、先に右へ入っていった人達よりも私達の方が早く合流部に達していた。

その先でも、もう一度流れが二つに分かれ、これは記憶にない分流だった。
ここでも我が家は左を選択し、結果としてはこれも正解となる。

三つの分流で、ことごとく外れを引いたY谷さんが、「参ったな〜」と頭をかいていたが、それ程苦労することもなく下れたようである。
これが水が少ない時に外れの分流を選んだりしたら、その殆どをカヌーを引きずりながら歩かなければならなくなるのだ。

流木のベンチ土壁手前の川原に上陸して昼の休憩。
ちょうど良い流木が転がっていたので、それをベンチ代わりにして皆で座る。
今回の川下りでは、この流木がやたらに目立っていた気がする。
それも、綺麗に皮が剥けた皮剥ぎ丸太の状態で、そこらじゅうに転がっているのである。
そのままトラックに積み込めば、建築用材として転売できそうなくらいだ。
何処かのホールに嵌って、グルグルと回っているうちにそんな皮剥ぎ状態になったのだろう。
何時の増水によるものかは分からないが、水の力の凄まじさをそれらの流木に感じてしまう。

久しぶりに例会に参加したN野さんが「年を取ってからも、こうして川原でおにぎりを食べられるのって良いわよね」としみじみと呟いた。
昼食中に土砂降りの雨がこれまでそんなことを考えたことは一度も無かったけれど、50を過ぎた様な大人が、こうして流木に並んで腰かけて皆でおにぎりを食べているなんて、日常の生活では絶対に有り得ない風景である。

そんな楽しいお昼の時間を邪魔するように雷鳴が辺りを揺るがした。
そしてその後から大粒の雨が落ちてきて、間もなく土砂降りとなる。
今日の十勝の天気予報は「曇りで午後から雨」となっていたが、正にその通りの天気となった。
いくらドライスーツ等で身を固めているとは言っても、気分は濡れ鼠と変わりない。

雨はますます強くなり、このまま降り続けば川の水が一気に増えてくることも考えられる。
この先は途中で遊んだりしないで、一気にキャンプ場まで下ろうと言うことになり、その川原を後にした。
土壁から土砂が流れ込む雨の影響なのか、土壁の上から小石が次々と転がり落ちてくるので、慌てて土壁から離れる。
その土壁から流れ落ちる濁った水は、土壁近くの川の水面を茶色く濁らせ始めていた。
増水した川が茶色い濁流と化す、その本当の最初の瞬間を目の当たりにすることができた。
でも、その風景はあまり気持ちの良いものではない。
先を急いで、自然とパドリングにも力が入ってくる。

その雨もヌビナイ川などとの合流地点まで下ってくる頃には、ほとんど止みかけていた。
そうして3時間でキャンプ場まで下ってきた。
3連休の例会で、最終日もどこかの川を下る予定になっていたが、今夜から明日にかけてずーっと雨の予報。
結局、この日で例会は終了となってしまったが、雨の週末にも関わらず充実した二日間を過ごすことができて大満足となったのである。

2013年9月15日 曇りのち雨
当日12:00 歴舟川水位(尾田観測所) 102.16m


土砂降りの中を下る   相川橋
土砂降りでも瀬は楽しい   相川橋の下を通過


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