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歴舟川

(カムイコタン公園キャンプ場〜大樹橋)

 例会二日目は歴舟川をキャンプ場から大樹町市街地の大樹橋まで下る。
 昨夜から一晩中シトシトと降り続いた雨のおかげで、川の水位も10センチ程度増えたようだ。
 皆は昨日の中の川の様な苦労をしなくても良いと喜んでいるけれど、私はその影響で水の透明度も落ちてしまったことの方が残念だった。
 透明な水の中をずりずりとカヌーを引きずって歩くのと、適度な水量の濁った水の中を下るのでは、歴舟川においては私は前者を選ぶだろう。
N浜さん 今回は例会初参加の方が2名。
 1人はファルトの男性で、湖や海では乗っているけれど川下りは初めて。
 もう1人は、ガイド付きツアーに参加して何度か川を下っているが、ツアー以外で下るのは初めてという女性で、自艇もまだ持っていなくてクラブのメンバーからカヤックを借りての参加。
 お二人とも例会への参加についてはメールで連絡があり、最初の対応は私が受け持った。
 歴舟川ならば比較的初心者でも下れるとは分かっていても、その技量が全く分からず、しかも旭川での死亡事故のこともあるから、その対応も必要以上に慎重になってしまう。
JOさん でも、全く何もないところから新たに川下りにチャレンジしようとする、近頃では希少な存在なので、清流歴舟川を十分に楽しんでもらいたい。
 それにしては今日の天気は、どんよりとした曇り空で、水の透明度も落ち、歴舟川の魅力を味わえるコンディションとは言い難かった。
 もっとも、初めて川を下る人間にとって天気や水の汚れを気にする余裕など全く無い事は自分の経験で知っているのである

 最近は例会の参加者も減ってきたけれど、歴舟川の人気はさすがで、久しぶりに20名を超える会員が集まった。
 初心者も参加しているので、ツアーリーダーのS吉さんが、川下りを始める前に流され方とレスキューのされ方を説明。
集合写真 それが終わって川の上にカヌーを浮かべる。
 私はファルトのN浜さんのサポートを引き受けた。
 歴舟川はキャンプ場の前が大きな瀞場になっているので、初心者が川を下るのにはちょうど良い。
 瀞場とは言っても緩い流れがあり、まずはそこで心の準備を整えられるのである。
 そしていよいよ神居大橋の下を抜けて川下りのスタート。
 ところが橋の下流は直ぐ瀬になっていて、しかも水が増えた影響で結構大きな波が立っていた。
 初心者にいきなりこれは気の毒だけれど、これから川下りを楽しむつもりならば越さねばならない瀬なのである。
沈の心配もないN浜さん 心配して見ていたけれど、ファルトの安定感はさすがで、ぐらりともせずにその瀬をクリアした。
 その後、何箇所かの瀬を下ったところで、これはもう心配する必要も無いと分かってくる。
 心配が無くなれば、今度は逆に沈してくれる事を期待し始めている自分がいた。
 しかし、安定したファルトをひっくり返すような癖のある場所も無く、すんなりと下り続けるN浜さんであった。

 今日はガンネルズのメンバーも同じ区間を下っているので、休憩の度にお互いに抜いたり抜かれたりする。
 お互いに良く知っているので一緒に下っても良いのだが、そうすると総勢40名近くになってしまい、統率が取れなくなるのだ。
滑り台で一遊び 相変わらずどんよりとした曇り空で、スリリングな瀬も無く、Nさんは全然沈してくれないし、次第に退屈になってきた。
そんな時、土壁の中になめ滝状の滝を見つけ、面白そうなのでそこを登ってみることにする。
横にカヌーを着けて降りてみたが、ヌルヌルして登りづらい。
するとそこへI上さんがカヤックを担いで登ってきた。
退屈気味なのは皆同じらしい。
I上さんのカヤックはゴトゴトと音を立てながらなめ滝を滑り降りて、無事に川に着水した。
先に下っていった皆を追いかける。


歴舟川の瀬   半割の木
たまには楽しい瀬もある   名物?土壁の上の半割の木

 市街地に近づいてきたところで、この区間最大の難所「ドングリの瀬」が待ち構えている。
 今回は初心者もいるので、S吉さんから瀬の手前で一旦上陸するように指示が出る。
 私は、様子を見ながら順番にスタートさせる役目を言い付けられた。
 「それじゃあ、せっかくの美味しいシーンを見逃してしまうよ〜」と思いながらも、ツアーリーダーの命令には逆らえない。
 K島さんの勧めで、初参加組みと準初心者のH川君とその彼女の4名が瀬の様子を見に行った。
 私がクラブに入って間もない頃、尻別川の二股の瀬をこうやって下見したことを思い出す。
 これは一種の初心者虐めかもしれない。
 下見をしたところで何かできる訳でもなく、ただ恐怖心が増すだけなのである。
 そこで初参加のJOさんが下るのを止めたのは、一応は下見の成果と言えるだろう。
 イケイケだけでは無く、こうして自分で判断できる機会を与えることも、これからの例会には必要なのかもしれない。


ドングリの瀬
ドングリの瀬を下るN浜さん、この下流にテトラが待ち構えている

 そして残りの3人は下見の結果、更に恐怖心を増して、順番にドングリの瀬へと突入していった。
 何の事件も起こらなかった事を確認してから最後に私達が下り降りる。
 瀬の入り口までやって来て、そこの波の迫力にびっくりした。
 「ここで自分達が沈したら最高に格好悪いよな〜」と思いながら大波に揉まれて下っていくと、最後に岸から張り出したテトラの水制が待ち構えている。
 もしも途中で沈でもしたら、そのまま流されてテトラに張り付く危険もありそうだ。
 川下りでは100%の安全なんて有り得ないのである。
 そこへガンネルズのメンバーが順々に下ってきた。
 緊張したり、笑顔がはちきれたり、それぞれの表情を浮かべながら楽しそうに波を超えていく。


ドングリの瀬を下る   ドングリの瀬を下る
豪快に下るKパパ   K家もタンデムで

大樹橋でゴール 最後は両クラブ混ざり合い、歴舟川を色取り取りのカヌーで埋め尽くしながら大樹橋へと下っていく。
「何だもう終わっちゃうのか」
大樹橋までだと何となく物足りなさを感じる歴舟川のダウンリバーだった。

2009年9月19日 曇り
当日12:00 歴舟川水位(尾田観測所) 102.37m



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