北海道キャンプ場見聞録
三段山(2022/02/26)
パウダーを求めて高所へ
札幌の予想最高気温はプラス8度。
今週のI山さんスキーツアー企画は、標高の高い山に行きましょうと三段山になった。
10日前に行ったばかりだったけれど、天気も良さそうで雪も少しは降りそうな気配なので、参加表明。
ただ、風が少し強そうなのがちょっと心配だった。
午前8時半に白銀荘駐車場に到着。
係の人が駐車場の整理をしてくれていた。
先々週の3連休には道路まで車が溢れ出したので、沢山停められるように整理してくれているのだろうか。
ありがたいことである。
山の上では雪煙が舞い、その上を雲がすごい速さで流れていく
天気も良くて、予想以上に降雪もあったようだ。
上々のコンディションである。
ただ、山の上の方は猛烈な風が吹いていそうだ。
駐車場からでも雪煙が舞い上がっているのがはっきりと見えている。
集まったメンバーは10名プラス秋田犬のハチ。
午前9時20分に登り始める。
今回の参加者
3連休の後の10日前に登った時は、そこらじゅうがトラックだらけだったのに、今日は登りのトレースが1本伸びているだけだ。
新たに30センチ以上は積もっていそうだ。
1本のトレース以外は真っ白な雪面が広がっているだけ
強い風にのって雲が上空を次々に流されていく。
その雲が消えて日が挿してくるとると、周りには素晴らしい白銀の風景が広がる。
10日前と比べると、空の青さも、雪に覆われた木々の白さも、圧倒的に上回っている。
素晴らしい風景が広がる
1段目の斜面には早くも数本のシュプールが描かれていた。
そんな様子を目にすると、荒らされる前にまずはここで1本滑りたくなってくる。
1段目
深いトラックの中に隠れそうになりながらハチが皆と一緒に登っている。
ハチも何となくウキウキとした様子だ。
トレースの中にハチが半分隠れている
犬と一緒の山登りは私の憧れの一つである。
19年前の冬、フウマと一緒にここでキャンプをして、1段目の上まで登ってきたことを思い出す。
19年前フウマも1段目を登っていた
すっかりホワイトモンスターと化したアカエゾマツ林の間を登っていく。
ホワイトモンスターに囲まれる
その間から、前十勝の姿が見えている。
三段山を登っている時の私の好きな風景の一つである。
何時もならば噴煙が立ち昇っているのだけれど、今日はその噴煙は強風に流されて山の裏側に隠れている。
代わりに立ち昇っているのが強風に巻上げられた雪煙である。
隣の前十勝
某山岳会の大人数のパーティーが近くを登っている。
カヌークラブには、その山岳会に所属しているメンバーも何人かいるので、話のネタにされていた。
某山岳会の大パーティー
2段目の斜面まで登ってきた。
ここは登るに従って周りの風景も開けてくるので、登るのが楽しい。
ここまでは風の影響も殆どない。
たまに、木々に積もっている雪が風に吹かれて舞い落ちてくる程度である。
もう少しで2段目を登りきる
しかし、斜面の終わりが近づいていくると、山の斜面に巻き上がる雪煙の風景が間近に見えてきた。
そして次第に風当たりも強くなってくる。
前回、私が気持ち良く滑った斜面は、吹き溜まりだらけで凸凹になっている。
とてもじゃないが、そこを滑る気にはならない。
10日前には綺麗なメンツルの斜面だったのだが
この風では、2段目の上の雪は全部飛ばされて無くなっているんじゃないかと心配していたが、まだ十分に残っていた。
登るのに支障にはならないけれど、滑るのは大変そうだ。
滑り下りてきたボーダーの方が、吹き溜まりに突っ込んで派手に転倒していた。
前十勝と十勝岳が美しい
後ろから登ってくるメンバーが追いついてくるまで、周りの風景をカメラに収める。
前十勝や十勝岳は、真っ青な空を背景にその美しい姿を見せている。
富良野岳の方は、自らが巻き上げる雪煙のために霞んでしまっていた。
雪煙に霞む富良野岳
時々、体が飛ばされそうになるくらいの突風が吹いてきて、地吹雪のために目も開けていられない。
これ以上登るのは止めて、皆が追い付いて来たらサッサと滑り下りたくなる。
そんな状況の中でも某山岳会の人たちは三段山の山頂を目指して黙々と登っていた。
滑りが目的の人間はこんな状況の中で山頂を目指そうなんて思わないが、山屋さん達は全然違う。
雪煙が舞っていても山頂はハッキリと見えているし、絶好の登頂日和と思っているのかも知れない。
激しい地吹雪の中で前進を続ける山岳会の皆様
ハチを連れいているIさん夫婦は途中から下山することにしたようだ。
残りのメンバーもさすがにこの天気では上まで登る気にはならないようで、そこから一番近い東の谷を滑ろうとしていた。
谷の中なら飛ばされた雪が溜まっているだろうけれど、ウインドスラブの雪崩が怖いし、溜まっている雪が軽いパウダーだとは思えない。
谷の上部へ入っていくと、風で発達した雪庇が既に崩れ落ちているのも見える。
私は早々に撤退することにした。
川下りの時でも、瀬を下るかポーテージするかを決めるのは、あくまでも本人なのである。
皆は東の谷に向かって滑り下りていった
私はそのまま登ってきた場所を滑ることにした。
そこには確実に良い雪が積もっているのが分かっているのだ。
Kさんも私に付き合ってくれた。
吹き溜まりだらけの場所でも注意して滑れば何とかなる。
林間の雪が良さそうなので、途中からそちらに向かって滑り下りた。
良さげな斜面に見えたのだが
最初は良い感じで滑れたけれど、途中から急に雪が重くなり、板が雪の上に浮かび上がってこない。
風で飛ばされた雪が積もっていて、それがとても深いのである。
中途半端な傾斜では、ラッセルしなければ前に進まない。
この程度の斜度では全く滑れない
そのまま林間を1段目の下まで滑り降りる事もできるけれど、誰も滑った跡はなく、この雪では悲惨なことになりそうだ。
登ってきたトレースまで200m程で戻れそうなので、ラッセルしながらそちらへ出ることにした。
そうして2段目の途中で登りのトレースに合流できたけれど、そのトレースから少しでも外れて滑ると、直ぐにスキーは止まってしまう。
少しくらい傾斜があってもラッセルしないと進まない
1段目の斜面の上まで出てきた。
既にかなり荒らされていたけれど、ここで最後に滑りを楽しむことにする。
しかしここでも、雪が重たくてまともにターンできない。
1段目もまともに滑れなかった
そして1段目から駐車場までもトレースの中を滑ることしかできずに終わってしまった。
まもなくして東の谷を滑ったメンバーも戻ってきたけれど、そちらの方も状況は同じようなものだったらしい。
これだけ滑りを楽しめない山行も久しぶりだった気がするけれど、美しい風景を満喫できただけでも拾い物だった。
家にいたら多分、ロシアのウクライナ侵攻のニュースを朝から晩まで見せられることになっていたはずだ。
結果はどうあれ、山に来たほうが楽しいのは確かである。