北海道キャンプ場見聞録
三段山(2022/02/15)
思わぬノートラックパウダー
新しいバックカントリー用のザック(NORTH FACE Chugach 35)を買って、明日は天気も良くなりそうだ。
早速何処かの山へ出かけようと考えて思いついたのが三段山。
先日の3連休で人も沢山入っていたようだが、雪は良いみたいだ。
山はトラックだらけになっていても、久しぶりに三段山の山頂に登るのには良い機会である。
そうして出かけた三段山だが、天気が良いはずなのに札幌を出てからずーっと太陽は雲に隠れたままで、上富良野までやって来ても山の姿は全く見えない。
「天気予報は大外れだ」と思いながら山へ向かって行くと、突然雲が晴れて山の姿が見えてきた。
どうやら、今までは雲海の下を走ってきたみたいで、その上空には青空が広がっていたようだ。
下界は雲海の下だった
ただ、その青空も、抜けるような真っ青な空とは言い難い。
何となく霞がかかったような白っぽい青空である。
前十勝の噴煙が三段山の方に流されて太陽の光を遮り、余計にそんな印象を強くする。
スッキリとした青空ではない
午前8時50分、駐車場を出発。
周りはトラックだらけで、平らな雪面と言うものが見当たらない。
3連休には駐車場から車が溢れるくらいに人が多かったらしいので、こんな状況は想定内だ。
登りのトレースは1本だけ
1段目の斜面も見事なほどにトラックだらけ。
圧雪車の入っていないスキー場のゲレンデのようだ。
まるでスキー場のゲレンデのような1段目
今回、かみさんはスノーシューで登っていた。
先日の迷沢山で苦労していたのでスキーが嫌になったのかも知れないが、それにしても「何度も登っている三段山なのに何でスノーシューなの?」と思ってしまう。
ただ、そうは思ってもそれを口にすると直ぐに怒り始めるので、最近は余計なことは言わないように口をつぐむことにしている。
登るのは楽だけれど、帰りは??
1段目を登った先のアカエゾマツの森は、雪を被って重たそうに枝を垂らしている。
何時もならばもっと樹氷に覆われて、真っ白な風景になっているはずなのに、ちょっと物足りない。
到着した時の車の温度計はマイナス15度になっていたけれど、これでは冷え込みが足りないのだろうか。
雪を被ったアカエゾマツの森
隣の前十勝を登っているパーティーの姿が見える。
そちらの方の斜面はあまり荒らされてはいないようだ。
3連休には前十勝にも人が沢山入っていたはずだが、風が吹いてリセットされたのだろうか。
前十勝の斜面はリセットされているように見える
2段目を登るトレースは、珍しく前十勝側から回り込むように続いていた。
何時もは反対側から登っていたので、なかなか新鮮である。
雪も良くて、こちら側を滑るのも良いかも知れない。
2段目は左側から回り込む
2段目を登った先は、雪が飛ばされてガリガリの雪面が露出していることも多いけれど、今回は大丈夫だった。
山頂を目指すのには好条件である。
2段目の上の方には良い雪が
斜面に刻まれたトラックも、思っていたほどに多くはない。
場所を選べばノートラックの斜面も残っている。
消えかけたトラックもあるので、3連休の途中か後に新たに雪が降っているようだ。
トラックは沢山見えているけれど、ノートラックの斜面も見えている
風も全く吹いていない。
前十勝の噴煙も真っ直ぐに立ち昇ってから、上空で横に流されている。
上空の風もそれほど強くはないようで、流された噴煙は雲のように三段山の上に広がっていた。
風がないので前十勝の噴煙は真っ直ぐ上に昇っている
3段目を登っても周りはパウダースノーに覆われていた。
固い雪面に苦労することもなく快適に登ることができる。
こんな好条件は滅多に無い。
三段目の上まで登ってきてもパウダーのまま
かみさんは3段目を登ったところで下山することにしたようだ。
ここまで登ってきて山頂を踏まないのは何とも勿体ないが、何時ものように余計な口は挟まない。
かみさんはここでお見送り
山頂を目指して登っていくと、目の前にノートラックの斜面が広がっていた。
斜度もそれほどきつくはない。
何時ものカヌークラブのメンバーと来ていたら、こんな斜面は絶対に滑らないだろう。
最近は西の谷に向かうことが多いし、そもそも山頂まで登ることも少ない。
一番最後に山頂を踏んだのは2017年の1月のことだった。
山頂への4段目の最後の登り、一番後ろが私
全く苦労すること無く三段山山頂に到着。
駐車場を出てから2時間もかかっていない。
山頂標識と十勝岳
こんなことは初めてかも知れないと喜んでいたが、家に帰ってから調べてみたら、私達が初めて三段山に登った11年前は1時間45分で山頂まで登っていたのだ。
そして雪の状態も今回以上に良かったみたいだ。
まあ、11年前の記憶なんてほとんど残っていないので、良い条件に巡り合う度に「こんなのは初めてだ」と喜んでいられるのだから幸せである。
360度カメラで自撮り
噴煙を上げる前十勝、端正な姿の十勝岳、荒々しい姿の上ホロカメットク山、安政火口やその先の富良野岳。
そんな山々の風景をしばし楽しむ。
富良野岳付近に雲がかかっているのがちょっと残念だった。
安政火口と奥に富良野岳
そしてお楽しみのパウダー滑走。
狙っていた斜面の上までやって来た。
それほど斜度はなく、何ともメロウな斜面である。
滑ってみると無茶苦茶滑りやすい雪である。
自分の舞い上げるパウダーが影となって雪面に写っている。
最高に気持ち良いパウダー滑走
滑りはともかくとして、途中で振り返って自分のシュプールを眺めにんまりとする。
そのまま廊下と呼ばれる沢地形を超えて、西の谷との間の尾根に上がる。
登っている時にそこにもノートラックの斜面があるのを確認していたのだ。
振り返ってにんまり
そこも良い雪だった。
自分の好きな場所を自由に滑る。
仲間とのツアーで来ていると、できない楽しみである。
ノートラックの斜面を選びながら滑り降りる
その後もノートラックの斜面を探しながら西の谷の方へと滑り降りる。
そして林間を抜けて1段目の斜面の下へと出てきた。
1段目の斜面が見えてきた
そこで斜面を降りてくるかみさんを発見。
「先に降りてお風呂に入っているわ」と言っていたけれど、途中でほとんど休むこと無く滑ってくると、やっぱり私の方が早かった。
負け惜しみかどうかは分からないが、スノーシューで斜面を降りるのも結構楽しかったようだ。
1段目でかみさんと再会
一緒に一休みしてから一気に滑り降りる。
そして程なくしてかみさんも下山。
駐車場を出てから3時間も経っていない。
ゆっくりと温泉に入って、上富良野の街で美味しい蕎麦を食べて札幌へと戻る。
心から楽しいと思える今回の山行だった。