北海道キャンプ場見聞録
春香山(2022/02/04)
悪夢再び
西風が吹く日が続き、そんな時は周辺で雪が降り続けていても札幌上空には青空が広がる。
そんな天気が勿体なく思えて、銭函の春香山に出かけることにした。
午前7時半に登山口までやって来たけれど、駐車スペースが何処にもない。
ゲートの前まで20mくらい除雪されているけれど、車1台分の幅しかないので、仲間内の車ならば奥まで詰めて沢山停められても、個人では1台しか停められない。
しょうがないので、雪を押し込んだ場所を見つけてそこに車を停めた。
かろうじて車を停められる場所があって良かった
私達が一番乗りだったが、数日間雪が降っていなかったようでしっかりとしたトレースが付いている。
山登りと言うより、近所の人たちが散歩で歩いているようだ。
スキーの跡は見当たらない。
ツボ足でも普通に歩けるトレース
その代わりに、鹿が歩いた跡がそこら中にある。
トレースの中にも足跡が付いていたが、踏み硬められたトレースは鹿が歩いても埋まらないようだ。
形の良い株立の樹木が、見事に皮を剥がれていた。
雪が多いと、鹿も食べ物に不自由しているのだろう。
これだけ皮を剥がれてしまうと、確実に枯れてしまいそうだ。
鹿に皮を食べられてしまった樹木
銭函川を渡ると次第にトレースも薄くなってくる。
それでも、薄く雪を被ったスノーモービルとスノーシューのトレースがあったので、ラッセルする必要はない。
途中で林道から登山道が分かれるところでは、登山道の方には消えかかったトレースしか付いていない。
それでも足首程度のラッセルで歩けるので、近道の登山道の方に進む。
右側が登山道
そのまま土場まで登山道を歩くこともできるけれど、やっぱり林道の方が歩きやすいので、途中で林道に上がる。
そうして1時間半で土場に到着。
我が家で春香山に登る時のほぼ標準タイムである。
登山道の方が雰囲気はあるけれど林道の方がやっぱり登りやすい
トレースはそのまま左手の林道上に続いていたけれど、滑る時の目印にもしたいので、私達は右手の森の中へと進む。
こちらにはトレースはないかと思ったが、消えかかったスノーモービルのトレースに助けられる。
それにしても、スキーで滑った跡が全く見当たらない。
平日は人が入らないのだろうか。
スノーモービルのトレースを追っていると、次第に何時ものルートから外れてきたので、トレースから外れてラッセルしながら先へ進む。
見晴らしの丘までやってくると春香山の山頂が姿を表す。
見晴らしの丘から眺める春香山
山の木々は樹氷に包まれ、山全体が白く染まって見える。
何時もながら感動させられる風景だ。
しかし、誰も入っていないだろうと思っていた山の斜面には沢山のトレースが見えていた。
古いトレースが消えずに残っているのだろうか。
腑に落ちないまま、春香山の麓にある銀嶺荘を目指す。
春香山の斜面には何故か沢山のトラックが
銀嶺荘は、コロナの影響なのか休業中のようだ。
どおりで、ここまでトレースが全く無かった訳である。
銀嶺荘は休業中
それなのに、斜面に見えていた沢山のトレースは何なんだろう。
山頂への斜面に取り付いて、ようやくその疑問が解けた。
それは全てスノーモービルのトレースだったのである。
トラックはスノーモービルのものだった
かなり埋もれているトレースや、昨日のものと思われるようなトレースまで、全てがスノーモービルの走り回った跡である。
かろうじて残っているスキーのトレースを見つけてそこを登るが、途中からスノーモービルの轍でかき消されてしまう。
しょうがなく轍の中を登るが、デコボコしていて登りづらく、これならラッセルしながら登ったほうが楽である。
この写真では荒らされていない斜面に見えるけれど
春香山では山頂を通り過ぎたスノーモービルのトレースを見たことはあるけれど、斜面まで入って荒らしまくった跡を見たのは初めてである。
先月に滑った天幕山での悪夢が蘇る。
これまではスノーモービル愛好者の間にも、山スキーのフィールドには立ち入らないようにする暗黙のルールが有ったような気がしていたけれど、現在はそんなルールも無くなってしまったのだろうか。
良い斜面は大体がこんな感じだ
自分たちが楽しむことしか考えない、そんな奴らが増えてきているのかも知れない。
先月での天幕山でも同じような状況に遭遇していたので、余計にそんな思いが強くなった。
せっかくの樹氷に包まれた木々の美しい風景も、台無しにされてしまった気分である。
そんな気分のまま、山頂に到着。
山頂近くまでスノーモービルの轍だらけ
スタートしてから3時間15分。
今シーズンは2時間程度で登れる山ばかりだったので、まだ3時間は登り続けられる体力があることが分かって、何となく嬉しくなる。
春香山山頂
山頂からの風景では、美しくカーブする石狩湾の海岸線がとても印象的だ。
遠くの山は雲に隠れて見えないが、青空が広がっているだけで恵まれている。
緩くカーブする海岸線が美しい
風も弱いので、そのまま山頂で昼食のカップラーメンを食べる。
最近は天気に恵まれることが多いけれど、そんな日だけを狙って山に登っているので、当然といえば当然である。
山頂でカップラーメンを食べる
食事を終えて、いよいよお楽しみの滑走タイム。
しかし、滑る場所がない。
スキーやボードのトラックは、深さもないので大して支障にはならない。
しかし、スノーモービルの轍は深いし、おまけに固い。
その轍が斜面上を縦横無尽に刻まれているので、安心して滑っていられない。
雪は良いので余計に腹が立つ
そんな中で、少しでも轍が無い場所を探しては、数ターンで終わってしまう程度の滑りを楽しむ。
雪は申し分なく良いのに、それが余計にストレスとなる。
数ターンだけ気持ち良く滑る
イライラを募らせながら銀嶺荘まで下りてきた。
姿は見かけなかったけれど、新しいスキーのトレースが有った。
そのトレースは、見晴らしの丘への無駄な登りを避け、私達が少しルートから外れた場所も正しいルートをとっていて、かなりここを歩き慣れた人のものだと思われた。
私達は、苦労しながら見晴らしの丘まで登り返し、そこからスノーモービルに荒らされた山の斜面を振り返った。
そこに自分たちの描いたシュプールだけがあれば最高だったけれど、どれが自分たちのシュプールなのか、探すのに苦労するのが現実だった。
上の写真はこの辺りを滑った時のもの
土場の手前の樹木の混んだ斜面は、スノーモービルの轍を気にしなくて良い分、気持ち良く滑ることができた。
土場から先は、ひたすら林道を滑り降りる。
登りのトレース以外には人の滑った跡がないので、ここも快適に滑ることができた。
林道を一気に滑る
スノーモービルに荒らされてさえいなければ最高に楽しい山行となっていただろう。
これからも春香山はスノーモービルに荒らされる山となってしまうのか、それがとても気がかりである。