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オコタン崎(2021/03/09)

ミズナラの巨木に会いに

天気も良いので、支笏湖のオコタン崎にあるというミズナラを見に行くことに。
丸駒温泉の駐車場に車を停めても良かったけれど、温泉に入る予定は無かったので、林道入り口の路肩に路駐。
そこには既に、先客らしい車が1台停まっていた。


林道入口は丸駒温泉の直ぐ近く


林道は結構踏み固められていたので、そのままつぼ足で歩き始める。
ところが、良く見るとその踏み跡は殆どが鹿が付けたもの。
人間の足跡は、先客の一人と、何時のものか分からない様な消えかけたスキーのトレースだけ。


トレースは沢山あるけれど


その足跡も、途中から恵庭岳の方に向かってしまって、頼りになるのは微かなスキーのトレースだけである。
硬く凍って、その上を楽に歩ける所もあるけれど、少しでも踏み外すとズボズボ埋まるし、固まっていない所ではやっぱり埋まってしまう。
鹿の付けたトレースの方が歩きやすいくらいだ。


かろうじて残っているスキーのトレース


ワカンを持ってきていたので、途中でそれを装着。
スノーシューを履くまでもないと思っていたのだけれど、慣れないワカンはどうも歩きづらい。


ワカンは軽いけれど歩きづらい


鹿のトレースは林道上にほぼ途切れることなく続いているが、そこに交差するようなトレースも沢山あって、これが林道でなければトレースだらけで混乱してしまいそうだ。
鹿が警戒する時の鳴き声が、何度も聞こえてくる。
姿を見つけても直ぐに逃げてしまって、写真を撮らせてくれない。


全部鹿の足跡である


林道は、急坂ではないもののずーっと登りが続いている。
途中からはネマガリダケが煩くなって歩きづらく、地味に体力を消耗させられる。

2キロほど歩くとようやく下りになってくる。
標高にして120mくらいは登っていた。


ネマガリダケが邪魔くさい

 

オコタン先に近づいていくると、森の中に巨木が目立つようになってきた。
かみさんが、その中の巨木の1本を見て「この木じゃないの?」と聞いてくるが、そんなものではない。
一応は写真でも見ていたけれど、多分周りの木とは明らかに違っていて、ひと目でそれと分かるはずだ。

すると、前方の森の中に、根元の方は見えないけれど、空に向かって大きく枝を広げている樹木が現れた。
「きっと、あれだよ」と言って歩みを早める。


木々の向こうに他とは違う枝ぶりの樹木が見える


そこには期待していた通りの巨木が悠然と存在していた。
幹には大きな瘤があって、それがこのミズナラの風格を増しているような気がする。


大きすぎて写真1枚に収まりきらない


ウロもできているが、樹木全体はまだ若々しくさえある。
枝ぶりも見事だ。


ウロもあるけれど、樹勢は良い


正確な情報かどうかは確認していないが、ネットで検索すると推定樹齢1200年、幹周は6.9mとされている。
北海道の巨木ランキングなどには載っていないので、私もその存在を知らなかったのだが、このミズナラが知られるようになったのは最近のことらしい。


立派な枝ぶり


ミズナラの巨木は、津別町の最上のミズナラや浜益の千本ナラなどを見ていたけれど、それらと比べても勝るとも劣らない立派なミズナラである。


太さも圧倒的だ


林道入口から1時間位歩けば着くだろうと軽く考えていたけれど、結局1時間半もかかってしまった。
丁度お昼になっていたので、ミズナラを眺めながらお湯を沸かしてカップラーメンを食べる。


ベンチに腰掛けて昼食


 

このミズナラを見に来た人は、ほとんどがオコタン崎の三角点まで足を伸ばしているようなので、私達も行ってみることにする。
林道もなくなり、GPSにダウンロードしてあった他の人の軌跡を頼りに、オコタン崎を目指す。
ここの森の中も鹿のトレースだらけで、何時もの癖でそのトレースを追っているうちに違う方向に向かっていたりする。

ミズナラの巨木から更に40m以上下った先に小さなピークがあった。
その上に三角点があるようだ。
そこに向かって登っていくと、雪が飛ばされて土が露出し、所々に氷も張っている。
例によってかみさんは「私はこれ以上登らないから」と、早々にリタイア宣言。


三角点はこのピークにあるはずだが


周辺は鹿の糞だらけ。
最後には岩場を登る感じだけれど、回りは樹木に囲まれ見晴らしもそれ程期待できない。
カンジキを外すのも面倒なので、途中まで登ったところで写真だけ撮って、私もリタイア宣言。


木々の隙間から湖面と風不死岳の姿を見られた


そこからミズナラまで引き返すのも、結構急な登りで汗が吹き出してくる。
途中で一休みしていると、小鳥たちが頭上の木の枝を飛び交っていた。
シマエナガのようだが、遠すぎて写真には撮れず。

恵庭岳の姿が美しく見えていた。
木々の枝越しに、昔のオコタン野営場があった場所も確認できる。
そこで最後にテントを張ったのは、もう15年も前のことで、とても懐かしく思える。


木々の向こうに恵庭岳の姿が


最後にもう一度ミズナラの巨木に挨拶して、帰途につく。
気温が上がり、来る時には沈まずに歩けた場所も、ズボズボ埋まるようになっていた。


このクラスの巨木は沢山ある


林道を歩いていくと、熊の爪痕の残る木々がそこら中で目に付く。
この気温では、気の早い熊なら冬眠から目覚めてきそうで、何となく周りが気になってくる。


こんな爪痕がそこかしこに


林道を塞ぐ倒木の表面にナスカの地上絵の様な模様が刻まれていた。
キクイムシの幼虫が食べまわった跡である。


ナスカの地上絵?


私達が歩いてきたトレースを今度は鹿が利用していたようだ。
穴だらけにされて、無茶苦茶あるき辛い。
この辺りの鹿は人馴れしていないので、人の気配を感じると直ぐに森の奥へと逃げ込んでしまい、最後まで写真を撮ることができなかった。


余裕があれば、こんな巨木にも一本一本近づいてみたかった


そうして車まで戻ってきた時は、出発してから4時間以上経っていたのである。
今日は天気もよく、周辺の山にも沢山人が入っていたようだ。
これなら、山に登っていたほうが楽だったかもしれない。

巨木は、根張りの部分も見応えがある。
今回はそれが雪に埋もれていたので、雪が溶けた後にももう一度訪れてみたい気がした。

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