北海道キャンプ場見聞録
塩谷丸山(2021/03/04)
最後のパウダーか?
3年ぶりに、我が家のホームグランドとも言える塩谷丸山に登ることにした。
初めて高速道路を使ってみたけれど、塩谷駅の駐車場まで我が家から40分ちょっとで着いてしまう。
塩谷駅駐車場
最近は山に付き合ってくれることが少なくなったかみさんだけれど、塩谷丸山ならば黙って付いてくる。
二日前に大雪が降り、もしも一人で登るとなると大変だろうと覚悟していたのだが、強力なラッセル要員が一緒に登ってくれるので助かった。
8時30分に駐車場を出発。
スキーを取り付けて重たくなったザックを担いで、住宅街の坂道をトボトボと登っていく。
高速道路の下を過ぎた先は道路も少し広めに除雪されていたので、ここに車を停めることもできそうだ。
10分ほどで除雪終点までやってきた。
そこからは、昨日のものと思われるトレースが伸びていたので、何とか楽ができそうである。
除雪終点、その先にトレースが見えている
このトレースは一人か二人が歩いた程度のもの。しかも、滑り降りたような跡が見当たらない。
山中で一泊しているのか、それとも縦走したのか。
しばらく登っていくと、ようやく滑り降りた跡があったので納得できた。
斜度の緩いところでは、登りのトレースの中を歩いて降りていたのだろう。
前日のトレース
途中のトドマツに、熊のものと思われる爪痕が付けられていた。
最終民家からも近い場所で、家の直ぐ近くを熊がうろついていると思うと、さすがに怖そうだ。
熊の爪痕か?周りの木にも同じ様な跡が
トレースは、私が何時も沢を渡っている場所のかなり手前から沢を越えていた。
積雪が増えると、何処からでも沢を渡れるようになるのである。
このルートで登るのは初めてだったけれど、これまでのルートよりはずっと登りやすい気がする。
樹木もそんなに密生していないので、帰りに滑るのも楽そうである。
帰りも滑りやすそうな林間だ
標高320m付近のトドマツ林で、何時も登っているルートと合流する。
そこの美しいトドマツ林は、塩谷丸山に登る時の一つの目印にもなっているのだが、何となく様子が変わっていた。
トドマツが有るには有るのだが、その本数が少なく感じるのだ。
何となく寂しくなった気がするトドマツ林
風で倒れたのだろうか。
家に帰ってから昔の写真と見比べてみると、大きく育っていた一団のトドマツがそっくりそのまま無くなっていたのである。
多分伐採されてしまったのだろうが、名物が消えてしまってちょっと寂しい思いになる。
以前の美しいトドマツ林
トドマツ林を過ぎた先から急登が始まる。
「さあ頑張るぞ」と気合を入れたところで、突然登りのトレースが消えてしまった。
雪はかなり深く、「ここを一人でラッセルしながら登るなんて大したものだ」と感心していたのだけれど、どうやらここで疲れ果てて心が折れてしまったのだろう。
もしも私一人でトレースのない状態でここを登っていたとしたら、私もこの辺りで引き返していたかもしれない。
この先から急登が始まるのだけれど、途中でトレースが消えてしまった
ちょっと残念だったけれど、ここまで楽をさせてもらえたことを感謝しなければならない。
前を歩いていたかみさんが、そのままラッセルして登っていく。
ラッセルはかみさんに任せる
私は、かみさんが付けたトレースの中を登っていくのだけれど、体重が違うものだから、一歩一歩スキーが沈んでしまう。
これではラッセルしているのと大して変わりがない。
ラッセルしながら登っているかみさんとの距離が開いてしまうくらいだ。
ラッセルしているかみさんとの距離が開いてくる
急斜面を登りきると、後ろに日本海が見えてくる。
のびのびと枝を広げたミズナラやダケカンバが適当な間隔で点在し、この付近の風景が私はとても好きである。
海が見えてきた
かみさんが「どうぞ」と言って、先頭を譲ってくれる。
要は「ここからは貴方がラッセルしなさい」と言うことである。
二日前に大雪が降った後、風がかなり強く吹いていたので、上の方の雪は飛ばされれしまったのじゃないかと心配していたが、結構柔らかい雪が残っていた。
ラッセル交代
今日は天気が良くて陽射しも強く、日中の気温も高くなるとの予報だった。
気温はまだ氷点下でも、直接陽射しを受ける場所では雪も腐り始めている。
また、場所によってはウィンドパックされているところもある。
登りながらそんな雪質を確かめ、帰りに何処の斜面を滑り降りるか見定めるのだ。
雪の様子を確認しながら登っていく
私達より少し先に、2名が山頂に登っていた。
二人ともスノーシューで、夏道コースから登ってきたようだ。
私達の後ろからは若い男女が登ってきていた。
山頂が見えてきた
そうして、午前11時丁度に塩谷丸山の山頂に到着。
除雪終点からは2時間15分、しっかりとしたトレースがあれば1時間半くらいで登れることもあるので、今日は結構時間がかかってしまった。
山頂到着、余市の町が見える
今日は南の風だったので、登っている間は風も殆ど気にならなかったのに、山頂では時々身体が飛ばされそうになるくらいの強風が吹き付けていた。
写真を数枚写しただけで早々に山頂から降りる。
登ってきた若い男女とすれ違う。
一生懸命苦労して私達がつけてきたトレースのお礼を言われるかと思ったが、お礼どころか挨拶もなし。
まあ、別にお礼を言って欲しかった訳じゃないけど、何となく寂しいものである。
ここでシールを剥がして滑り始める
これでノートラックの斜面を先に滑られでもしたら堪ったものではないので、急いでシールを剥がす。
狙っていたのは北側の斜面である。
予想通り柔らかい雪でとても滑りやすい。
斜度もそれ程急ではなく、かみさんも余裕を持ってシュプールを描く。
滑りやすい雪だ
林間に入ってくると雪も深くなってくる。
普段は滅多に転ぶことのないかみさんだけれど、何時もよりスピードを出して滑っているせいで、深雪にスキーを取られて何度か転んでいた。
珍しく転んでいるかみさん
カヌークラブの仲間で滑る時は、昼食もパンを食べるくらいで軽く済ませるけれど、今日は久しぶりに夫婦だけなのでお湯を沸かしてカップ麺を食べることにした。
場所は大きなミズナラの樹の下。
眺めも良くて、それ程寒さも感じず、まるでピクニック気分である。
この樹の下で昼食に
昼食後も、少々木々の密度は濃くなってくるけれど、荒らされていない深雪の滑りを楽しめる。
15分で除雪終点まで降りてきた。
まだまだ滑りを楽しめる
そこからはまた、スキーを背負って坂道を下っていく。
道路の雪は融けてグチャグチャになっていた。
パウダースノーを楽しめるのも、もしかしたら今シーズンはこれが最後になるかもしれない。
下山してくると、すっかり春になっていた