北海道キャンプ場見聞録
幌加内坊主山(2021/02/13)
モナカ雪に退散
週末に企画された道北のバックカントリーツアー一日目は、幌加内の坊主山である。
週末の気温はかなり高くなるとの予報だったけれど、幌加内あたりでは気温もそれ程は上がらず、山の上ならばパウダースノーも楽しめそうだ。
集まったのは13名。
この他に2名が早朝から幌加内にやって来て、坊主山の隣の犬牛別山に登っているらしい。
登山口になる産業廃棄物処分場の周辺には除雪の雪を押し付けた場所が所々にあって、そこに車を停められる。
私が初めてここに来た時はもっと広く除雪されていたけれど、豪雪地帯の幌加内なので車を停められる場所があるだけで有り難い。
除雪のスロープに車を乗り上げて駐車
午前9時45分スタート、先行者のトレースの中を進んでいく。
私が坊主山に登るのはこれが3回目。
過去2回は、右側の尾根から登っていたのだけれど、そちらへのトレースはあまり見当たらない。
先頭のI山さんは、そのまま沢沿いを進み左側の斜面へと登っていく。
今回も大人数
こちらは坊主山の隣の犬牛別山へと登るルートになるのだけれど、こちらからでも坊主山には登れるので、私は最後尾から付いていくだけだ。
雑木林の斜面を登っていく。
今日の参加者に合わせて、先頭のI山さんが緩い斜度で登ってくれる。
それが途中から先行者のトレースの中に入ったところ、急に斜度がきつくなった。
このトレースは犬牛別山に向かったF本が付けたものに違いないと、皆の意見は一致する。
一緒に登ると、ペースが速すぎるとか、斜度がきついとか、何時も皆から文句を言われているF本さんなのである。
この辺りから既にモナカ雪になっていた
スタートしてから50分ほどで尾根の上へと出てきた。
坊主山の山頂も見えてくる。
その斜面の雪には亀裂が何本も入っていた。
幌加内周辺の山にはスキーで滑れそうなオープン斜面が沢山あるのだけれど、その殆どにこんな亀裂が入っているのだ。
斜面が急なのか、雪が多いからなのか、遠くから見るだけでは分からないけれど、恐ろしくてそんな斜面を滑る気にはなれない。
坊主山の斜面にはあちらこちらに亀裂が入っている
尾根の上を登っていくにつれ、雑木林からダケカンバとトドマツの林へと変わってくる。
そして後ろには三頭山の姿が見えるようになってくる。
今日は曇り空で、日差しは無いけれど高曇りなので見通しは悪くない。
良い眺めが広がっている。
登るにつれて背後の視界が開けてくる
森の中に巨大な雪の塊が
途中で折れたダケカンバの幹に巨大な雪の塊が乗っているのを見つけた。
その塊に顔を書こうとするが、大きすぎて下の方にしかストックが届かない。
近くには同じ様な雪の塊が落下した跡もあり、もしもこの塊が落下すれば大怪我するのは必至だ。
結構命がけの行為なのである。
顔を書いて直ぐに塊の下から逃げ出す
雪に覆われた美しいトドマツの間を抜けていく。
この時期ならばもっと厚い雪に覆われていても良いはずなのに、途中の暖気で雪の衣が一旦脱げてしまったのかもしれない。
雪の衣が少し薄めのトドマツ
そのトドマツの間を抜けると、山頂へと続く最後の急斜面が現れた。
少し離れて、皆がその斜面を登っていく様子を撮影する。
上空には少しだけだが青空も覗いていた。
山頂への最後の登り
その斜面を登りながら後ろを振り返ると、三頭山がその麓まで見事に見えていた。
その手前を、遅れている3人が苦しそうな表情で登ってきている。
三頭山の姿が素晴らしい
そうして12時ちょうど、坊主山の上まで登ってきた。
山頂はもう少し先だけれど、今日はここから登ってきたのとは反対側の斜面を滑るつもりらしい。
ここから坊主山の東斜面を滑り降りる、後ろに見えるのは犬牛別山
まだ誰も滑っていない真っ白なオープン斜面。
勇んで滑り始めたが、完全なモナカ雪に途中で滑りが止まる。
昨日は全道的に朝から快晴となっていたので、強い日差しで雪の表面が融け、それがまた凍結したのだろう。
南斜面でそうなるのは大体予想はしていたけれど、この斜面は東向き。
それでもやっぱりモナカ雪となっていたのだ。
東斜面はモナカ雪だった
斜面の下の方まで滑ってくると、雪も少しは良くなってきた。
パウダージャンキーの人たちは、更に良い雪を求めて沢に向かって滑り降りていく。
一方、軟弱メンバーは、この先は木が混んでくるし、登り返すのも大変になるからと、そこで滑るのを止めた。
勿論私も軟弱者の一人である。
結局、滑った標高差は50m程度で終わったのである。
一人でサッサと登り返していくかみさん
一休みしてから登り返すと、間もなくして沢の底まで滑り降りたメンバーも戻ってきた。
そこから山頂を経由して、何時も登っているコースを滑り降りる案もあった。
しかし、それだと南斜面のモナカ雪を滑ることになるので、登ってきたルートをそのまま下りることにする。
改めて全員が揃って記念撮影
そちらの方は北西斜面になるので、登ってくる時にもパウダー斜面だったことを確認していたのである。
短い区間だけれど、パウダーの滑りを楽しむ。
テレマークスキーの方はゆっくりと滑ってくれるので写しやすい
私がバックカントリーを滑る時は、防水一眼デジカメのNIKON AW1を何時も持ち歩いている。
それをザックのショルダーベルトに取り付けているので、撮りたい時はサッと簡単に取り外せる。
それが今回は、重たい一眼デジカメCANON EOS Rを首からぶら下げるケースに入れて持ってきてみた。
確かに写りは良いのだけれど、ケースからの出し入れも面倒で、AW1の様にカメラ任せでシャッターだけ切っていればそれなりの写真が撮れるわけでもない。
こちらもテレマーカー
皆が滑っているシーンをズームで狙おうと思っていたのだけれど、写った写真はどれも手ブレしたものばかり。
一眼レフを使いこなすのは難しい。
かっ飛ばす人の中では何とか上手く写せた1枚
雑木林の中は、登る時からモナカ雪だった斜面。
悪雪の中を滑っていると太腿の筋肉が悲鳴を上げる。
途中で犬牛別山に登っていた二人が追い付いてきた。
犬牛別山の北斜面はパウダースノーだったみたいで、そこを3本も登り返して滑ったとのこと。普通の人間にはちょっと真似できない行為である。
そうして、無事に全員揃って車まで戻ることができた。
この後は、アグリ工房まあぶのコテージに泊まるメンバーが6人、他の温泉宿に泊まる人が2名、旭川に帰る人やそこに一緒に泊めて貰う人などに分かれて、それぞれの場所へと分かれる。
私達は幌加内市街地にある旅館に泊まることにしていた。
幌加内温泉ルオントで汗を流してから、宿へ向かう。
雪に埋もれた道の駅のトイレ
去年の暮にS藤さんが考えてくれた計画では、まあぶのコテージを2棟予約してそこに皆で泊まる事になっていた。
それが、コロナの感染拡大がなかなか治まらないこともあり、この様な形になったのである。
私達が泊まる幌加内の宿は、ほろかない割を使うと一泊二食付きで一人二千円と、格安に泊まることができた。
幌加内市街地の道路は幹線も生活道路も完璧に排雪されていた
豪雪に埋もれた幌加内の街で1泊するのを楽しみにしていたのだけれど、幌加内の街の中は道路も綺麗に排雪されていて、期待していた風景は何処にも見られなかった。
地元に住んでいる方には怒られそうだけれど、ちょっと期待外れの幌加内泊だったのである。
雪山に登ると、雪に埋もれた様子を少しは感じられた