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暑寒別岳(2018/04/18)

最高の春スキー


混み合った駐車場

土曜日に暑寒別岳に行きましょうとの誘いがあったけれど、週末までは待っていられなかった。
今年のホワイトシーズンの締めくくりとして登ろうと考えていた暑寒別岳。
全道的に青空が広がり風も弱いまさに山スキー日和の一日、速攻で出かけることに決めた。

暑寒荘の駐車場に着いたのは午前7時半。
平日のそんな時間でも、駐車場は既に混み合っていた。
5日前にここまで来る道が除雪されたばかりで、駐車場も端の雪が完全に融けていないので少し狭く感じる。

暑寒別岳は夏に一度登っただけで、積雪期は初めてである。
午前7時55分暑寒荘の前を出発して、しばらくは林道を登っていく。
カーブしている林道を所々でショートカットできそうだったけれど、無理はしないで緩やかに登っていく。


雪に埋もれた暑寒荘

林道を登っていく



尾根の上に出てきた

その林道を離れ、やや急な林間を登ると細い尾根の上に出てきた。
登り始めてからここまで50分。

雪山ガイドでのコースタイムは4時間10分。
何時ものペースでは休憩をとるような時間ではないけれど、今日は長丁場の登りになるので、無理をせずにここで最初の休憩をとる。

細い尾根なので、視線を遮るものもなく、とても良い眺めだ。
目指す暑寒別岳はどの山なのだろう。
地図を広げればすぐに分かるのだけれど、何処が目的地なのか分からないままに登っていくのも面白い。

そこから一番格好良く見えていたのが暑寒別岳かなとも思っていたが、後で調べるとそれは西暑寒別岳だった。
暑寒別岳の山頂は、これから登っていく尾根の陰に隠れていたのである。


どれが目指す暑寒別だけなのか?


休憩を終え、尾根の上を登っていく。
途中に3合目の標識が立っていた。
結構登ってきたつもりだったけれど、まだまだ先は長い。


かみさんに置いていかれないように必死に後を追う

緩やかな登りが続いている。
急な登りはないけれど、歩いているうちに腕時計の高度表示が順調に増えていくのが嬉しい。

自分のペースで登っていくかみさんとの距離が次第に開いてくる。
そのペースに合わせると汗をかきすぎるので、置いていかれるのは気にしないで私も自分のペースを守る。
陽射しが強いので、それでも汗をかいてしまう。
気温はそれほど上がっていないようで、日の当たらない場所の雪はまだ固く締まったままである。

前方に見えていたドーム状のピークが次第に大きくなってきた。
そこを越えてから休むか、登り始める前に休むかで迷ったけれど、もう少しで登り始めてから2時間になるし、体力的に結構消耗していたので、ここで2度目の休憩をとる。


ドームが次第に大きくなってくる

 

軽食をとって体力も回復し、ドームに向かって登り始める。
途中でソロの男性を追い抜いた。

ドームはその東斜面をトラバースして通り過ぎる。
途中まで登っていくと、その向こうに真っ白な山が見えてきた。それが頂上台地から続く大斜面である。


ドームに向かって登っていく

ドームの先に大斜面が見えてきた


ドームを巻いて再び尾根の上に出てくると、滝見台と書かれた標識が立っていた。
谷を挟んで真正面に見える西暑寒別岳の姿がとても格好良い。


滝見台から眺める西暑寒別岳



屏風岩とその先の大斜面

多分、その深い谷のどこかに滝が見えるのだろうが、4年前の夏に登った時の記憶がよみがえってこない。
家に帰ってからその時の写真で調べてみたが、ガスに包まれて何も見えなかったのである。

4年前の時はガスの中をずーっと登っていたのだ。
どおりで何処の景色にも見覚えがなかったわけである。

大斜面の手前には屏風岩のピークもあるが、これも東斜面をトラバースし、屏風岩と大斜面の間のコルへと出る。

ここまで登ってくる間、風は殆ど吹いていなかったのに、コルへと出てきた途端に猛烈な風が吹きつけてきた。
そこが丁度、風の通り道になっているようだ。


下から見るとそんなに急には見えない大斜面だが

目の前の大斜面は北向きで、まだ凍っていることも考えられるので、スキーアイゼンをここで装着する。
私たちの先に大斜面を登っていたソロの男性は、途中からスキーを背負って登り始めたので、やっぱり凍っているようだ。

それ程急な斜面ではなく、アイゼンの刃も凍った雪面に小気味よく食い込み、ほぼ直登気味に登っていける。
しかし最後の数十メートルで傾斜が急になり、さすがに直登は難しくなる。

しかも、完全に氷の斜面である。
下から見上げた時も、キラキラと光って見えていたところだ。


大斜面の上はハイマツ帯になっていた

そこを斜めに登ろうとしても、スキーのエッジは全く役に立たず、スキーアイゼンの僅かな刃だけで体を支えなければならない。
ここでかみさんがギブアップ宣言。
スキーを脱いでつぼ足で登ると言うが、本格的なアイゼンが無ければ、氷の斜面を登れるわけがない。

東側に回り込めば、傾斜も少し緩やかになるはずなので、そこから横向きのまま少し高度を下げ、氷の斜面の下を横切り、何とか大斜面の上まで上がることができた。
ここでまた、滑り降りてきたソロの男性とすれ違う。

大斜面を登った先は、背の低いハイマツ帯が広がっていて、しょうがなくその上を歩いて雪のある所まで出る。
そしてそこから暑寒別岳山頂に向けて最後の一登り。
駐車場を出てから4時間5分で山頂到着。
コースタイムより30分くらいは早く登れるだろうと思っていたが、結局ほぼコースタイム通りとなってしまった。
標高差も1200m近くあり、やっぱり4時間はかかってしまうのだ。


暑寒別岳山頂



コルから先では風も当たらなくなっていたのに、山頂まで来るとさすがにまた強風が吹きつけてきた。
霞んではいるけれど、遠くの山まで良く見えている。


海の向こうには羊蹄山の姿が

ただ、見えている山の名前が全く分からない。
かなり昔に雨竜沼湿原から南暑寒別岳に登って、そこから見える暑寒別岳の姿に感動したことがあった。
その南暑寒別でさえ分からない有様だ。

唯一分かるのが羊蹄山である。
しかし、その手前に海らしきものが広がっている。
あれ?と思ったけれど、考えてみればここと羊蹄山との間には石狩湾があるのだ。
何時もと違う山に登ると、周りの山との位置関係が分からなくなってしまう。

もう一つ、名前の知っている山が見えているのに気が付いた。
利尻山である。
ここから200キロ近くも離れている山まで見えるとは驚きだった。
ただ、利尻山が見えているのに、もっと近くにあるはずの天売島や焼尻島の姿は見えない。
今日は、雪を被った真っ白な山の方が良く見えているようだ。


遠くにも山が見えているが名前は分からない


山頂では、私たちの先にスキーを担いで登っていた男性がそんな山の風景を夢中になって撮影していた。
暫くして、途中で追い越した男性も登ってきた。


ここで昼の休憩

駐車場の様子から、今日はもっと沢山のパーティーが登っているのかと思っていたが、ほとんどがソロの登山者だったみたいである。
多分今日は、天気に誘われて急遽山行を決めたような登山者ばかりなので、自由に行動できるソロの人が多いのだろう。

山頂から少し下れば風も当たらなくなるので、そこで昼の休憩。
暑寒別岳の上空には刷毛で掃いたような絹雲が広がっていた。
太陽には暈もかかっている。
そんな様子が雪山の風景にとてもマッチしている。

それにここでは、雪の汚れも殆ど気にならない。
黄砂もここまでは飛んできてないようだ。


暑寒別岳山頂と絹雲


帰る時になっても、大斜面の雪はガリガリのままだった。
春山ではザラメ雪を滑るのが楽しみなのに、この大斜面の雪が融けるにはもっと気温が上がる必要がありそうだ。
駐車場で見た5人パーティーが、苦労しながら登ってきていた。

かみさんは凍った斜面を滑るのにも苦労しているようだ。
斜面の途中から振り返ると、絹雲が山の上から湧き上がっているように見え、そしてそこに太陽の暈がかかり、何か神々しささえ感じるような光景である。


神々しさを感じる風景だ


コルまで降りてくるとザラメ雪に変わり、ようやく安心して滑れるようになる。
それでも、凍った斜面を滑るのは太ももに負担がかかるが、重たいザラメ雪も結構足にこたえる。
ただ、大斜面以外はそんなに急な斜面もないので、周りの風景を眺めながら気持ち良く滑り降りることができる。


気持ち良くザラメ雪を滑る


そうして午後2時に駐車場まで降りてきた。
大斜面の雪が凍っていたことと、山頂での風が強かったことを除けば、The Dayの言葉がピタリと合うくらいの素晴らしい山行となったのである。



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