北海道キャンプ場見聞録
タケノコ山(2018/01/27)
一番のパウダー
札幌を出てから富良野の町まで、雪深い風景の中を車を走らせる。
しかし、富良野から南富良野に向かうにしたがって雪が少なくなってくる。
芦別岳や夕張岳が西風を遮り、雪雲はこの辺りまで流れ込まないのだろうか。
そんなことを考えながら、集合場所である南富良野の道の駅に到着。
そこから3台の車に乗り合わせて、タケノコ山へと向かった。
先頭のI山さんの車が、丁寧に除雪されているとはとても言い難い林道をどんどん奥へと入っていく。
このまま入っていって大丈夫なのかと心配していると、私の前を走っていたKさんの運転するアルファロメオが、深い雪にタイヤがはまってスタック。
4人がかりで車を押して脱出し、ようやくタケノコ山の登り口までたどり着いた。
林道は更に先まで除雪されていて、作業車が通ることも考えられる。
既に先客の車が1台停まっていて、通行の邪魔にならないように、何とか3台の車を停めることができた。
雪がちらちらと舞っているけれど風がないのが良かった。
午前10時に登り始める。
今回の参加者は8名。
何となく私が先頭になってしまったので、今日の参加者に合わせてゆっくりペースで歩いていく。
先客の車の人は単独でスキーで登っているようだ。
他には、前日のものと思われるスノーシューのトレースが続いている。
林の中を抜け、20分ほど歩いたところで林道を横切る。
その先から倒木が目立つようになってきた。
タケノコ山には去年、一昨年と登っているが、こんなに倒木が多かっただろうか。
行く手を塞ぐ大きな倒木の下を、苦労して潜り抜ける。
次第に傾斜が急になってくる。
ここからタケノコ山の辛い登りが始まる。
尾根の上に出るまで、標高差約250mを一気に登らなければならないのだ。
尾根の上に出たところで一休みしようと思ったけれど、そこまで体力が持ちそうにない人が多かったので、途中で休憩を入れる。
休憩の後はI山さんが先頭になる。
その後にピタリと続くかみさん。
この二人が前に出ると、後続との距離が次第に開いてくるのは何時ものパターンである。
スノーシューのトレースは、スキーと比べると急な角度で登っていることが多い。
私は3番目で登っていたけれど、前の二人が踏み固めた後のトレースは、スリップしやすくなっている。
私も時々スリップしたけれど、もっと後ろから登っているテンコさんはかなり苦労していたようだ
尾根の上に出てくる頃には少しだけ青空も覗いてきていた。
斜面の傾斜は緩くなるけれど、登る角度自体は大して変わらないので、辛さは同じである。
ただ、次第に下界の風景も見えてきて、樹氷に包まれた樹木も美しく、それらが登る辛さを和らげてくれる。
雪が少ないんじゃないかと心配していたが、それは杞憂だったみたいだ。
おまけにふわふわの雪である。
このパウダーを滑れると思うと、登るのにも力が湧いてくる。
何時の間にか、後ろから別の登山者が登ってきていて、私たちを追い抜いていった。
何時の間にか後ろに迫る登山者
「えっ!もしかしたら先にノートラックの斜面を滑られちゃうの?」
そんな 心配が頭をよぎる。
それでも、もう少しで山頂である。
前回の白樺山に続いて参加しているKさん。
最後尾からヨレヨレになりながら登ってきていて、山頂までたどり着けるだろうかと心配していたが、いつの間にかコージさんを追い抜いていたのには驚かされた。
でも、コージさんの年齢が70歳であることを考えれば、それを追い抜いたからと言って、驚く方が間違っている気がする。
追い抜いていった3人はそのまま山頂を目指していた。
その手前で止まったI山さん。
「滑るのはここからになりますが、山頂を目指しますか?」と皆に問いかける。
勿論、それに手を挙げる人は誰もいなかった。
右端には山頂を目指す登山者の姿が
もう少し天気が良ければ、山頂からの風景も見てみたかったが、今日の天気では大した展望も期待できない。
少しだけ青空は見えていたけれど、相変わらず小雪が舞っているのだ
それに、ノートラックの斜面を先に滑られる方が心配だったのである。
私たちの前にスキーで登っていた人のトラックは見当たらず、前日のボードのトラックも残っていない。
目の前には純白の斜面が広がっている。
まずは、疎林の緩斜面を一滑り。
その雪の良さに皆が歓声を上げる。
樹氷も素晴らしい。
その先のオープンバーン。
例によってビデオ撮影のためにI山さんが先に滑り降りる。
斜面が急になるので、途中でI山さんの姿が見えなくなる。
私のI山さんの後を追って滑り始める。
突然、斜面の斜度が変わる。
その先にI山さんの姿が見えたけれど、予想以上に傾斜がきつかったので、バランスを崩して尻餅を付いてしまった。
雪は深かったけれど、すぐに起き上がることができて再び滑り始める。
周りにパウダーが舞い上がる。
I山さんの前を通り過ぎたところで止まったが、腿まで雪に埋もれそうだ。
他の皆も派手にパウダーを巻き上げながら滑り降りていく。
かみさんにこの斜面は急すぎるかと思ったが、雪が良いので怖がらずに滑っている。
他の山だと、これだけ滑ると斜面は終わりなのだが、タケノコ山ではまだまだ先があるのだ。
苦労して登った分をほぼそのまま滑ることが出来るのが、この山の良いところである。
斜度がいくらか緩くなったので、今度は思いっきり滑ることができる。
コージさんが凄い勢いで一気に斜面の下まで滑り降りていく。
今日は参加していないけれど、まるでI上さんみたいである。
かみさんも絶好調
かっ飛ばすコージさん
途中から、もう一つの斜面と合流する。
そちらの方には何本ものトラックが刻まれていた。
私たちの滑った斜面の方だけがノートラックだったのだ。
下まで降りてきたところで改めて私たちの滑ってきた斜面を振り返ると、そこは見事なほどにトラックだらけの斜面に変わっていたのである。
さすがにこれだけ滑ると、お腹いっぱい。
「登り返そう!」何ていう人は誰もいなかった。
今シーズン一番とも言えるパウダーを満喫して、後は木々の間を縫いながら車まで滑り降りたのであった。