トップページ > 山登り > 雪山遊び

日勝ピーク他(2012/4/28)

最高のお天気


GW初日は全道的にほぼ快晴の天気予報となっていた。
せっかくの良い天気が勿体ないので、その日は十勝の実家へ里帰りすることにしていたところに、途中で日高の山に登る予定を急遽盛り込んだ。
日勝トンネル上部の様子しかし、日高の町を過ぎて峠道に入っても、周辺の雪はほとんど解けてしまっていて、日陰の所々に残っている程度である。
何時ものように日勝トンネルの日高側入口から登ろうと思っていたけれど、雪が無ければどうしようもない。
今年は全道的に雪解けが遅れていたはずなのに、こちらの方は積雪も少なかったのだろうか。
心配しながら車を走らせていくと、峠頂上に近づく辺りから積雪が増え始め、日勝トンネルの上部にはまだ十分な雪が残っていた。

山スキーの男女とソロの男性が私たちの先に登り始めた。
暖かいので、ソロの男性は最初から半袖のTシャツ姿である。
私たちは今回、ペケレベツ岳を目指すつもりでいた。
途中で登り返しもあり、気軽な山登りのつもりでいたので、山スキーではなくスノーシューを履く。

ハイマツが行く手を阻むGPSのスイッチを入れたところ、何故か地形図が表示されない。
今回は急に決めた山行だったので、紙の地図も持たず、GPSにルートも登録していなかったので、ちょっと焦ってしまった。
でも、GPSの地図表示以外の機能には問題が無く、途中で稜線まで上がってしまえば後は尾根伝いに歩くだけなので、道に迷う心配はない。
天気も良いので、周りの山を見ながらルートを考えることにして登り始める。

まずは1445mの通称日勝ピークを目指して登っていく。
雪はまだ十分に残っていたが、既にハイマツが出てきているので、その隙間を探しながら登る。
所々にまだ雪に埋もれたハイマツがあり、そんなところでは下に空洞ができているので、スノーシューを履いていてもズボッと埋まってしまう。
日勝ピークへの斜面を登る先に登っている人の後を追えば良かったのだが、ペケレベツ岳へは斜面の左寄りに登った方が近道になるのだ。
ハイマツの迷路と落とし穴に苦労しながら、何とかハイマツ地帯を抜けることができた。

後ろを振り返ると、遠く十勝連峰まではっきりと見えていた。
目指すペケレベツ岳の山頂に立てば、今日は素晴らしい展望を楽しめそうだ。
かみさんは日焼け対策のため、既にアルカイダ風の覆面姿に変わっていた。

日勝ピーク山頂へ続く大斜面を、やや左側を目指してトラバース気味に登る。
スノーシューでは直登する時は良いけれど、こうして斜面を斜めに進む時には足首から曲がってしまうので、登りづらくてしょうがない。
半袖の男性が早くも滑り降りてきた。
気持ち良さそうに滑っている姿を見ると、やっぱり山スキーの方が良かったかなとちょっと後悔した。


青空を背景に登る 急斜面を登る
強い日射しを避けるためにほっかむり

遠くには十勝連峰も見えてきた


ようやくその斜面を登りきると、針葉樹の森の向こうにペケレベツ岳の姿を確認できた。
しかし、樹木が密生しているため、そこまでのルートが分からない。
かみさんは早くも、「日勝ピークで良いんじゃない?」と言い始める。
針葉樹の森今回は急きょ決めた予定だったので、かみさんは最初から乗り気じゃなかったようだ。
何時ものことだけれど、山に登る時に二人の意見が合わないと言うのは困った問題である。

そんなかみさんを無視して針葉樹の森の中に足を踏み入れる。
かみさんが嫌がっているのは、どうやら熊を怖がってのことらしい。
以前、同じ時期に日勝ピークに登った時、真新しいクマの足跡を目撃していたので、余計に怖がっているようだ。
今回はクマ避けの鈴も付けているし、それを怖がっていたら山に登ることなどできやしない。

熊よりも私が不安なのは、ルートが全く分からないことである。
針葉樹の森の中は歩きやすかったけれど、周りが見えないので進む方向は感に頼るしかない。
森の中に入ってからはずーっと下りが続いている。標高にしてどれくらい下れば良いのかは、地図を見なければ分からないのだ。
下りすぎて沢の中に入ってしまうのは避けたいので、途中から稜線に出ることにした。

視界が開けたやや樹木の密生した場所を抜けると視界が一気に開けた。
眼下に十勝平野の風景が広がる。
峠を下る国道が遥か足元に見えている。
そして目指すペケレベツ岳は、まだかなり先だった。
そして今いる場所からはそこを目指すためには、もっと下まで降りなければならなかった。
ペケレベツ岳に登るための夏道の様子も良く分かった。
十勝側にあるその登山口は、日勝トンネルの標高と比べると○m程低い。
その高低差だけを見て、今回のルートを選んだのだが、途中から登り返す分を加えれば、夏道を登った方が正解だったかもしれない。


稜線からの眺め
足下に国道が見える

ペケレベツ岳 日高の山並みを望む
ペケレベツ岳はまだ遠い 日高の山並みを望む

ちょっと迷ったけれど、とりあえずはペケレベツ岳を目指して下っていくことにした。その付近は樹木が密生して歩きづらい。
目標をこちらのピークに変更そして、いくら下ってもなかなか鞍部まで達しない。
後で地形図で確認すると、登り始めた場所とそこの鞍部の標高はほとんど変わらなかったのである。
苦労して登った分を全て下らなければならないのだ。

さすがに途中で嫌になって、ペケレベツ岳を目指すのは諦めることにした。
同じルートを引き返して、代わりにこちら側の稜線の小高いピークまで登ることにする。
そのピーク直下がまた樹木が密生していて、途中で諦めかけたけれど、ようやくその頂に立つことができた。

そこから下を見ると、日勝トンネルを十勝側に抜けて直ぐのところに架かる日勝大橋、日勝トンネルの真上に位置する展望台、そしてそこから熊見山や労山熊見山、双殊別岳へとつながる稜線、全てが一望できた。
その山の向こうに白く浮かぶのは十勝連峰の山々だ。
そこから右へ視線を移すとトムラウシ山、更に進むと十勝平野の向こうにウペペサンケやニペソツなどの東大雪の山並みが続く。
正に絶景である。
日高の山を眺めながら昼食ちょうど良いスペースがあったので、まだ11時だけれどそこで昼を食べることにする。
風は微風、降り注ぐ春の陽光でポカポカと暖かく、日高山脈の山でこんな穏やかな時間を過ごせるのも、今の季節ならではだろう。
真冬の日高山脈ならば、こんなピークのてっぺんに立つだけでも命がけの行動である。

日勝ピークに登る登山者の姿が間近に見える。
その向こうには沙流岳の姿も見えている。
日勝トンネルから登る人たちは、大部分がその沙流岳を目指すようだ。
ペケレベツ岳から続く稜線のスカイラインも如何にも日高山脈らしい眺めである。


ピークからの眺め
右下に日勝大橋、中央に展望台、大雪の山並みが地平線を作る

日高山脈を眺める 東大雪の山並み
日高山脈らしいスカイラインだ 東大雪の山々

日勝ピークを目指してそのピークを降りて再びトドマツの森へと入っていく。
気温が上がってきたせいか、場所によってはスノーシューでも埋まってしまうところが出てくる。

そして再び上り坂となり、そのまま勢いで日勝ピークまで登ってしまった。
そこからは新たにトマムのスキー場や芦別岳、夕張岳の姿も楽しめる。

先程のピークは1359m、日勝ピークは1445m。
こちらの方が100m近く標高が高いので、大雪の山々も良く見える。
この天気ならば、そこにも沢山の登山者が登っているのだろう。



日勝ピークからの展望
やっぱり標高の高い方が眺めも良い

昼食を食べていたピーク
トマムスキー場と芦別岳 このピークで昼を食べていた

そんな風景をひとしきり楽しんだ後、下山開始。
スノーシューで急な傾斜を降りるのは難しいので、それはザックにくくり付けてツボ足で降りることにした。
解けて柔らかくなった雪は、ツボ足で降りるにはちょうど良かった。
つぼ足で下りる急な斜面では、コツさえ掴めば、登山靴のままでもスキーのように滑り降りれそうである。
今回は山スキーではないので下りは苦労するかなと思っていたが、予想に反して駆け下りるような速さで降りることができた。
ただ、さすがに下の方まで来ると太ももが痛くなってきた。
おまけにハイマツ帯に入ると落とし穴の洗礼が待ち受けている。
足跡を見ると、私たちの後からツボ足で登った人もいるようだ。
スノーシューを履いていても結構苦労したのに、ツボ足ならばさぞ大変だったことだろう。

そうして駐車場を出てから4時間後に同じ場所まで戻ってきた。
来年の春は沙流岳を目指すか、夏道からペケレベツ岳にチャレンジすることになりそうだ。


斜面を一気に駆け下りる 落とし穴に注意
その気になれば靴だけで滑れそうだ ハイマツ地帯は落とし穴だらけ


地図

戻る │ ページトップへ