北海道キャンプ場見聞録
手稲ネオパラ(2012/1/19)
登りも下りもヘロヘロ |
今日は軽く手稲ネオパラに登ることにした。朝から弱い雪がちらついているものの、天気は回復してくるはずである。 家からも近く、平日なので駐車場所も空いているだろうと、のんびりと8時頃に家を出る。ところが現地に着くと既に先客の車が4台も停まっていた。 まだ2、3台は停める余裕があるけれど、のんびりし過ぎていると駐車スペースが無くなってしまうかもしれない。 除雪された雪山ギリギリに寄せて駐車すると、車が大きく傾く。これで何とか、横を車が通れるスペースは確保できただろう。 スノーボードのソロの男性に続いて、私達も登り始める。 札幌市内では、しばらくまとまった雪も降っていないので、何日も前からのトレースが沢山残っている。歩きやすいのは良いけれど、、周りの木々には雪も積もっていなくて、ちょっと殺風景だ。 最初は林道を歩き、その林道が右に曲がったところからは、沢沿いの、地図には載っていない林道らしき場所を真っ直ぐ登っていく。 時々、倒木に行く手を阻まれる。その度にトレースは、大きく迂回したり、倒木の上を乗り越えたり、或いは下をくぐったりと、分岐を繰り返す。 トレースが分かれている所では、どちらを選択するかで迷う場所も出てくる。もしもこれが何もなければ、まるで迷路の中を進んでいるようなものである。 私たちが選んだトレースは、その先で急な斜面を登って林道の上に出てきた。その登りが急すぎて文句を言いたくなったけれど、やっぱり林道の方が歩きやすい。 この林道は下る時のルートになっているけれど、少し遠回りになっても最初からここを登るのもありそうだ。 再び林道を離れて沢状の地形の中を登っていく。ここからは木々もまばらになるので登りやすくなる。 それらの木々には殆どと言っても良いほどに、ブドウやツルアジサイ、ツルウメモドキなどが巻き付いている。中には、巻き付いている蔓の方が太くなっていたり、蔓の重さで倒れ掛かっている樹木もあったり、森の中でも静かな戦いが繰り広げられているようだ。 前方に見えてきた何本もの赤いリボンがぶら下がっている場所は、沢が開いているところである。ここで再び林道を横切り、沢を詰めた後には、第3斜面の急登が待っている。 |
樹木と蔓の戦い | 赤いリボンが見えてきた |
私たちの前に出発したスノーボードの男性の姿はとっくに見えなくなっていたが、どうやら私たちの前に登っているのはその男性だけらしい。その他のトレースには、今朝降ったばかりの雪が1センチほど積もっている。 男性のスノーシューのトレースは急すぎるので、昨日以前のスキーのトレースを見つけてそこを登ることにする。 ところが、そのトレースも急すぎて何度もスリップし、途中からは諦めて自分でラッセルしながら登る羽目になる。やっとの思いで第3斜面を登り終えた後は、びっしょりと汗をかいていた。 その先は第2斜面に向かって、林間の斜面をトラバースしていく。再び、先行するボーダーの男性のトレースを使わせてもらう。 ところが、第2斜面までやってきたところで、その男性のトレースが突然向きを変えて、第2斜面の左側へと続いていた。ここでは右側の樹林帯を登るのが一般的なので、そのトレースの向かった方向には他のトレースは見当たらない。 スノーシューと山スキーでは登るルートも違うので、私たちはそのまま右側の樹林帯を目指すことにする。 第2斜面の雪面は、登りのトレースやら下りのシュプールやらで、もうぐちゃぐちゃである。これでは帰りの滑りは楽しめそうにない。 どれが登りのトレースなのかも判然としない中で、ようやくそれらしいものを見つける。ところが、第3斜面の時と同じく、スリップしてそのトレースを全然登れないのだ。 このところの冷え込みでトレースの表面は凍り付き、その上にうっすらと雪が積もっているので、スキーのシールが全然効かない。ストックで体を支えようとしても、ストックは空しく雪の中にズボズボと刺さっていくだけだ。 違うトレースに変えてみても状況は同じ。そのトレースが、途中で立ち木にぶつかったりとか、行き場を失って横歩きで上に登っていたりとか、変なものばかり。かみさんと二人で、「なんだ!このトレース!」と毒づきながら、何とか第2斜面を登り切った。 後ろを振り返ると、札幌の市街地が眼下に広がっていたが、残念ながら、雲に霞んで見えている。おまけに、疲れ切っているので、景色を楽しむ余裕など全然ない。ここまでくればネオパラの山頂はもうすぐなので、休まずにそのまま登ることにした。 最後に、山頂直下の第1斜面に壁が待ち構えていた。何度もスリップを繰り返しながら、少しでも緩いトレースを探し、ようやく山頂に到着。 出発してから2時間20分。トレースの中でスリップさえしなければ、もっと楽に登れたのに、時間の割には疲労困憊だった。 山頂ではボーダーの男性が既に休んでいた。スリップして大変だったことを話すと、彼が登ってきた方も、他のトレースが何もなくてラッセルで大変だったようである。 ネオパラの山頂は平らな部分が広がっているので、そのまま奥の方へ行ってみる。そこには旧手稲ハイランドのパノラマ第3リフトの降り場と第2山頂スナックの建物が残されている。 このリフトが動いている頃に2回くらいは乗ったことがある。使われなくなってから何年くらいたっているのだろう。 このリフトは他のリフトからの連絡も悪く、リフト沿いのコースも大して面白くは無い。経営者が変わり効率化が求められれば、個々が真っ先に廃止になるのはしょうがないのかもしれない。 山頂では結構雪が降っていたので、リフトの施設の下に入って一休みする。そこから見える手稲山の山頂も雪に霞んでいた。 ところが、しばらくすると北西の空から徐々に青空が広がり始めた。 「これは期待できそうだぞ!」と、そのまま待っていると、手稲山を隠していた雲も全て消えてなくなり、上空には澄み渡った青空が広がった。 手稲山のゲレンデを滑るスキーヤーの姿もはっきりと見えている。スキー場側からもこちらの姿が見えるはずだけれど、ゲレンデのスキーヤーはこちらの山のことなど気にもかけていないのだろう。 私も、ゲレンデだけで滑っていた頃は、こんな山の存在など気にもかけていなかった。 |
ゲレンデを滑るスキーヤーが見える | 素晴らしい青空が広がった |
ネオパラ山頂から望む手稲山山頂 |
そのまま山頂をぐるりと一周する。何故か、枯れてしまったダケカンバが多い。雪に覆われているので分からないが、もしかしたらこの辺りの土地を何かいじっているのかもしれない 銭函天狗山がくっきりと見えている。去年の11月にこの山に登って以来、その姿が見る度に何となく嬉しくなってくる。多分、山を登る人は皆、自分の登った山を違う山の頂上から眺めては、にんまりとしているのだろう。 石狩湾の海岸線も一望できるのだけれど、樹木が邪魔で、木々の枝越しに眺めるしかない。眺めの良い場所で昼にしようと思ったが、山頂にはそんな場所は無かった。ネオパラでは第2の壁の上が一番眺めが良いのだ。 |
銭函天狗山がよく見える | 石狩の海岸線は樹木の枝越しに |
結局、最初に登ってきたところのエゾマツの下に場所を定める。おにぎりとカップヌードルの昼食を食べていると、次々に登山者が登ってきた。平日なので、既にリタイアしたお年頃の方が多い。本当に最近のお年寄りは元気がいいと感心してしまう。 混みあってきたので、食事を終えると早々に滑り降りる。 頂上直下の急斜面は、平らな雪面が残っていないくらいに荒れていた。殆ど斜滑降だけでそこを滑り降り、第2の壁へと向かう。 登って来た時とは比べ物にならない、素晴らしい景色が広がっていた。札幌の市街地が一望の下に見渡せる。 その市街地の向こうには夕張山地の山々も見えている。さすがに、増毛の方の山々は雲に隠れていた。 我が家の姿は、残念ながら山陰に入ってしまい、その姿を確認できない。 |
荒れた第1斜面 | 我が家はちょうど山の陰だ |
札幌市街地を一望、その向こうには夕張山地も微かに見える |
ひとしきり展望を楽しんだ後は、いよいよ第2斜面を滑り降りる。 かみさんが先に滑って、下でカメラを構える。手を振ったのを合図に滑り始めたが、ここの斜面も荒れていて、おまけに雪も重たい。 急な斜面にびびって姿勢は後傾。これではまともに滑れる訳がない。何度も突っかかりながら、最後にはカメラの前で転倒。全然楽しくない。 第3斜面にトラバースしていく途中、森の奥から射し込む太陽の光が、雪面に美しい陰影を描いていた。 また、その先では森の中に舞う雪が太陽に照らされてキラキラと輝いている。ダイヤモンドダストかと思ったが、気温はせいぜいマイナス2、3度なので、そんな訳はない。 空は晴れていて雪が降っている訳でもなく、不思議な光景だった。 |
まるでダイヤモンドダストが舞っているようだ |
そこでまた転倒。木の間に挟まって身動きがとれず、スキーの板を外してやっと起き上がることができた。全身雪まみれである。 第3斜面でまたしても転倒。ザックを背負っていると一人では起き上がれず、かみさんに助け起こされる。 「一体どうしたの?」と笑われるが、自分でも良く分からなかった。荒れた斜面を滑った時の後傾姿勢が、癖になってしまったようだ。 そのために、緩斜面の林間部分でもスピードコントロールができずに、立木にぶつかりそうになっては転倒を繰り返す。やっと、何も無い林道まで下りてきて、後はサッサと車まで戻ろうと思ったら、そこでまた転倒。自分が情けなくて、立ち上がる気力も失ってしまった。 天気には恵まれたけれど、登りも下りも散々な手稲ネオパラであった。今シーズンは一度もスキー場のゲレンデで滑っていないので、もう一度基本に戻って滑る練習をした方が良さそうである。 |
森を貫く日射しが雪面に美しい模様を描く |
登山口 | → | 赤いテープ | → | 山頂 | |
1:00 | 1:20 | ||||
下り 0:55 | |||||
距離:3.7km 標高差:675m |