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迷沢山(2010/12/19)

役に立たない朝ラン


 週末の土曜日にまとまった雪が降り、日曜日には天気も回復しそうなので、今シーズン初めての山スキーへと出かけることにした。
 シーズンイン最初の山として選んだのは、4年前に一度登ったことのある迷沢山である。
林道入り口 この山は市内西区の平和の滝から登るルートもあるが、今回は札幌国際スキー場側の上平沢林道コースから登ることにした。
 そこならば大部分が林道を歩くことになるので、積雪が少ない時期でも何とかなるのである。
 登山口には2台分程度の駐車スペースしかないので早めに家を出て、7時半過ぎに林道入り口に到着。勿論、我が家が一番乗りだった。
 でも、一番乗り=ラッセルしながら登らなければならない、と言う意味でもある。
 ところが幸いなことに、前日に登った人のトレースが残っていたのでそれほど苦労しなくて済みそうだ。
 昨日は午前中一杯雪が降り続いていたはずなので、午後から登った人のトレースなのだろう。
 それにしても、昨日の様な天気でも山に登る人がいる事実が私には信じられなかった。

白いトンネル 枝の先までたっぷりと雪を乗せた森の木々。
 まるで白いトンネルの中を歩いているようだ。
 大きなぼたん雪が絶え間なく舞い落ちてくる。
 帽子はザックの中に入れたままなので、代わりに上着のフードを被ったが、邪魔くさいので直ぐに取ってしまう。
 フードを被ると、森の中の自然の気配が感じられなくなるのである。
 静まり返った森の中に聞こえるのは、ギュッギュッと雪を踏みしめるスキーの音。そして、林道横の崖下を流れる沢水の音。
 もう少しすれば雪の中に埋もれてしまう小さな沢も、真っ白な風景の中で黒々とした水面を見せている。
 林道の上にも所々に雪の積もっていない場所があって、そこには小川のようにチョロチョロと水が流れていた。


林道を登る 林道を登る

林道は沢から離れて登っていく 上平沢川の流れに沿って続いていた林道は、途中から沢を離れ、等高線に沿うように山の斜面を巻きながら登っていく。
 4年前の時は、そこで林道から離れて沢沿いの急斜面を苦労しながら登ったものである。
 一般的なルートは、そのまま林道を進んで適当なところから林道をショートカットするのだが、その時はそれを知らずに急斜面をがむしゃらに登っていたのだ。
 今回はショートカットしようにも、まだ雪が少なくて笹や潅木の茂った森の中へは入ることができず、遠回りになるけれど曲がりくねった林道上を素直に歩くしかなかった。

 今年は春頃から朝のジョギングを続けていて、最近は月間で100キロ以上を走っているので体力には少し自信を持っていた。
 「初心者向けの迷沢山程度なら苦も無く登れるはず」
 そう思っていたのに、ここまでの疲労度は去年のシーズンと何の変わりも無さそうである。
 途中で心拍数を計ってみたら120にまで上がっていた。
 朝のランニング時の心拍数は130を越えるくらいで、そのペースで10キロ走ってもせいぜい1時間程度の運動にしかならない。
 山スキーの時は、同じような心拍数で3時間は登り続けるのだから、きついのは当たり前である事にここでようやく気が付いたのである

送電線下 送電線下の刈り跡へ出てきた。
 このルートの中で唯一の滑りが楽しめる場所でもあるが、ここでもまだ雪が少なくて、下山時も林道を滑って下りるしかなさそうだ。
 展望は開けたが、上空を覆っている雲は全然晴れてくる気配が無く、たまに陽が射すことはあっても、直ぐにまた雲に隠れてしまう。
 登り始めてからここまで約2時間、まだ一度も休憩していなかった。
 本来ならば1時間毎に休憩するのが良いのだろうが、我が家の場合、かみさんが休憩嫌いなので困るのである
 私がザックを降ろし、座って休んでいる間も、かみさんはザックを背負ったままで座ろうともしない。
 如何にも「早く歩き始めましょう!」って様子なので、私もおちおち休んでいられない。
 かみさんに言わせると、「中途半端に休憩するよりはマイペースで登り続ける方が疲れない」とのことらしい。
 山頂までもう少しのはずなので、ここでも休憩は取らずにそのまま進むことにした。

緩やかな登りが続く そこから先の林道は、ほぼ平坦と言っても良いくらいの緩やかな登りが続いている。
 私の前に出たかみさんは、前を歩く障害物がなくなったので急にスピードを上げ、次第に疲れの出てきた私との間隔は見る見るうちに開いていく。
 前方に小高く見えている丘が迷沢山の山頂だろうと思って歩いていくと、林道は右に大きくカーブしてその丘から逸れ始めた。
 地図を見ると林道はほぼそのまま迷沢山山頂近くに続いているはずなので、どうも様子がおかしい。
 前回は林道を経由せず、林間を抜けて真っ直ぐ山頂に向かった記憶があるので、これでは遠回りになってしまう。
 しかし、かみさんはサッサと先に進んでいたので、私もその後を追いかけるしかなかった。
 途中で立ち止まったかみさんにようやく追いつくと「どっちへ行けばいいの?」と聞いてきた。
 それまで頼りにしていたトレースが吹き溜まりで消えてしまったらしい。
 「道が分からないのなら、もっと前に止まれよな!」
 置いていかれた口惜しさもあって、声を荒げる私。
 「リボンが付いているからこっちで良いんじゃない?」
 確かに、林道の右側の斜面の潅木に赤いテープが巻かれている。
 「えっ?こっちが山頂なの???」
 まさか山頂が何処か分からなくなるとは思ってもいなかったので、GPSにも山頂の位置は落としていなかったのだ。
 半信半疑でそこを登っていくと、消えていたトレースも再び現れて、ここで間違いなさそうな事をようやく実感できた。

迷沢山山頂 そうして登り始めてから2時間40分で山頂に到着。
 潅木もまだ雪の上に頭を出していて、4年前の時とは随分様子が違っていた。
 標識があるわけでもなく、周りの山々も雲に隠れて、記念写真を撮ろうにもカメラを向ける場所も見つからない。
 暖かければ山頂で昼食を食べる予定だったけれど、寒くてとてもそんな気にもなれない。
 適当にカメラのシャッターを切って、早々滑り降りることにする。
 (家に帰ってから確認すると、4年前の時とは反対側から山頂に登っていたのである。持参した地図に載っている林道も実際とは違うルートで描かれていて、これでは分からないはずである。)



登山ルート
この地図上の林道を歩いていると思ったので・・・
山頂からの風景 山頂の様子
霞んで見えるのは鳥帽子岳? 山頂は真冬の装い

一気に滑り降りる 滑り降りる途中で4組ほどのパーティーとすれ違う。
 人数も多く、車を停めるスペースは後1台分しか無かったはずなのに、驚いてしまう。
 積雪の少ない今時期はこんな山に人が集中するのかもしれない。

 苦労して登ってきた林道も、滑り降りる時はあっと言う間である。
 楽なのは良いけれど、棒立ちのまま真っ直ぐに滑るだけなのでちっとも楽しくない。
 傾斜のやや急なところでは新雪の中で少しはスキーを曲げられるけれど、殆どの区間は登ってきた時のトレースの中を直滑降するだけなのだ。
 何処か沢を見下ろせるような場所で昼食を食べようと思ったが、かみさんが寒がって「早く車まで戻りたい」と言うので、そのまま一気に滑り降りる。
林道を直滑降 直滑降で滑るだけでは汗もかかず、逆にそれまでの汗が冷えてどんどんと体の熱が奪われていくのである。
 油断して、何時ものランニングの時の感覚で着るものを選んでいたかみさんが寒がるのも無理はなかった。
 途中ですれ違ったパーティーの人数を見て、林道入り口はどんな状態になっているのだろうと心配していたが、我が家の横に1台と、少し離れたところの除雪された場所にもう1台の車が停まっているだけだった。
 登ってきた人数と比べると車の台数が少な過ぎるのが謎である。

 シーズン最初の山スキーは、装備の確認や感覚を取り戻す事が主な目的だったので、山頂からの展望は楽しめなかったものの、真っ白な森の風景のおまけが付いて、十分に満足できるものだった。



林道入り口 上平沢川別れ 送電線斜面上 迷沢山山頂

1:00

0:55 0:45
下り 0:40
距離:5.8km 標高差:594m


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