十勝の実家に行くついでに、新得のオダッシュ山に登ることにした。
この山は実家からもその姿を確認できて、日高山脈の山の連なりの中で独立峰の様に見えている。
端正な姿とその頂上の様子はまるで富士山のようであり、子供の頃はそれが本物の富士山だと信じ込んでいたものだ。
山スキーのフィールドとしてこの山の事を知り、地形図で場所などを確認している時に、その山が私の心の富士山である事に初めて気が付いたのである。
その山頂から私の生まれ故郷を見下ろすのがとても楽しみだった。
狩勝峠を越えて十勝側へ降りてくると、積雪は既にゼロに近く、畑の大部分で土が見えている状況だった。
果たしてこれで、スキーを履いて登れるのだろうかと心配になってくる有様である。
でも、雪が少ないからなのか、登山口の近くまで除雪されていたのは助かった。
事前の情報では道路除雪が入っているのは畜産試験場までと聞いていたので、これで2キロ近くは歩く距離が短縮されるのだ。
凍ってツルツルの道を慎重に車を走らせていくと、道路際に4、5台は停められそうなスペースが除雪されていて、旭川ナンバーの車が1台停まっていた。
ソロの男性である。
彼が出発した少し後から、私達も登り始める。
既に気温はプラスになり、雪が融けてきている。
植林されたトドマツの林を進んでいくと、道東自動車道に突き当たる。
オダッシュ山の標識が立っていて、そこが夏道の登山口らしい。
高速道路の下のトンネルを抜けて、反対側へと出る。
トンネルの中はかろうじてスキーで通れる幅の雪が残っていたので、スキーを履いたまま通り抜けられた。
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