塩谷丸山の頂上は何時も風が強いイメージがあったが、この日は風も弱かった。
頂上から絶景を眺めながら昼を食べる絶好のチャンスだったけれど、こんな時に限ってそんな準備はしていないのである。
スノーシューの男性が一人で登ってきたので、山頂を明け渡し、私達はそこでシールを剥がして滑り降りることにする。
たっぷりと新雪の積もった斜面には、私達の先に登っていた二人連れのトラックが刻まれているだけだ。
昨日登った人達は、登ってきたトレースとほぼ同じ場所を滑り降りたようである。
何だか私達のために、しっかりとしたトレースと美しい斜面を残してくれていたようで、本当にありがたい。
しかし、せっかくの美しい斜面に、私の技術ではいびつなトラックしか描けないのが情け無かった。
かみさんのトラックの方が、まだ形の良い弧を描いているくらいである。
滑っている本人はパウダースノーの浮遊感を楽しんでいるのだけれど、かみさんに録ってもらった動画を見ると、上半身の無駄な動きが多すぎて、何とも格好が悪い。
一度だけ上手に滑れた感覚があったのだけれど、「あっ!ごめんなさい、スイッチ入って無かったわ!」
それでいて、最後に転んだところだけはしっかりと写されていたのである。
途中ですれ違った登山者の方から「道路際にランクルを停めていませんか?」と聞かれた。
その車が除雪の邪魔になっているらしく、登っている時に他の登山者に声をかけてくれと言われたとのこと。
その次にすれ違った方からも同じ事を聞かれる。
私達が朝に見た車なのか、その後に停められた車なのかは分からないが、これだけ雪が多くなれば、道路際への駐車は止めるべきである。
登山口まで下りてきた後、そのまま車道を滑り降り、JRの踏み切り手前でスキーを外していると、ちょうどそこへミニパトが走ってきた。
「登山者の方ですか?」と聞かれる。
「最近は路上駐車する人とか、道路をそのまま滑ってくる人がいて、苦情が増えているんですよね」
思わず小さくなってしまった。
くれぐれも地元の方の迷惑にならないように山スキーを楽しみたいものである。
最高の条件に恵まれた今回の塩谷丸山。
スキーシーズンも、ほぼ折り返しまできている。
願わくば残りのシーズンでもこんな快適な山スキーを楽しみたいものである。
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