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春香山(2010/01/24)

雪まみれで遊ぶ


 山スキーのシーズン始めは、近郊の登りなれた山でまずは足慣らし。塩谷丸山、手稲ネオパラに続いて、今回は春香山に登ることにする。
 土曜日は一日中雪模様の天気が続いて、日曜日は天気が回復する予報になっていた。絶好のコンディションになりそうだと、ワクワクしながら家を出る。
 登り口の、以前まで車を停められた場所はパイプ柵が付けられて利用できなくなっていたので、道路際ギリギリに車を寄せて駐車する。
 山スキーの先客らしい車は見られないけれど、スノーモービルのグループが近くでエンジン音を響かせていた。
 林道に先客が歩いた跡はなく、今日はラッセルしながら登ることになりそうだ。ただ、昨日の雪は思っていたほど積もっていなくて、それほど苦労することもないだろう。
沢の中を歩く と思っていたら、後ろからスノーモービル軍団がやって来て、排気ガスの臭いと一緒に圧雪した道を付けていってくれた。
 キャタピラの跡を歩くのは楽しくないけれど、そんな事は気にしないで雪に覆われた周りの風景を楽しみながら歩くことにする。
 期待していた青空はなかなか顔を見せてくれない。札幌は晴れの予報だったけれど、小樽の予報は曇りになっていた。
 確かにここは小樽の行政界に入ってはいるけれど、札幌からも近くて札幌の予報を信じたのは甘かったようだ。
 銭函川に架かる橋を渡って、小さな沢沿いの道へと入っていく。
 所々に開いている沢の水面を覗き込むと、そこにできた美しい氷の造形物が目を楽しませてくれる。


氷の造形 氷の造形
氷のプレート 氷のドレス?

 やがて林道は沢から離れて登っていく。
 その途中で夏道から登ってきた山スキーの男性が前に出てきた。その男性の後ろに付いて行くと、もう一人の男性が夏道から現れた。
登山道を登る どうせ追い抜かれるのだからと、脇に避けてその男性に前に行ってもらうことにする。
 「あれ!もしかしてカヌークラブの人じゃないですか!」
 その人は同じカヌークラブに所属しているIさんだった。川ではもう何年も会っていなかったのに、それがこんな山で会うとは驚きである。
 既にかなり汗をかいているようだけれど、そのまま先に行ってもらう。
 やがて林道から離れて、カラマツ林の中の登山道へと入っていく。
 これでようやくスノーモービルのわだちから抜け出すことができる。
 既に何人かが先に登っているようなので、先に出てラッセル役をする必要もなく、前の二人の男性を追い抜かないように付いて行くだけだ。
土場からの展望は利かず やがて土場と呼ばれる場所に到着。
 ここからは石狩の海岸線が見下ろせるはずなのに、今日は雲に隠れてしまっている。
 冷たいお茶で喉を潤してから、再び歩き始める。
 Iさんもかなり疲れているようなので、ここからは私達が先に歩くことにした。
 かみさんに先頭をまかせる。
 その途端にかみさんはものすごいスピードで歩き始めた。
 Iさんを追い越したら悪いからと、これまでは私の後ろで大人しくしていたらしい。私にとってはそれがちょうど良い早さだったのだが、かみさんにはペースが遅すぎてストレスがたまっていたようだ。
 まるで手綱を解かれた野生の馬のように、いや、亥年生まれなので野生のイノシシのように斜面を駆け上っていく。
 その速さに呆れながらも、私も遅れないようにその後ろを必死についていく。
 土場から先の急斜面には何時も苦労させられるのだが、今回は先に登った人のトレースが、ちょうど良い斜度とルートで付いていたので、楽に登ることができた。
 そこからしばらく尾根上の緩やかな地形となるので、木の芽の写真などを撮りながらのんびりと歩く。
 途中で、男性が一人追い抜いていったが、カヌークラブのIさんの姿はなかなか見えてこない。


オオカメノキの冬芽 ツリバナの殻
オオカメノキの冬芽 ツリバナの殻かな?

 小高い丘の上まで登ってくると、そこからは春香山の姿が目の前に見えるはず・・・。
 残念ながら今日は、おぼろげにその姿を確認できるだけだった。


春香山はぼんやりと霞んでいる
春香山が見えるはずだけど・・・

針葉樹の森を歩く 丘を滑り降り、針葉樹の森を抜けると銀嶺荘へと出てくる。
 大体の登山者はそこで一休みするようだけれど、山小屋慣れしていない私達は何時もそのまま通り過ぎてしまう。
 沢を渡っていよいよ最後の登りだ。
 深いトレースが1本だけついているので、それにしたがって登っていく。
 何時ものように、少しでも傾斜がきつくなるとスキーが滑ってしまい、スタスタと登っていくかみさんとの距離がどんどん開いてくる。
 そのうちに銀嶺荘を出てきた人達が直ぐ後ろに迫ってきた。そのまま追い越されると悔しいので、写真を撮る振りをしてさりげなくトレースから外れ道を譲る。
 こんな時は自分の登りやすい傾斜でルートを開拓したいのだけれど、これだけ雪が深くては我慢して傾斜のきついトレースの中を登るしかない。
 山頂に近づくと、そのトレースが先を急ぐように更に傾斜がきつくなるものだから、最後のひと登りがまた大変だった。
 そうして登り始めて3時間で春香山山頂に到着。


最後の登り 最後の登り
雪の深さはかみさんの膝くらい もう少し緩い傾斜で登りたい・・・

春香山山頂
樹氷の美しい山頂

春香山山頂
一瞬だけ日も射してきた

 樹氷が美しい春香山の山頂。
 ちょっとだけ日が射して、ちょっとだけ青空も見えたけれど、流れてくる雲が直ぐにそれも隠してしまう。
 次々と他の登山者が登ってくるので、早々に滑り降りることにする。
 深雪を掻き分けながら、かみさんは慎重にターンを重ねる。
 次に、かみさんにカメラを構えてもらって、雪煙を巻き上げながら颯爽と滑り降りるつもりだった私だが、途中でスキーが重なってしまって、頭から雪の中へと突っ込んだ。
 その後も何回も転び、完全に雪まみれ。スキーでこれだけ転んだのは30年ぶりくらいになるかもしれない。
 久しぶりに童心に帰った気がした。


春香山を滑る 春香山で転ぶ
慎重に滑るかみさん 雪まみれの私

途中で休憩 途中で再び日が射してきたので、眺めの良い場所で昼食にする。
 先日買ったばかりのツェルトを張ってみようとしたけれど、全然上手くいかない。
 テントと違ってポールも張り綱も無い。
 スキー板やストックを利用して張ろうとしたけれど、これだけではやっぱり無理なことが分かった。
 裾の方に紐が付いているが短すぎて上手く結べず、手袋を脱いで作業する有様。
 これでは吹雪の中でのビバークなど絶対にできそうにない。
 ビーコンもそうだけれど、安全のための装備はただ用意しているだけでは駄目なことを、改めて知ることができたのである。


銭函の海岸線が見える
かろうじて銭函の海が見えた

蔓 ツルアジサイの枯れ花
ただのつる ツルアジサイ

 切り株の上に積もった雪のかたまりに落書きをして遊ぶ。
 途中で見かけない落書きがあったので、他にもこんな事をする人がいるんだと思っていたら、それもかみさんが登ってくる時に書いたものだった。
 こんな事して喜んでいるのはやっぱり私達くらいしかいないみたいだ。
 最後の林道滑りは気温が上がって雪も重くなり、しかもスノーモービルの轍が邪魔になって、かみさんは滑るのに一苦労していた。
 天気にはあまり恵まれなかったけれど、それでも十分に楽しめる春香山である。


雪の顔1 雪の顔2
ちょっと間抜けっぽい? リーゼント風のお兄さん?

駐車場 土場 銀嶺荘 春香山山頂

1:40(0:30)

0:40(0:20) 0:30(0:15)
距離:6.2km 標高差:800m
( )内は下りの時間


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