キロロ・余市岳(2008/03/08)
翌日からの道東旅行を控えて家で静かに過ごすつもりだった土曜日、全道的に快晴との天気予報を見ているとどうしても我慢できず、キロロスキー場のゴンドラに乗って山の上の散歩を楽しんでくることにする。
ところが快晴の予報にもかかわらず、朝里から毛無峠へ向かっていると、雲がどんどん広がってきて、キロロスキー場に着く頃には完全に曇に覆われてしまった。
今年は本当に天気に恵まれない。
雲に隠れそうになる山頂駅へと登っていくゴンドラに乗っていると、片道1000円の料金がとても高いものに感じられてしまう。
幸い、雲は山頂駅よりも高いところにかかっているので、見通しはそれほど悪くはない。
ただ、風が強くて、上空の雲がものすごい速さで流されていく。
ロープの柵をくぐり抜けてバックカントリーの世界に足を踏み入れる。
バックカントリーと言っても、キロロスキー場の場合は、ゴンドラ山頂駅から上には通称飛行場とも呼ばれるなだらかな傾斜の広大な雪原が広がっているだけだ。
ただ、この何もない雪原が曲者で、視界が悪くなると直ぐに方向を見失ってしまい、安易な気持ちで入り込むと重大な事故を招いてしまうことになりかねない。
今日のように風が強いと、自分の歩いたトレースも直ぐに消えてしまうのだ。
時々、雲が引き千切られるように消えた後に青空が現れることもあるけれど、直ぐにまた雲に覆われてしまう。
そんな天気の中、朝里岳には札幌国際スキー場側から一度登っているので、今日はとりあえず余市岳を目指すことにした。
もちろん、こんな天気で余市岳に登るような気持ちはさらさら無く、例え好天に恵まれたとしても、スキーで登れるかどうか自信はない。
我が家の先を歩いている人達も、余市岳を目指しているようである。
そのトレースの中を、ジャケットのフードを風で吹き飛ばされそうになりながら歩き続ける。
軽い散歩を楽しむつもりで家を出てきたのに、とてもこの状況は散歩とは言えない。
気温の高い日が続いていたので、樹木が樹氷に覆われてできたモンスターも裸になってしまったのではと気を揉んでいたけれど、そんな心配は全く無用だった。
まだまだここでは厳しい冬が続いているようだ。
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曇り空にモンスターは似合わない |
風で飛ばされそう |
キロロスキー場と余市岳の間の沢をぐるりと回って飛行場の縁を歩いて行くと、余市岳の手前に標高1297mの小高い丘がある。
先を歩いている3人パーティーがその丘を登っているのが小さく見えているけれど、全てが真っ白で、変化の少ない地形に、距離感が全くつかめない。
単調な風景の中をただ黙々と歩き続けるだけである。
私達の直ぐ前を歩いていたソロの男性は、近くのモンスターに吸い寄せられるように途中で進む方向を変えた。彼はどうやら山登りよりも写真撮影が目的らしい。この曇り空では、被写体のモンスターも魅力が半減だろう。
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先に見える丘が遠いのか近いのか見当が付かない |
丘の上まで登ってくると、余市岳が目の前に壁のように迫って見えていた。
丘の上なので更に風当たりが強くなっている。この丘と余市岳の間は少し低くなっているので、先に登っていた3人は、そこで風を避けるように休憩していた。
その強風で、余市岳に纏わり付いていた雲が次々と吹き飛ばされていく。そうしてようやく余市岳の全容が姿を現した。
その冬山の厳しい姿を間近に見ると、そこに登ろうと言う意欲はとても湧いてはこない。
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雲の中から余市岳が姿を現してきた |
あっと言う間に上空にも青空が広がってきた。
真っ青な空を背景にして、真っ白な余市岳の姿が浮かび上がる。
久しぶりに見る、青と白のコントラストの利いた風景だ。
山の表面にへばり付くように残っていた雲も次第に取れてくる。
それでも山の輪郭が少し霞んで見えるのは、強風で吹き飛ばされた粉雪が舞っているからなのだろう。
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真っ白な風景に変わってきた |
飛行場の大雪原の向こうに丘のように見えているのが朝里岳だ。こちらの丘は丸坊主だけれど、朝里岳の方には沢山のモンスターが集まっているようだ。
そちらの方に行ってみたくて、飛行場のど真ん中を横切るように、朝里岳目指して真直ぐに滑り降りた。
滑り降りると言ってもシールを貼ったままなので、この程度の緩い傾斜では歩くのとさほど変わりはない。
大人数のパーティーが余市岳に向かって歩いている。
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前方の丘が朝里岳 |
大人数のパーティー |
途中で雪原の真ん中にポツンと立っているモンスターに近づいてみた。
一体は、ここでよく見かける首を垂れた姿のモンスター。もう一体はただの白い塊りにしか見えない。
ストックで突いてモンスターに目を付けてやると、ますますそれらしい姿になる。
かみさんは白い塊りの方に悪戯をしていたけれど、見るとなかなか可愛らしいモンスターに変身していた。
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モンスターに挑みかかるかみさん |
ネズミモンスター? |
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モンスターと余市岳 |
再び朝里岳を目指そうとしたけれど、その姿はまだまだ遥か遠くに見える。風もますます強くなってきたような気もするので、今日の散歩はこの辺で切り上げることにした。
先ほどまで私達が立っていた丘の上から、スキー場のゲレンデ方向に向かって滑り降りている人達の姿が見えた。
余市岳からキロロのスキー場に向かって滑り降りる斜面は、傾斜もきつく雪崩の恐怖も付きまとうよなところだけれど、そこならば私達でも滑ることができそうだ。
さすがに散歩だけではつまらないので、次に来る時はそこを滑ることにしよう。
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余市岳は無理でも手前の斜面なら滑れそう |
今回はゴンドラ山頂駅まで歩いて戻って、そのままゲレンデを一気に滑り降りる。
下界まで降りてくると、そこは春の陽気に包まれ、まるで違う世界にやってきたような気がした。
山の上では久しぶりの青空を見られたけれど、その代わりに強風に悩まされ、今年はどうも天候に恵まれないようである。
次は春山スキーのシーズンに期待をかけることにしよう。
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最後はゲレンデを一気に滑り降りる |
ゴンドラ山頂駅 |
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余市岳手前 |
0:50 |
距離:2.5km
標高差:90m |
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