今週末も土曜日が晴れのち雪、日曜日が雪の予報になっている。
我が家の場合、頂上からのロケーションを楽しみにして冬山に登るので、晴れている時でなければ山スキーに出かける気にはならない。今年はなかなか天気に恵まれないけれど、週末の半日程度は晴れてくれるので、今のところ毎週山スキーを楽しむことができている。
今週は、定山渓の豊羽鉱山まで行って、そこから何処かの山に登ろうと考えていた。北海道雪山ガイドを読むと、この豊羽鉱山からは無意根山手前の千尺高地、大沼山、美比内山へ登るルートがあり、何れも初心者でも登れるような山みたいだ。
豊羽鉱山は既に廃鉱となり、現在は閉山処理のためにそこまでの道がまだ除雪されているが、この先はどうなるか分からないとのことである。車を停める場所があるかどうかも分からないので、どの山に登るかは現地に行ってから決めることにする。
豊羽鉱山は定山渓の温泉街から13km程山の中に入ったところにあり、私もそこまで行くのは初めてだった。
今年は定山渓付近の積雪も例年よりはかなり少なめだが、さすがにここまでくるとかなり雪深くなってくる。
雪に埋もれた塀の中からモクモクと白い煙が立ち上っているのが見える。温泉の湯気なのか、それとも坑口から出てくる煙なのか、何だか凄いところにやってきたような雰囲気だ。
大沼山は豊羽小学校の横から登るようになっていて、ちょうど道路沿いに幅広く除雪されたスペースがあって、既にそこには車が1台停まっていた。
他の場所の様子も見てこようとさらに奥まで進んだが、直ぐのその先がゲートで塞がれていて関係者以外立ち入り禁止の看板が立てられていた。美比内山の登山口はそのゲートからもう少し先になるので、登るのは無理そうである。
先ほどの駐車スペースまで戻って、今日はそこから大沼山へ登ることにした。
道路際の2m程の雪の壁をよじ登って、そこでスキーを装着する。先行者のトレースがあるので今日は楽ができそうだ。
そのトレースは、急な崖を一気に登って小学校の体育館の横に出るように続いていた。
最近は自分で登れる斜度と言うものが大体分かってきたので、そのトレースを一目見たときから、これはちょっと苦労しそうだなと感じていた。
かみさんはトレースに沿ってそのまま登れたけれど、案の定、私は途中でスリップしてしまう。已む無くトレースから外れて、急な斜面を転げ落ちそうになりながらも何とか上まで登りきることができた。
帰り際に改めてその付近を見てみると、沢沿いにそのまま進めば無理しないで尾根に取り付ける場所があったみたいだ。
そこからは尾根沿いの上りが続く。体の準備が整う前にいきなり登りになってしまったものだから、息切れはするし、心臓はバクバクするしで、最初からこれではとてもじゃないが山頂まではたどり着けそうに無い。
途中で立ち止まって後ろを振り返ると、小学校の校舎は既にはるか下に見えていた。4階建ての立派な建物で、昔はそんな大きな校舎が必要になるくらい、ここには大勢の人々が住んでいたのだろう。
雪に埋もれた山間の風景からは、とてもそんな過去の賑わいの様子を想像することができない。
その背後には、人間の栄枯盛衰など全く気にもかけないように、定山渓天狗岳の険しい山容が静かに鎮座していた。
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