週末に天気が良くなることのない今年の冬、美しい雪山の風景を楽しむためには天気の良い日に合わせて休みを取るしかない。
大雪の天人峡から戻ってきた日曜日、それまでの寒さが一変して急に気温が高くなった。その後火曜日まで天気が良く、気温も高めの予報になっている。
この週で仕事が休めそうなのは唯一火曜日だけ。月曜日は朝から文句なしの快晴で、仕事から帰ってくるとかみさんが「テレビのニュースで旭岳が映っていたけど、素晴らしい青空だったわよ」と報告してくれた。
本当は月曜日に休んで日月で天人峡へ行く計画も有ったのだが、つまらない会議を月曜日に入れられてしまったので、やむなく雪の週末に温泉旅行を決行したのである。
何とか火曜日の休みは確保できたものの、今年は天気予報に裏切られることが多かっただけに、当日の朝になるまで心配でしょうがない。目覚めて直ぐに寝室のカーテンを開けたところ、手稲山の山頂までくっきり見えていたのでホッとする。
今回の目的地は朝里岳、前回はキロロスキー場側から登ったので、今回は国際スキー場から登ってみることにした。
こちらの方がゴンドラ終点からの標高差が大きいものの、帰りにはスキーで楽しく滑り降りられそうだ。キロロからだと、登りも下りも歩かなければならないような標高差しかないのである。
札幌を出る時は空は晴れていたものの、薄い霞がかかった感じで見通しはあまり良くない。それが国際スキー場まで来ると、その霞も取れて真っ青な澄んだ空が広がっていた。
ワクワクしながらゴンドラに乗り込む。いつもならゲレンデの状態が気になるのに、山スキーを始めるとそんなことは全然関係なくなる。心は既に山の上だ。
ゴンドラ駅を出て少し登ると、なだらかな丘のような山が見えた。これが朝里岳らしい。これまで何回も国際スキー場に来ているけれど、朝里岳の姿をこうして眺めるのは初めてだった。
板にシールを取り付けていると、二人連れの男性がやって来て声をかけられた。
「白井岳まで行くんですか?」
「いや、朝里岳までです。」
一瞬、怪訝そうな顔をされる。
「まだ初心者なものですから。」
どうやら朝里岳は、わざわざ目標にして登るような山では無いらしい。まあ、我が家単独で最初にチャレンジする山としては手頃なところだろう。
いつものように私は山スキー、かみさんはスノーシューで登り始める。しばらくは緩やかな傾斜が続き、ダケカンバやトドマツがまばらに生えている樹林帯の中を進む。
暖かな日が続いたので、樹氷で真っ白になった木々の姿を楽しめないのは残念だ。
直ぐに体が汗ばんでくる。チセヌプリの時で懲りたので、今回は冬用のジャケットではなくフリースとゴアテックスの雨具の重ね着。フリースは出発時に脱いでいたがそれでも汗をかいてしまう。
結局、雨具も脱いで上着無しで登ることにしたが、それくらいでちょうど良い感じである。
やや傾斜がきつくなってきた。それでも。ジグザグに登らなければならなかったチセヌプリの時と比べたら、傾斜というようなレベルではないかもしれない。雪面も堅く締まって歩きやすいのだけれど、それでも直ぐに息が切れてしまう。
普段から結構歩いているし、それなりの運動もしていると言うのに、山を登る時はそれらが全然役に立っていないようだ。山を登る体力を付けるためには、やっぱり沢山山を登らなければならないのだろうか?
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