北海道キャンプ場見聞録
故人を偲んで
HOA前庭(10月8日~9日)
沙流川のダウンリバーを終え、ひだか高原荘で温泉に入り、今日のキャンプ地であるHOAに向かう。
カヌークラブの10月例会では、すっかりHOAが定宿となっていた。
ここでは車中泊の人が殆どで、私も今回は車中泊をするつもりでいた。
でも、やっぱりテントの方が快適に寝られる。
夜露でテントが濡れても、清水に帰って干せば良いだけだ。
と言うことで、HOAのボスが綺麗に刈り込んでくれたフカフカの芝生の上にテントを張らせてもらった。
今回のHOAの宿泊には特別な意味があった。
カヌークラブの会員で、今年の7月に川での事故で亡くなられたHIDEさんを皆で偲ぶことにしていたのである。
いつもの宴会スペースの一角には、HIDEさんの写真が飾られ、それぞれが持ち寄った花や思い出の品が備えられる。
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花はクラブの40周年記念で作成したボトルに飾られた
元々、10月例回のツアーリーダーはHIDEさんが担当することになっていて、クラブとHOAの結びつきができたのも、HIDEさんの橋渡しによるものだったのである。
HIDEさんは底抜けに明るい方だったので、その写真を前に何時もの賑やかな宴会が始まる。
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早々と宴会が始まる
何時ものことだけれど、クラブの宴会では何も作らなくても食べるものに不自由はしない。
次々と食べ物が回ってくるので、直ぐに腹一杯になってしまう。
炭火では巨大なイワナが焼かれている。
近くの釣り堀から貰ってきたものらしく、20人以上はいるのに1人1匹は当たりそうなくらいに大量に用意されていた。
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炭火の上で次々にイワナが焼かれる
私はかみさんから「寒そうだからキムチ鍋でも作ったら?」と言われ、持たされた材料を鍋にぶち込む。
隣りに座ったヤマさんも鍋を作るらしく、完全に被ってしまった。
余しても困るな~と思っていたら、そんな鍋でも食べてくれる人もいて、何とか片付きそうだ。
山の向こうから明るい月が昇ってきた。
その月の直ぐ横で、負けないくらいに明るく輝いているのが木星だ。
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後の月が昇ってきた
旧暦の9月13日の月を「後の月」と呼んで、中秋の名月と同じく月見をする風習があるらしい。
今日がちょうど「後の月」なのだが、風流に月見をしようなんて雰囲気は全くなし。
強いて言えば、Nもとさんが190個の白玉団子入りお汁粉を作ってくれたことが、何となくお月見の夜らしかった。
出来上がる前から順番待ちのシェラカップが並べられる。
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シェラカップを並べて場所取りをしたつもり
そうして、出来上がった途端にその順番は完全に無視され、大量のお汁粉はあっと言う間になくなってしまったのである。
次第に冷え込んできたので、焚き火に火を付ける。
自然とその周りに人が集まってくる。
誰かがフォークダンスの話しをして、誰かがスマホでマイムマイムの音楽を流し、誰かがネットでマイムマイムの踊り方を調べた。
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この雰囲気ではフォークダンスを踊りたくなるかも
そうして自然発生的に、いい年をした大人たちが焚き火の周りで手を繋いでマイムマイムを踊り始めた。
「マイ、マイ、マイ、マイム、エッサッサ」
正しい掛け声は「「マイムマイムマイムマイム、マイムベッサッソン」 らしい。
踊り終えた大人たちは皆、ゼーゼーと息を切らしていた。
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空では後の月と木星が笑っていた
夜遅くになってHIDEさんの奥様も駆け付けてくれた。
彼女はススキノで店を出していて、忘年会の2次会でお世話になったこともあり、顔なじみの人も多い。
皆でHIDEさんの写真に手を合わせた。
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奥様到着
いつの間にか、木星を隣に従えた月が高くまで昇ってきていた。
夜露でびしょ濡れになっているテントに潜り込んだ。
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宴会は遅くまで続いていたようだ
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芝生には霜が降りていた
翌朝、その夜露は凍っていた。
凍ってバリバリになったテントを開けると、美しい芝生には霜が降りて白くなっていた。
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テントも凍りつく
暖かなコーヒーで体を暖めていると、朝日が昇ってきた。
朝の光が体を暖かく包んでくれる。
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太陽の光がありがたい
上空には雲一つない青空が広がり、絶好の川下り日和だ。
今日はここから沙流川アッパーを下って、事故現場となった堰堤でもう一度HIDEさんを偲ぶ予定である。