北海道キャンプ場見聞録
青森・秋田の旅(木造駅・三内丸山遺跡)
ホテルBrs函館五稜郭タワー前(5月31日~6月1日)
青森県での最終日。
この日は一日中雨の予報になっていて、その雨が何時から降り始めるかが問題だった。
yahooの天気予報では午前8時から雨マークになっていたが、幸いなことにテントは結露していなかったので、その時間までには撤収できそうだ。
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朝のコーヒーと一緒におめざも、その地方のお菓子を食べるのが楽しい
そう思ってゆっくりと最後の朝食を食べていると、何となく雲行きも怪しくなってくる。
急いで撤収をしているとポツポツと雨が落ちてきた。
それでも何とかテントを濡らすこと無く撤収完了。
午前7時過ぎにはキャンプ場を出ることができた。
せっかくなのでつがる地球村の中を少しだけ覗いてみる。
ここは、キャンプ場以外にも温泉や宿泊施設、スポーツ施設まで備えた、ちょっとしたリゾート施設になっている。
その中でも野外劇場の大きさに圧倒された。
ローマのコロシアムをイメージした5000人収容の円形劇場なのだとか。
でも、こんな施設にありがちな問題として、その利用率が気になるところだ。
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年間で何回くらい使用されるのだろう
スポーツ施設の中の屋根付き土俵もビックリだ。
屋根の外にもサブグランドならぬサブ土俵が二つも用意されていた。
津軽は余程相撲の盛んな土地なのだろう。
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横綱土俵入り
今日は午前11時35分発のフェリーに乗るので、それまで三内丸山遺跡を見学するつもりでいた。
しかし、そこの開館時間は午前9時。
その時間まで何処か見るところはないかなと探していて見つけたのがJR五能線木造駅の巨大土偶。
私はこれが、木造駅舎の前に巨大土偶があるのかと思っていたら、「木造」は駅の名前だったのだ。
普通の駅舎の壁に遮光器土偶の巨大モニュメントが取り付けられているのである。
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その大きさに圧倒される
最初にこれを見た時は思わず笑ってしまった。
一体何でこんなものを造ったのだろうと調べてみたら、竹下登が総理大臣だった頃のふるさと創生事業交付金1億円を利用したものだとか。
当時は1億円で金塊を展示した町など、それぞれの自治体による取り組みが色々と話題担っていた。
その中には成功例もあるし失敗例もあるけれど、ここの巨大土偶は前者の一つと言える気がした。
ちなみにこの巨大土偶、列車が近づくとその目からビームを発するらしい。
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駅の隣の公園も建物が縄文風
その遮光器土偶にも驚かされたけれど、木造の古い町並みも興味深かった。
駅前にある廃屋化した元歯医者だったらしい建物は、観光地ならば保存運動が起こりそうな美しい建物である。
ガラスの割れた2階の窓からは、歯医者で使われていたような古い器具も見えている。
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駅前の歯医者だった建物
その他にも昔は大きな商店だったような木造の建物や西洋風の建築物などが混在し、一体この街にはどんな歴史があるのだろうと関心が湧いてくる。
しかし、調べてみても情報は殆どなかった。
何となく気になって、後ろ髪を引かれるような気分で三内丸山遺跡へと向かう。
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最初は旅館かと思ったけれど窓を見るとそうでもなさそう
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本格的な洋館かと思ったけれど横の壁を見ると建物正面だけを飾っただけか
とうとう本格的な雨が降り始める。
開館10分前に到着して、開館と同時に中に入る。
まずは屋外ゾーンの見学。
その間だけ雨が止んでくれたのはラッキーだった。
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到着時は雨が降っていたけれど、中に入る時には小雨になっていた
三内丸山遺跡の写真で必ず登場するのが大型掘立柱建物。
それを見る度に、縄文時代に本当にこんな大きな櫓みたいな建物が在ったのか?と何となく違和感を感じていた。
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様々なデータに基づいて復元したものらしいが
覆屋内には発掘した建物の跡が保存されていて、それらの説明によると柱は直径1mのクリ材、柱穴の土壌にかかっていた荷重から柱の高さは17m程度、それぞれの柱が内側に2度傾いていることから上部は連結されていた、などが考えられるとのこと。
その説明を読んでから外に出て改めてその構造物を眺めてみると、その復元された形があながち不自然なものだとも思えなくなっていた。
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発掘された大型堀立柱建物の遺構が展示されている
40分ほどかけて発掘された遺跡の展示や復元された建物などを見てまわる。
三内丸山遺跡のホームページには、所要時間毎に見学モデルコースが紹介されている。
旅の行程を計画する時にその場所を見て回るのにどれくらいの時間がかかるのかは、かなり重要になってくる。
その時間の想定を間違えて大急ぎで走って回ることになる事態は日常茶飯事。
それなので、一日・半日・70分・40分で回れるモデルが示されていたのは本当にありがたかった。
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大型竪穴住居内部
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堀立柱建物
今回はフェリーの時間を考えると70分コースがピタリとはまる。
70分モデルコースでは遺跡見学に40分が割り振られていたのでここまでは予定通り。
屋内展示の見学にかけられる時間は残り30分だ。
昔のこの様な施設は展示物をただ並べているだけだったけれど、最近の施設は展示方法も工夫されていて、楽しく見て回れる。
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土器の展示も美しい
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ストーリー性のある展示になっている
見学を終えてミュージアムショップでお土産も買って、そこから5キロほどのフェリー乗り場へ向かう。
こちらへ来る時は津軽海峡フェリーに乗ったけれど、帰りは青函フェリーを利用。
青函フェリーの方が船も小さく、時間も10分ほど余計にかかるけれど、料金が安いのが魅力だ。
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青森港を出る前、最後に岩木山の姿を見たかったけれど残念ながら雲の中
函館着は午後3時25分。
そこから高速道路を使って一気に札幌まで戻るつもりでいたけれど、高速道路の料金も結構かかってしまう。
それならば、このまま函館で一泊して、翌日に一般道を使って帰れば、金額的に大して変わりはない。
道民割は6月まで延長されたけれど、調べてもそれで予約できるホテルが見つからない。
ところが、はこだて割が利用期間ギリギリで使えるので、それを使ってホテルBrs函館五稜郭タワー前を予約。
朝食を付けて料金は5800円。これならば高速料金よりも安くなる。
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部屋の窓からの風景、左の緑が五稜郭になる
五稜郭に一番近いホテルがここの売りだった。
翌朝は朝食前に五稜郭の中を散歩。
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函館の藤も少し散り始めていた
昨日の雨も上がって、朝の空気が清々しい。
少し散りかけていたけれど、外側の法面に咲くツツジが見事だった。
できれば、ここの桜が満開の時に訪れてみたいものだ。
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箱館奉行所
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遠くから見たら桜が咲いているのかと思った
ホテルに戻って朝食を済ませ、札幌を目指す。
喜茂別で昼食を食べていると、息子から連絡が入り、私の実家の隣に住んでいる人から電話が入り、お昼になってもカーテンが閉まったままだという。
一人暮らしの高齢の母親をこうして気にかけてくれている人が居るのは本当にありがたい。
実家には見守りカメラが取り付けてあり、それで様子は確認できたが、床に座ったまま這うようにして部屋の中を移動している。
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旅の最後に洞爺湖の風景
その後にも色々とあって、そのまま十勝の実家へと向かったのだが、北海道に戻ってきている時で本当に良かった。
一人暮らしの母親がいるので、これからはこんな旅も難しくなるかもしれない。
最後にとんだ落ちがついた、青森・秋田の旅だったのである。