北海道キャンプ場見聞録
瀬戸内の旅(大三島・大久野島)
大久野島キャンプ場(4月9日~10日)
昨日は夕日を見られたので、今朝は朝日イベントもない。
それが逆に朝の時間をゆっくりと過ごさせてくれる。
朝はやっぱり漁船が多い。
そんな風景を眺めていると、鳥の大きな群れがその形を変えながら、海の上を飛び回っていた。
そんな群れで飛ぶのはムクドリくらいしか知らない。
その群れは背後の森から飛び立っているようだ。
森の中で盛んに鳴いていたのはヒヨドリだったので、それもどうやらヒヨドリの群れのようだ。
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海上を飛び回るヒヨドリの群れ
その群れが突然海面に向かって急降下したと思ったら、そのまま姿が見えなくなった。
「えっ!ヒヨドリって海に潜るのか!」とビックリしたけれど、ヒヨドリは猛禽類に襲われると海面すれすれを飛んで逃げることもあるらしい。
多分、それだったのだろう。
初めて見る光景だったので、とても新鮮だった。
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朝の海は漁船が多い
朝食を済ませ、結露したテントが乾く間に、岬を回り込んで反対側のカレイ広場キャンプ場の様子を見に行く。
夕日を見たかったことと、駐車場からの距離が遠いので、クジラ広場の方にテントを張ったのだが、ロケーション的にはこちらの方が優れている気がした。
サイトの後ろに満開の桜もあって、花見キャンプを楽しめたかもしれない。
でも、昨日見た夕日のことを考えれば、サイトの選択は間違っていなかっただろう。
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桜の花の下にテントを張りたかった
今日は大久野島に渡っての島キャンプの予定である。
小さな島なので、車は大三島の港に置いていく。
バックパッカー装備に切り替えて、午前10時半過ぎにキャンプ場を出発。
肋骨が折れていることもあって、あまり無理をしないような行程にしているのである。
でも、その状態で重たい荷物を背負って大丈夫なのかって気もするけれど、ザックを一度背負ってしまえば歩くのに支障はない。
背負う時だけかみさんに手伝ってもらえば、何とかなりそうだ。
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アーチ橋の大三島橋
そして、再びしまなみ海道で、今度は大三島を目指す。
昨日開山公園から眺めていた大三島橋を渡る。
瀬戸内の島々に架かる大きな橋は、大体が吊橋や斜張橋なので、大三島橋のアーチ橋を渡るのはなかなか新鮮だった。
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アーチ橋は渡る時の見栄えが良い
そして、道の駅多々羅しまなみ公園のレストランで昼食を食べる。
旅の計画の中では伯方島で塩ラーメンを食べることにしていたけれど、その機会は無し。
メニューに鯛塩ラーメンがあったので、迷うこと無くそれを注文。
これでこの付近の食べ物メニューはほぼコンプリートである。
近くから見る多々羅大橋の姿も格好良かった。
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多々羅大橋をバックに記念撮影
大三島での観光は大山祇神社へ。
ここでは、樹齢2600年の御神木や多数の国宝や重文の武具類を展示した宝物館に興味があった。
御神木の方は確かに歴史は感じるけれど、かなり枯れている部分もあり、樹木としての魅力は少ない。
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大山祇神社の総門は平成23年に再建されたばかり
宝物館の方は、源頼朝や源義経が奉納した武具などが展示されていた。
丁度、NHKの大河ドラマでも放送されているけれど、彼らに対してはお話の中の人物というイメージしかなかったので、それに関わる実物の刀等を目にすると、それが本物とは俄には信じられなかった。
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大山祇神社御神木の楠
そして、大久野島行きフェリーが出る盛港までやって来た。
広い駐車場に車を停めると、痩せた犬がヨロヨロと近づいてきた。
私はとっさに、「ここで捨てられた犬が車が来る度に自分の飼い主じゃないかと思って確かめに来るんだ」と思い、可哀想で目を背けたが、かみさんは「ただの野良犬じゃないの」と一言。
その痩せた犬は乳だけが張っていたので、子育てでもしているのだろう。
素性はどうあれ可愛そうなことに変わりはないが、食べさせるものは何もない。
他の車がやってきて、犬がそちらに歩いていったすきに急いで車から降りた。
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背負った荷物の大きさが他の人と全然違う
午後2時40分発のフェリーに乗る。
大久野島は周囲4.3キロの小さな島で、ウサギが多数生息していることで知られている。
休暇村大久野島の立派なホテルもあるけれど、島に定住している人は居ないので、基本的には無人島である。
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フェリーの窓にもウサギの姿が
15分ほどで大久野島の港に到着。
そこでは、フェリーに全員が乗れるのかと心配になるくらいに沢山の人が待っていて、びっくりした。
大久野島への表玄関は広島県竹原市の忠海港なので、この人達は大久野島で遊んで、これから忠海港に戻る人達なのだ。
私達も本当は、数日後に忠海港から大久野島に渡る予定だったけれど、天気が崩れそうなので日程を早めていたのだ。
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大久野島のフェリー乗り場では沢山の人たちがフェリーを待っていた
ここのキャンプ場も休暇村の管理なので、五色台や瀬戸内東予と同じく休暇村のホテルでキャンプ場の受付をしなければならない。
港からホテルまでは900mほどなので、無料シャトルバスを利用。
受付を済ませて、キャンプ場までは500mほど歩いて戻ることになる。
途中でウサギを見かけたが、思っていたほどそんなに沢山は見かけない。
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ウサギも日中は日陰で休んでいるようだ
キャンプ場の周囲はウサギが入らないようにネットで囲われていた。
キャンプしながらウサギと触れ合えるのかと思っていたので、これはちょっと残念だった。
でも、ウサギが自由に出入りできたら、そこら中に穴だらけにされるし、糞もされる。
ネットで囲われているのにサイトにも結構糞が落ちていた。
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車で渡ってくるキャンパーが殆どのようだ
それぞれの区画はかなり広い。
私達なんか小さなテント2張と小さなタープ1張だけなので、広いサイトを持て余してしまう。
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一つの区画がやたらに広い
オートキャンプではないので、他のキャンパーも似たようなものだ。
でも、他のキャンパーは車で渡ってきた人ばかりなので、それなりの装備のキャンプである。
車のフェリー料金は普通車で片道2千円程度なので、オートキャンプ場に泊まることを考えれば、それほど高くは感じないのだろう。
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サイトは広くてもこじんまりとテントを張ってしまう
もっとも、キャンプ料金はフリーサイトが1区画3000円で、管理費は1人600円かかるので、普通のオートキャンプ場並みの料金を取られるので、やっぱり車のフェリー料金は余計な出費である。
キャンプ場にはこのフリーサイトが6区画しかない。
随分贅沢な区画割である。
それが土曜日なのに1区画だけ空きがあったのは本当にラッキーだった。
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サイトと海との間に木製デッキの散策路があるのがちょっと目障り
他には常設テントの手ぶらでキャンプサイトが4区画と、もう少し豪華なおしゃれサイトが1区画あるだけ。
こちらの方はBBQ付きプランで1人11000円~。
それならホテルに泊ったほうが良いと私は思うのだけれど、そちらのサイトも満員だったようだ。
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後ろに見えるのが手ぶらキャンプサイト
そんなサイトを女性一人で利用している人も居て驚かされた。
焚き火用の薪は多分別料金だと思うのだけれど、一晩中焚き火をしても燃やしきれないような大量の薪を用意していて、いったいどんなキャンプをするのかじっくりと観察してみたかった。
風呂は休暇村のホテルに入りに行く。
ホテルは島の西海岸にあるので、こちらからは夕日が見られるが、キャンプ場からは少ししか見えない。
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ホテルまでやって来ると、太陽はかなり低くなっていた
涼しくなってきて、ウサギ達も活発に動き始めたようだ。
午後5時を過ぎると最終のフェリーも出てしまうので、島は静けさを取り戻す。
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ウサギの方から寄ってくるようになってきた
大久野島はウサギの島の他に、毒ガスの島としても知られている。
ここでは戦時中に毒ガスが作られていて、今でもその施設が廃墟として残っているのだ。
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島内には毒ガス製造関連の遺構があちらこちらに残っている
この日の夕食は質素にレトルトカレー。
食器を忘れてきたので、お湯を沸かした鍋でカレーを食べる。
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夕食準備中
楽しみにしていたバックパッカー装備での島キャンプだったけれど、キャンプ場が予想以上に立派すぎて、何となく落ち着かないキャンプの夜を過ごした。