北海道キャンプ場見聞録
炭鉄港カードを集めながら
雨竜沼湿原ゲートパークキャンプ場(7月9日~10日)
停滞する梅雨前線がもたらす令和2年7月豪雨。
北海道まではその影響は及ばないものの、パッとしない天気が続いているのはこちらもも同じこと。
そんな中で2日連続で好天が続くのは貴重なチャンスである。
11年ぶりに雨竜沼湿原へ出かけることにした。
キャンプ場へ向かいながら、月形町の月形樺戸博物館、美唄市のHOTEL BIJIKO、そして安田侃彫刻美術館アルテピアッツァ美唄に寄り道。
その目的は、今年の6月から配布が始まった炭鉄港カードを手に入れるためである。
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旧栄小学校の木造校舎を利用したギャラリー
炭鉄港とは、昨年日本遺産に認定された空知の「石炭」・室蘭の「鉄鋼」・小樽の「港湾」を繋ぐ、鉄道を舞台に繰り広げた北海道近代化の礎となった歴史・産業遺産の物語のことである。
関連する12市町の23ヶ所の施設で、23種類のカードが配布されている。
全部のカードを集めると先着100名にオリジナルグッズがプレゼントされるのだが、それは早々と定員に達してしまったので、後は焦ること無く来年の3月31日まで(カードがなくなり次第終了)ゆっくりとカード収集が楽しめるのだ。
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味わいのある木造校舎だ
前回、雨竜沼湿原に行った時も、その前にアルテピアッツァ美唄に初めて立ち寄っていた。
目的は違っていても、行動パターンは大体同じなのである。
現在は彫刻の展示施設となっている建物は、旧栄小学校の木造校舎を利用したものである。
古い木造校舎と安田侃の彫刻は、お互いにその魅力を高めあっているような気がする。
木造校舎は、この様な芸術作品との相性が良いのだろう。
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校舎の所々にさりげなく作品が展示されている
校舎の周辺も作品の展示スペースとして美しく整備されていて見ごたえがある。
もっとゆっくりと見ていたかったが、この後に向かう赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設のガイド付き見学時間が午後1時半からと決まっているので、それに間に合うように行動しなければならない。
そのために各施設のオープン時間、施設間の移動時間、見学時間、昼食時間と予定を組むのも大変だった。
決められた時間で行動しなければならない団体旅行の添乗員にでもなった気分である。
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昼食は美唄のしらかば茶屋に入った。
私は醤油ラーメンと美唄名物とりめしのセットを注文。
初めて食べたとりめしは予想以上の美味しさで、あっさり味の醤油ラーメンとの組み合わせは最高である。
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おすすめのセットだ
赤平市へは上砂川・歌志内を経由して向かう。
今のように道路網が整備されていなかった時代には、札幌から十勝の実家へ行くのに、この道が最短ルートだった。
新しい道路が出来てからは、殆ど走る機会もなかったので、沿道の風景が何となく懐かしく感じる。
気になりながら今まで一度も立ち寄ったことのなかった悲別ロマン座の建物に寄り道する。
最近は喫茶スペースとして利用されていたこともあったようだが、現在はそれも閉店して、無人の廃墟となりつつあった。
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赤平市交流センターみらいで4枚目のカードをゲットしてから、ガイダンス施設へやってきた。
ガイド付き見学では旧住友赤平立坑の中が見られるのだが、私達はTANtanまつり2015の時に立坑内部を見ていたので今回が2回めとなる。
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旧住友赤平立坑
このガイダンス施設は2018年にオープンしたばかりで、施設の催しとして見学するのは初めてだ。
さすがに2回めともなると、初めて見た時のような感動は薄れるけれど、元炭鉱マンのガイドの方の話が面白くて、楽しめた。
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立坑内部
私達以外の参加者は女性が1名だけ。
女性一人でこんなところを見に来るくらいだから、なかなかのマニアなのだろう。
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女性お二人が試乗中
立坑を出た後は、自走枠整備工場でもガイドさんのお話をたっぷりと聞いて、予定以上に時間を食ってしまった。
今日はキャンプ場に行っても飯を食って寝るだけなので、時間が遅くなっても大して気にはならない。
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大型掘削機に興味津々の女性お二人
逆に、日中の気温が高かったので、何も遮るもののないキャンプ場に早くからテントを張っていたら、身の置き場に困っていたかもしれない。
キャンプ場到着は午後4時半過ぎ。
設営で一汗かいてビールを飲んでいる間に太陽は山の陰に隠れ、もう涼しい風が吹き始めていた。
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午後5時にはもう山の影が伸びてきていた
雨竜沼湿原ゲートパークキャンプ場は11年前に泊まった時は有料だったのに、現在は無料で利用できる。
ただ、登山者からも徴収している環境美化整備協力金(任意)一人500円は変わっていない。
テントを張らせてもらえるだけでありがたいので、それくらいは気持ち良く支払った。
夕食は流行りのメスティンでご飯を炊いて、レトルトのカレーで簡単に済ませる。
今回のキャンプの主目的は雨竜沼湿原、南暑寒岳の登山なので、本当に飯を食って寝るだけのキャンプである。
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午後7時過ぎ、光が当たっているのは上空の雲だけ
蚊やブヨの攻撃を覚悟していたけれど、そんな不快害虫は意外と少なかった。
新しいテントのヴィガスは、メッシュ部分が大きく、スクリーンテント風に使えることもあって虫は全く気にならない。
軽くビールを飲んで午後8時にはシュラフに潜り込んだ。
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夕焼けに染まる雲
翌朝は4時に起床。
テントを出ると、上空の雲が変わった様子に染まっていた。
天気は期待通りに良くなりそうである。
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朝焼け
前回は午前5時10分に登り始めていたけれど、今回はそんなにのんびりしていたつもりは無いのに、登り始める時には午前6時10分になっていた。
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登山準備完了
(この後の登山の様子はこちら。)
登山を終えて午後1時を少し過ぎた頃にキャンプ場まで下りてきた。
昨日登山届を出す時に、午前6時に登って下山予定時刻を午後1時と書いていた。
すると管理人さんから暑寒別岳の往復は8時間かかりますよと言われ、「まあ何とかなるでしょう」と答えていたので、かろうじて面目は保たれたのである。
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戻ってきたらすぐ隣にテントを張られていた、私達は今日で帰るから良いんだけど
撤収を済ませ直ぐにでも温泉に入りたいところだが、この日の温泉はここから50キロ以上ある沼田町のほろしん温泉ほたる館に入る予定だった。
ちょっと遠いけれど、そこで今回最後の6枚目の炭鉄港カードをゲットできるのである。
カードを配布している施設の中で、ここだけがポツンと離れているので、今回カードを手に入れておかないとなかなか来る機会がないのだ。
これからも炭鉄港カード集めを理由に、変わったキャンプ場へ行けそうである。