北海道キャンプ場見聞録
東北の旅(久慈と八戸)
小川原湖ふれあい村(6月20日~21日)
テントも大して結露せず、木々の間から朝日が射し込んでくる中、野鳥のさえずりを聞きながら朝の焚き火を楽しむ。
朝食も早々に済ませ、午前6時半には撤収も完了。
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焚き火を楽しんでから撤収開始
黒崎オートキャンプ場を後にして、最初に向かったのは、昨日見残していた黒崎灯台とアンモ浦展望台。
どちらも国民宿舎くろさき荘の駐車場に車を停めて、そこから歩いて行く。
まずは灯台を目指すが、その手前には巨大な地球儀が回る「北緯40度シンボル塔」などの観光施設がある。
そこから急な階段を降りていった先に黒崎灯台があった。
白い美しい灯台である。
しかし、海抜130mの断崖上に建つ灯台だけれど、周りの樹木が邪魔で展望は良くない。
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下に立つと自動的に地球儀が回転する
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灯台まで急な階段を降りていく
急な階段を登り返し、今度は国民宿舎の建物の脇を通って、アンモ浦展望台を目指す。
こちらもまた、展望台まで急な階段を下っていく。
朝一での急な階段の上り下りはなかなか辛いものがある。
それでも、昨日の黒崎展望台よりは、こちらの展望台からの眺めの方が迫力があった。
断崖絶壁の間を流れ落ちるアンモ浦の滝の姿も印象的だが、こちらも樹木が邪魔で、滝の下の方が隠れてしまっていた。
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アンモ浦展望台からの眺めは良かった
直ぐ近くから人の大きな話し声が聞こえてきて、びっくりした。
それは展望台の下で漁をしている漁船が、仲間の船と無線で話をしている声だった。
遮るものが何もないので、距離が離れていても海上からの声は本当に良く聞こえるのである
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アンモ浦の滝は上の方しか見えない
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朝早くから急な階段の上り下りはきつい
この後、NHKの朝ドラ「あまちゃん」の舞台となった久慈市を目指す。
途中から濃いガスがかかって、せっかくの海の風景が何も見えなくなってしまった。
空は晴れているはずなのに、憎たらしい海霧である。
久慈市までやって来るとガスも晴れたのに、そこから小袖海岸に向かうと、再びガスに包まれる。
小袖漁港(ドラマの中では袖ヶ浜漁港)までやって来ると、あまちゃんロケ地記念碑、じぇじぇじぇ発祥の地記念碑などが出迎えてくれる。
あまちゃんファンとしては、こんな記念碑でも嬉しくなる。
ドラマが放映されていた頃は多くの観光客が押し寄せたのだろうが、今はそのブームも去って訪れる人も少ないようだ。
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まず最初に、ドラマの中でも使われた監視小屋まで登ってみる。
今朝の黒崎灯台やアンモ浦展望台への階段もきつかったが、監視小屋までの登りのきつさは、その比ではなかった。
苦労するだけあって監視小屋からの眺めは最高だったが、ここでもガスのおかげで遠くの風景は霞んで見えない。
再び下まで降りて、ドラマのシーンを思い出しながら、集落の間の坂道を漁港まで歩いてみる。
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ドラマの中ではストーブ君がこの監視小屋から双眼鏡であまちゃんを見ていた
あまちゃん達が素潜りでウニを採っていた海を見ると、ドラマのシーンが見事によみがえってくる。
そこに建っている3階建ての立派な海女センターは、ドラマの放映後に新たに造られたものである。
北限の海女の素潜り実演は7月からなので、この日はまだ閑散としていた。
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ここであまちゃんが潜っていたのだ
3階に軽食コーナーがあり、ここでまめぶ汁が食べれないか聞いてみると、まだやっていないとのこと。
今日の一番の目的はまめぶ汁を食べることといっても良いので、久慈市内で食べれる場所を探さなければならなくなった。
久慈市内へ戻る途中に、海岸の奇岩つりがね洞に寄っていく。
小袖海岸は一車線の狭い道が続くのだが、つりがね洞の前は広い駐車帯があるので、安心して車を停められるのだ。
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つりがね洞の直ぐ近くまで行ってみた
そこで一休みしてから、今度は久慈市内のあまちゃん聖地巡り。
三陸鉄道の久慈駅は「北三陸駅」としてドラマに登場する駅だ。
隣にも立派な久慈駅の駅舎があるなと思ったら、そちらはJRの久慈駅だった。
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派手な久慈駅
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三陸鉄道の鉄ちゃん旅もしてみたい
そして駅前には、ドラマの中で観光協会が入っていた駅前デパートがある。
その古い建物はなかなか良い味を出しているが、駅前再開発で取り壊される話もあるようだ。
ドラマのことは次第に皆の記憶からも消えていくのだろうが、この駅前デパートが無くなってしまうのはとても勿体ない気がした。
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あまちゃんのドラマが無かったら、ただの古いビルだけれど、結構私の好みである
ドラマの中で観光協会に置かれていたジオラマは、現在はあまちゃんハウスの中で見ることができる。
このあまちゃんハウスには、ロケ風景の写真やドラマで使用された衣装などが展示されているが、正直言ってジオラマ以外に見るようなものも無く、ブームが去った後に一番最初に無くなるのはこの施設の様な気がした。
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実際に列車を走らせたら楽しいのだけれど
次に琥珀博物館に向かう。
あまちゃんのドラマの中で琥珀のことが出てこなければ、わざわざ訪れることは無かったと思う
世界各地で採取された琥珀や、琥珀を使った工芸品等が展示されているが、ここも正直言って大して興味が湧かなかった。
おじいちゃんと奇抜な服装の若い女の子の2人連れが来ていて、こんな人たちも琥珀に興味があるのだろうかと不思議に思ってしまう。
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展示物の琥珀
見学コースの最後に売店がある。
観光地のお土産屋の様な店を想像していたら、そこはまるでデパートの宝石売り場だった。
売られているのは琥珀を使ったアクセサリーの類。
店員さんも宝石売り場のそれである。
そこで買い物をしている人達は、この売り場だけを目的に訪れたような人ばかりだった。
先程の不思議な二人連れも、ここで熱心に品定めをしていた。
かみさんの説によると、お金を持っているおじいちゃんが若い女の子にプレゼントするためにここに連れてきたのだそうだ。
道の駅ならばまめぶ汁を食べられるだろうと、道の駅くじのレストラン山海里に入る。
メニューの中にまめぶ汁を見つけた時は本当に嬉しかった。
単品では480円。
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東北の郷土料理の中で一番食べたかったまめぶ汁
それだけではお腹が減りそうなので、セットメニューを探したけれど、あるのは海鮮丼とのセットだけ。
結局それを注文したけれど、私の感覚では、まめぶ汁のおまけに海鮮丼を付けたようなものである。
今回の旅で東北の郷土料理と言われるものを色々食べたけれど、このまめぶ汁が一番好きかもしれない。
クルミの入った甘い団子としょっぱい汁の組み合わせが絶妙だった。
念願のまめぶ汁を食べて、三陸海岸をさらに北上する。
次に訪れたのは種差海岸の種差天然芝生地。
波打ち際まで天然の芝生が続く人気の景勝地がどんなものなのか楽しみにしていたけれど、現地にやってきて言葉が出なかった。
まるで海に面したゴルフ場の景観と何の変りも無いのだ。
違うのは、そこにいるのがゴルファーではなく、ボール遊びをしたり、のんびりと散歩をしたり、シートを敷いてお弁当を食べたりしている人達であると言うことだけである。
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ここにグリーンを作れば完全にゴルフ場だ
私たちも呆然としながらその広々とした芝生広場を海岸まで歩いて行く。
海岸付近にはニッコウキスゲやアサツキなどが花を咲かせ、まるで原生花園のようである。
私が期待していたのはこんな風景だったのである。
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海岸近くには原生花園の様な風景が広がっていた
昔は放牧された馬が草を食べるので自然とこんな草地が出来上がったようだが、現在は馬の代わりに人間が手入れをするようになったので、芝生地としての状態は多分昔より良くなってはいるのだろう。
それが余計に人工的な印象を強くし、ゴルフ場の景観に見えてしまうのかもしれない。
車で更に先に進むと美しい砂浜が広がっていた。
これが大須賀海岸で鳴砂の浜としても知られているようだ。
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ガスがかかっていなければもっと美しい砂浜のはずである
その砂浜を見下ろす小高い丘の周辺は、本当の原生花園の風景が広がっていた。
そこから遊歩道を歩いて行けば葦毛崎展望台があるが、今日はここを歩く時間まではなかった。
更に車を走らせ、八戸の蕪島までやって来た。
ウミネコの繁殖地として国の天然記念物にも指定されているところである。
30年以上前に夫婦で東北旅行に来た時にもここを訪れている。
その時の記憶は殆ど残っていないけれど、今の様な観光地でなかったことだけは確かである。
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みちのく潮風トレイル終点の看板が立つ蕪島
島の上には立派な神社まで建っている。
この神社も津波被害により再建されたのかと思ったが、それとは関係なく火災で焼失したのを再建したようである。
再建工事はまだ続いているようで、階段の手前で通行止めになっていた。
しかし、その階段が通れたとしても神社まで行く気にはならなかっただろう。
何せ、凄い数のウミネコが頭上を飛び交っているので、何時糞の直撃を受けるかも分からないのだ。
近くで写真だけ写して早々に逃げ帰った。
ここは、震災後に新しく作られた「みちのく潮風トレイル」の北の端にもなっている。
ここから南端の福島県相馬市まで総延長は700キロ、そのルートの全てが今年の3月に完成したらしい。
今回の旅でもその極一部を少しだけ歩いていたけれど、このトレイルを歩くのは次の私たちの目標になりそうである。
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この付近にいてもウミネコの糞が降ってこないかビクビクしている
これで、今回の東北の旅の観光を全て終了。
八戸市内で買い出しして、最後のキャンプ地である小川原湖ふれあい村へと向かった。
小川原湖ふれあい村は、電源とテーブルベンチの付いたオートサイトが1500円で利用できる、とてもリーズナブルなキャンプ場である。
整備され過ぎた場内はちょっと味気ないけれど、キャンプするだけならとても快適で不満はない。
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1500円でこのサイトならば全く不満はない
先に場内を見てからサイトを決めることにした。
先客が2組いたので、そこから距離を開け、炊事場等からは遠くなるけれど、眺めの良いサイトを選ぶ。
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キャンプ最後の夜の夕食はステーキ
周辺には温泉も多く、テントを張ってから早速、一番近い温泉旅館水明に出かけた。
小さな旅館だけれど、源泉かけ流しで露天風呂も付いた温泉に250円で入れるのだから最高である。
この日の夕食は、「最後の夜だから」と言ってかみさんがステーキを焼いてくれた。
今回の旅では一度もビジネスホテル等には泊まらず、12泊全てがキャンプで、その食事はかみさんが全て手作り。
毎日設営撤収を繰り返し、キャンプ場のタイプも様々。
そんな中で常に美味しい料理を作ってくれるかみさんには、本当に頭が下がる。(料理の写真はブログで)
サイトからは町の明かりも見下ろせ、カエルの鳴き声も遠くから聞こえ、キャンプ最後の夜を静かに楽しんだのである。
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街の明かりを眺めながら最後の夜を楽しんだ
翌朝は霧がかかって、テントを完全に乾かしての撤収はできなかったけれど、これは家に帰ってから干せば良いだけの話だ。
青森港10時発の函館行きフェリーに乗るため、今日も午前7時過ぎにはキャンプ場後にした。
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朝霧に濡れた蜘蛛の巣が花を覆っていた
今回の旅の中で予定していながら未消化で終わったのは、盛岡で盛岡冷麺を食べることと、青森の三内丸山遺跡に行けなかったことだけである。
それ以外は、予定していた場所を全て回り、雨に降られた日もあったけれど、それで観光できなかったことも無かった。
そして、4月の山陰九州の旅の様に時間に追われて観光地を回ることも無く、大体は午後4時前に余裕を持ってキャンプ場入りすることもできた。
なかなか良い旅ができた気がする。
日本にはまだ行ったことのない場所が沢山残っている。
これからは、こんなスタイルでの旅の機会が多くなりそうだ。