北海道キャンプ場見聞録
東北の旅(鶴岡市と羽黒山)
羽黒山キャンプ場(6月14日~15日)
今日もほぼ定時の朝7時に鳥海高原家族旅行村を後にする。
昨日、キャンプ場へ来る途中に玉簾の滝への案内標識を見かけ、どんな滝なのかと調べてみると、山形県随一の直瀑で、1200年前に弘法大師が神のお告げにより発見、命名したと伝えられているとのこと。
それを聞くと見逃すわけにはいかず、今日の朝一番の訪問となったのである。
そこへ向かう途中、田んぼの水面に映り込む鳥海山の姿を見ることができた。
庄内平野の稲は既に結構育っているので、田んぼの水面は見えなくなってきている。
それがこの辺りでは、標高が高いせいか稲もまだ小さく、おかげで素晴らしい風景を楽しめたのである。

田んぼに映り込む鳥海山
玉簾の滝は、期待以上の素晴らしい滝だった。
緑に覆われた岩壁の中央で真っ直ぐに流れ落ちる滝の姿は、とても端正である。

美しい玉簾の滝
その滝の前に鎮座する御嶽神社は、弘法大師の開基とも言い伝えられ、玉簾の滝をご神体としている。
杉の巨木に周りを囲まれ、玉簾の滝とともに素晴らしいパワースポットとなっている。

杉の巨木に囲まれた御嶽神社も良い雰囲気だ

神社の直ぐ裏に玉簾の滝がある
今日の主な目的地は鶴岡市の加茂水族館と羽黒山なのだけれど、その途中にある酒田市の山居倉庫も旅行ガイドの写真を見て気になっていたので、寄り道していくことにした。

表側から見る山居倉庫
山居倉庫は、酒田米穀取引所の付属倉庫として明治26年に建てられたもので、隣のケヤキ並木とともに独特の景観を作っているのだ。
しかし、その風景は素晴らしいのだけれど、ガイドブックなどに載っている写真と全く同じ風景が見えるだけで、あまり面白くない。
逆に、ガイドブックには載っていない倉庫の表側の風景の方が新鮮に感じた。
時間はまだ午前9時前で、倉庫の一部を利用した資料館や観光物産館はまだオープンしていなく、写真を撮っただけで酒田市を後にした。

ケヤキ並木に山居倉庫は定番の風景
鶴岡市までやってきて、一番最初に入ったのはコインランドリー。
洗濯ものが溜まってきていて、今日、明日に泊まるキャンプ場もランドリー施設が無いので、やむを得ず、街中のコインランドリーを使うことにしたのだ。

物産館の魚売り場、見たことのない魚も並んでいて面白い
この店で驚いたのは、自分の使っている洗濯機の残り時間がネットで確認できるのである。
おかげで、店から車で直ぐの場所にあった「庄内観光物産館 ふるさと本舗」で時間を確認しながらゆっくりと買い物を楽しめた。
店の中をブラブラしていると、出張帰り風の男性が買い物かごに一つの商品を次々と放り込んでいるのを目撃。
何を買っているのだろうと近づいてみると、私たちに気付いた男性は「これ、美味しいんですよ。一度食べると癖になります」と説明してくれた。
その商品は、やわらかくんせい半熟卵「すもっち」。
勿論、私たちも「すもっち」を購入したのである。
洗濯を終えて向かったのが加茂水族館。
この水族館の別名は「クラゲドリーム館」、世界一のクラゲの展示数を誇っているのだ。
その存在は知っていたけれど、旅行前にFB友達がその写真をアップしたのを見て、「これは絶対に見に行かなくては」となったのである。

クラゲドリームシアターの直径5m円形大水槽
普通の魚の展示には目もくれず、真っすぐにクラゲの展示施設「クラネタリウム」へと向かう。
そしてそこで、クラゲの美しさに魅入られることとなるのだ。
水の中でゆらゆらと動くその姿は、何時まで見ていいても飽きることが無い。



途中で定時プログラムの「クラゲのおはなし」が始まり、お客さんはそちらのコーナーに集中する。
クラゲが毒針を出す瞬間を見せたり、面白そうな内容だったけれど、私はそれを聞いている時間も勿体なく、クラゲの水槽を見て回ったのである。



お昼になったので、昼食は水族館の中のレストラン「沖海月」で食べることにする。
かみさんはクラゲラーメン、私は荘内鯛丼。
どちらも美味しく、満足して水族館を後にした。
そして午後から向かうのは羽黒山。
羽黒山、湯殿山、月山は出羽三山として日本有数の修験の山として知られている。
今回の旅では湯殿山にも行く予定だけれど、さすがに月山は本格的な登山となってしまうので、登るのは無理。
羽黒山の山頂にある出羽神社には三神合祭殿があるので、ここに参拝すれば一応は出羽三山を回ったことになるらしい。

去年建て替えられたばかりの羽黒山大鳥居
しかし、出羽神社までは2446段の階段を登らなければならない。
石段の数は日本一で、香川県琴平町の金毘羅神宮奥社までが1368段で2位、3位は京都の伏見稲荷大社で1276段で3位らしい。
2位と3位のどちらも登ったことがあるけれど、きつい階段であることに変わりはない。
それが羽黒山の階段はその2倍近いのである
おまけにこの日の鶴岡市の最高気温は30度。
その暑さの中で2446段の階段を登ると考えると、さすがに尻込みしそうになる。
車で上まで行くこともできるが、勿論そんなことはしない。
ふもとの駐車場に車を停めて、いざ出発。
と思ったら、途中で御朱印帳を忘れたことに気が付き、車まで取りに戻る。
これで大丈夫と思って歩き始めると、今度はカメラを忘れたことに気が付き、再び車まで取りに戻った。
登り始める前に疲れてしまう。

いきなり下り階段から始まってガックリ
そしていよいよ随神門をくぐって、ここから登りが始まる。
ところが、随神門の先には、いきなり下り階段が続いていてガックリした。
しかも、かなりの高低差を下っていくのである。
この段数も多分2446段の中に含まれているのだろうから、登る段数がその分少なくなる。
と思ったけれど、最後はここを登らなければならないのだから、疲れが溜まったところでの登り階段は結構辛そうである。
階段を下りきったところで祓川に架かる神橋を渡る。
その先には推定樹齢千年以上の爺杉、そして国宝の五重塔と見どころが続く。
一般の参拝者はここで五重塔を見た後、一旦引き返して、車で山頂の駐車場へと向かうみたいだ。
それでもやっぱり、ある程度の階段は登らなければならない。

神橋を渡る

爺杉にご挨拶

杉林の中に建つ国宝五重塔
五重塔を過ぎるといよいよ急な石段が現れる。
これが一の坂で、この先山頂まで二の坂、三の坂と続くらしい。
階段を登るのは確かにきついけれど、参道の両側には樹齢300~600年の立派な杉が生い茂り、その風景がきつさを忘れさせてくれる。
その杉が陽射しを遮ってくれるので、暑さもそれ程こたえない。

杉の巨木に囲まれた一の坂
しかし、次第にかみさんから遅れ始め、そのうちに姿も見えなくなってしまった。
お互いに励まし合いながら急な階段を登っていく老夫婦を追い抜いた。
これが普通の夫婦の姿なのだと、羨ましくなってしまう。
毎度のことながら、かみさんはそんな優しい気持ちは持ち合わせていない。
私のペースに合わせていたら疲れてしまうとばかりに、自分のペースでさっさと登っていくのである。

二の坂が始まる
二の坂から三の坂の間には暫く緩やかな傾斜が続く。
この辺りでは他の区間よりも杉の巨木が多く、それが両側に並ぶ様子は圧巻である。
その風景を一緒に楽しむ相手も無く、最後の三の坂を一人寂しく登っていく。
坂の上では、かみさんがカメラを構えて待っていた。

ようやく2446段の階段を登り切った
そしてようやく羽黒山山頂の三神合祭殿に到着。
五重塔やこの三神合祭殿では、平成から令和へ変わること等を祝って、特別公開が行われていた。
そのために、工事用の単管で作った仮設の通路が建物の横に作られていて、それがとても目障りである。
やっぱり、羽黒山参拝のハイライトは2446段もの石段が続く参道の風景だった。

三神合祭殿
下山は少し余裕があるので、この参道から分岐した先にある南谷まで足を延ばしてみた。
松尾芭蕉もそこに六日間逗留して「有難や 雪をかほらす 南谷」の句を詠んだそうである。

南谷の東屋で一休みしたかったが蚋が酷くて直ぐに引き返す
しかし、参道から分岐する500mの小道はほぼ平坦だったものの、蚋が酷くてのんびりと歩いてもいられない。
前を歩いているかみさんの周りには大量の蚋が群がっていた。
南谷での撮影も早々に切り上げて、走るようにして戻ってきた。
参道でも蚋が飛んでいたが、こちらの方は全く気にならないくらいだ。
爺杉の前で幼稚園児の集団とすれ違う。
まだ小さいのに、ここの石段を全く苦にせずに歩いている姿が印象的だった。
今日のキャンプ地は、ここから直ぐの羽黒山キャンプ場である。
このキャンプ場は、休暇村庄内羽黒の一部で、オートサイト一区画2060円、管理費が一人510円と、比較的安く泊まることができる。
そして嬉しいことに、去年完成したばかりの温泉にも入れるのだ。
テントを張り終えると直ぐに休暇村の温泉に入って、羽黒山参拝でかいた汗を洗い流す。
温泉は午後6時から幼稚園の団体で貸し切りになると言われたけれど、爺杉の前ですれ違った園児達が今日はここに泊まっているのだろう。

この池からカエルの大合唱が聞こえてきた
夕食は鶴岡市の物産館で買ってきたレトルトの「米沢牛入り芋煮」、そして山形のソウルフード「玉こんにゃく」。
山形らしいメニューである。
ビールのつまみは、同じく物産館でお客さんに勧められて買った「すもっち」。
これはまあ、普通の燻製卵って感じだろうか。
暗くなってくると、場内の池からカエルの大合唱が聞こえてきた。
風情があるというよりも、これはもう完全な騒音のレベルである。
寝る時には耳栓をするしかなかった。

空におぼろ月
かなり丸くなった月が、おぼろ月となって空に浮かんでいた。
風が吹いているけれど、今夜は寒さは感じない。
天気が崩れる前兆だろう。
明日はいよいよ、東北入りしてから初めての本格的な雨になりそうだ。