北海道キャンプ場見聞録
これが本当の雪中キャンプ
旭岳山麓(3月16日〜17日)
年に一度は冬のキャンプに出かけたくなる。そのチャンスをずーっと窺っていたのだが、なかなかその機会に恵まれず、このままでは雪中キャンプができないままに春を迎えることになりそうだった。 私の頭の中では、流氷キャンプも候補に上がっていた。 そうしてやって来た、旭岳ロープウェイの駐車場。 ロープウェイ駅舎の中に置いてある入山届を見ると、前日に裏旭で野営をした人がいたみたいだ。 旭岳山麓での冬のキャンプは今回が4回目。 かみさんは、ザックの中身に余裕があるからと、重さなど気にしないで荷物を詰めていた。 森の中を滑り降りてきたトレースが有ったので、スキーコースから離れてそのトレースの中を歩くことにした。 次第に雪もちらつき始める。 雪の降りもますます強くなってきた。 無理を言って連れてきた手前、かみさんがへそを曲げない様に面倒を見なければならないのだ。 今回の野営予定地は、4年前のキャンプの際に見つけた展望抜群の場所である。 しかし今回は、膝までの雪を一人でラッセルしながら歩かなければならない。 そうしてようやく見覚えのある場所に到着した。 降りしきる雪の中でのテント設営。 設営を終えてテントの中へと入る。 |
今回の野営地 | 本当はもっと絶景が広がっているはず |
お互いのテントの中を整理し終えた後は、私のテントの中でビールを飲む。 しばらくすると雪も止んできて、ようやくテントの外に出ることができた。 雪原の中にぽっかりと穴が開いているところがあり、穴の底には笹が茂る地面まで見えていた。 |
お山の大将? | ここに落ちたら一人では這い上がれないかも |
直ぐにまた雪が降り始めて、テントの中に避難する。 家で寝ている時よりも熟睡して目が覚めた。 しばらくして再び「わー、月が綺麗」の声。今度は、気合を入れてシュラフから抜け出し、外の様子を窺う。 |
満月の姿を写し損ねた |
蓑虫状態のかみさん | 夜に降った雪はこの程度 |
雲の流れも速いので、直ぐにまた姿を現すだろうと待っていたが、雲はますます広がるばかり。 「今日は天気が良くなるんじゃない?」 朝食はキムチ鍋の残りを使ったうどんと雑炊。 |
東の空まで雲が広がってしまった | 湯気を立てるキムチうどん |
食後はスマホのレーダー画面とにらめっこである。 「後1時間で止むかな〜?」 テントの外の様子を窺うが、相変わらず降り続ける雪。 「う〜ん、後20分!」 結局この朝、雪雲が上空を通り過ぎるまで2時間半、テントの中に閉じ込められていたことになる。 テントから出ると、周辺は今度は濃い霧に包まれていた。 昨日歩いてきたトレースは夜の雪と朝の雪で半分くらい埋もれかけていた。 期待していた満月や朝日も見られず残念なキャンプだったけれど、その分、冬のキャンプの醍醐味は十分に満喫できた気がする。 |
白い森の中を歩く |
森の中は白一色 | おとぎ話の国に迷い込んだ気分 |
ぼくが冬のキャンプに求めるものは、非日常の世界である。 ロープウェイ駅までもう少しというところで、上空の雲の隙間から太陽が姿を現し、真っ白な森を一瞬だけ美しく照らし出した。 山を下りた下界には青空が広がっていたけれど、後ろを振り返ると大雪の山々は未だに雲に隠れたままであった。 |
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