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尻別川

(中野橋〜羊蹄大橋)

カヌークラブ8月例会は尻別川のラフトコースを下る。
参加者は18名と、今年に入ってからは4月の千歳川例会に次ぐ人数の多さである。
ゲスト参加が5名なので、それを除けば何時ものメンバーばかりと言えるけれど、それでも数年ぶりに一緒に川を下るO川さんとか、4月の千歳川以来のC葉さんとか、たまに参加してくるメンバーと顔を合わせるのも楽しいものである。


集合写真

中野橋を後にして本州の方はまだ夏休みが続いているせいか、8月最後の日曜日もラフトの方は大賑わいである。
お客さんを沢山乗せたラフトが一度に10艇以上も出ていくので、途中でそんな集団とぶつかってしまうと、全部が通り過ぎるまでしばらく待たされることになる。
まずは中野橋の下でラフトの団体さんを見送った後、私達のグループがスタートする。

発電所の放水口からの放流により水が一気に増えて、そのまま、川の中に岩がポツンポツンと顔を出す流れへと入っていく。
今回のゲストの中の1名は、カヌーも川下りも全く初めての女性である。
クラブのメンバーのダッキーを借りてのチャレンジで、まずはダブルブレードパドルでの漕ぎ方を陸上で教えてもらうところから始まる。

おじさん達に見守られて下るダッキーラフトが下るくらいの川なので、決して易しい流れではないのだが、ダッキーならば何もしないで乗っているだけで結構な瀬のある川でも下れてしまうのだ。
それに、優しいおじ様たちのサポートを一身に受けられるので、全く心配はないだろう。

久しぶりに水のたっぷりとある川を下っている気がする。
昨日は水の少ない白老川で必死の岩避けが続いた。
一週間前には尻別川のもっと上流を下っていたが、水の量はここよりもずっと少ない。
過去にここを下った時と比べても、今日は水量も多めのような気がする。
その分、邪魔な岩の数は減っているけれど、流れが早くて初心者にはちょっと厳しそうだ。
早速、ゲストの中の1艇が沈脱。
川幅が広いので、岸に上がるまで結構な距離を流されていた。

岩に乗り上げたダッキーを救出ダッキーの彼女は、岩に何度か引っ掛かっていたけれど、おじ様達に助けられながら何とか下っている。
我が家も、岩に引っ掛かったダッキーを、かみさんがカヌーから身を乗り出しながらすれ違いざまに引っ張って救出。
こちらの方がバランスを崩して沈しないかと冷や冷やしてしまう。

その岩の多い場所の最後に、結構な波の立つ瀬が待ち受けている。
我が家でもドキッとするくらいの波の高さだったが、ここは誰も沈することなく通過。
ゲストの皆さんも、頭の上から水を被って、スリリングな瀬を楽しんでいた。


波に翻弄されるC葉さん   瀬を下るmarioさん
波に翻弄されるC葉さん達   瀬を颯爽と下るmarioさん

そこでまた、大量のラフトの通過待ち。
このラフトには若い女性が大勢乗っていて、瀬に入る度に「ワーッ」、「キャーッ」と、とても賑やかである。
ラフトを楽しむ女性達せっかくお金を払って乗るラフトなのだから、楽しまなければ損である。
男性客はむっつりした顔で乗っている人が多く、それと比べると、彼女たちは払ったお金の元を十分に取っているように見える。
ガイドの方も、これだけキャーキャー言ってくれたら、ガイド冥利に尽きるだろう。

そのラフトガイドだけれど、これだけ沢山のラフトが続けて下ってくるのを見ていると、ガイドによってそのスキルが全く違うことが良くわかる。
上手なガイドは、流れの中でラフトを何回転もさせて、お客さんをキャー、キャー言わせているのに、下手なガイドはわざわざ(と言うか、本流から外れてしまったのか)チキンコースを下っているのである。
チキンコースを下るラフトなんて聞いたことがない。私の方がまだ、ラフトを上手に操れそうな気がする。
人手不足の時はアルバイトで雇ってもらって、若い女の子をキャー、キャー言わせるのなんて、とっても楽しいかもしれない。

最初に沈脱した彼が再び沈。
今度は岩にぶつけたらしく、手や腕の所々を擦りむいていた。
今日は気温も高いけれど、安全のためには長袖やグローブも必要装備と言えるだろう。
大した傷じゃないけれど、かみさんが心配して絆創膏を貼ってやっている。
まるで子供の世話をしている様に見えるが、年齢的にも親子ほど離れているので、その通りとも言えそうだ。

二人が沈した瀬ちょっと癖のある波の立っている瀬があった。
ゲストの一人がそこで沈。
近くに適当なレスキューポイントが無いので、カヤックは別の人に引っ張ってもらい、人間の方は私のカヌーにつかまってもらって、近くの小さな川原まで送り届ける。

その次にC葉さんも同じような場所で沈。
レスキューも大忙しで、また同じ要領で川原まで送り届ける。
C葉さんは久しぶりの沈でダメージを受けているかなと心配していたが、我が家のカヌーにつかまりながら他のメンバーのカメラに向かって手を降るだけの余裕があったようである。

昼の休憩はもう少し下った先の川原でとる予定だったが、沈脱者が2名も出たのでそのままここの小さな川原で休憩にすることにした。
岩場の川岸の横に僅かにできた小さな川原に全員が上陸して休憩する様子がなかなか面白い。


余裕のあるC葉さん   小さな川原で休憩
まだ手を振る余裕のあるC葉さん   小さな川原は大混雑

青空が広がってきた次第に青空が広がり、雲に隠れていた羊蹄山もその全容を現してくる。
気持ちの良い川下り日和である。

二股の瀬の手前では、全員が一旦上陸して瀬の様子を確認する。
二股の瀬を下見してから下るのは本当に久しぶりの様な気がする。
多分、私たちがこのクラブに入ったばかりの頃に下見をした時以来かもしれない。
今回、二股の瀬を初めて目の前にして緊張する人たちの様子を見ていると、当時の自分たちの姿を思い出してしまった。
その時は、現クラブ会長のO橋ファミリーと一緒に、二股の瀬を前にして喉がカラカラになるほど緊張しまくっていたのである。
それが今は、二股の瀬の一番波の高い場所に好き好んで突っ込んでいくのだから、随分と進歩したものだ。

二股の瀬を楽しく下る結局、ここでは誰も沈しないで二股の瀬をクリア。
波が大きいだけで沈することはあまり無い。
意地悪な岩とか、捻じれた落ち込みとか、沈を誘発する場所は思わぬところに隠れていることが多い。

二股の瀬の先でゲストの一人が3度目の沈。
彼は他のゲストと違って、以前は別のクラブにも所属していたことがある経験者なので、あまり心配はしていなかったが、尻別川の罠に何度もはまっていた。
ここでは、カヌーを流してしまい、おまけにパドルは水中の何処かに突き刺さったようで、自分自身もそのパドルから下に流されてしまった。
これはパドルの回収に手間取るかなと思ったら、流された彼は岸伝いにパドルの上流まで歩いて行き、そこから川に飛び込んだ。
そのままパドルに向かって流されてきて、引っ掛かったパドルを何とか引き抜いて、そのまま下流へと着岸。
パドルが刺さると言うことは、人間の足も嵌ってしまう恐れがあり、あまり感心したやり方ではないがとりあえずはパドルは回収できた。


二股の瀬を下る
カヤックは頭の上から波を被りながら二股の瀬を下る

川から眺める羊蹄山そこから先は、羊蹄山の姿を眺めながらのんびりと下っていく。
このままゴールまで行き着くかと思っていたら、前方に本流が真っ直ぐにテトラの護岸にぶつかっている嫌らしい流れが見えてきた。

その手前の瀬で一人のカヤッカーが遊んでいた。
K岡さんの知り合いらしく、K岡さんは流れがカーブしていく方向とは逆のエディに入って彼に近づく。
私も、何となくその彼の顔を見たことがあったので、K岡さんの後に続いてそのエディに入ることにした。
しかし、流れが速いので、一生懸命漕がないとテトラに吸い寄せられそうになる。
何とかエディに入れて、ホッとして後ろを振り向いた瞬間、唖然としてしまった。
ゲストで参加していた皆さんが、そのまま私達の後に続いて、こちら側に来ようとしているのだ。
「何でこっちに来るわけ?」
と思ったけれど、彼らにしてみれば前を下っている人を信じてその後に着いてきただけなのである。
本当はテトラを安全に避けるためには、私たちが下ってきたのとは反対側に、早めに本流から抜け出さなければならないのだ。

案の定、テトラにぶつかって次々に沈をする。
でも、そのまま下流にすんなりと流されていったのでホッとした。
ところが、その次のC葉さんがやばかった。沈した後にテトラの隙間にカヤックごと入ってしまったのだ。
そして、ひっくり返ったカヤックの底だけしか見えないまま、しばらく時間が経過する。
「まずい!」
そう思った時、ようやくC葉さんの体が浮かんできて、テトラから離れて流され始めた。
大事にならずに済んだから良かったけれど、これは真面目に反省しなければならない失敗だったと思う。

幾筋もの滝の流れ落ちる絶壁見上げるような絶壁から幾筋もの滝が流れ落ちている。
崖を削り取るように流れ落ちるものや、崖の途中から湧水となって流れ落ちるものなど、様々である。
ここは何度か下っている筈なのに、初めて見るような気がする。
多分、下る度にその風景に感動しているので、そんな気持ちになるのだろう。

そうして、車を回してあった羊蹄大橋上流の川原に到着。
以前下った時と比べると、そこの様子もすっかり変わっていた。
自然の川は下る度に新しい刺激をもたらしてくれるのである。

2012年8月26日 曇りのち晴れ 
当日12:00尻別川水位(倶知安観測所) 167.24m 



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