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美瑛川

(新開橋〜両神橋)

 カヌークラブの6月例会二日目は美瑛川である。
 前日からのキャンプ地であるひがしかぐら森林公園キャンプ場を出発して、この日の集合場所である美瑛川の新開橋へ向かった。
 前日の忠別川を下ったメンバーが5名も帰ってしまって、寂しい例会になるかなと思っていたら、今日は新たに5名の参加者があり、結局は昨日と同じ13名となった。
 カヤックが減ってカナディアンやダッキーが加わり、昨日と比べたら何となくのんびりモードになっている。
 例会で、ベテランが楽しめる川と初心者でも気軽に参加できる川を組み合わせるのは、意外と良いのかもしれない。

集合写真 今日のゴールは旭川の中心部に近い両神橋なので、車の回送にも結構時間がかかかる。
 途中で雨が降り始め、一時は本格的な降りになったが、スタートする頃にはその雨も止んでくれた
 昨日は大雨による増水で真っ茶色に濁っていたという川も、今日は灰色の濁り程度まで回復し、これならばギリギリで沈も許せる状態だろう。
 まだ水位は高そうだが、流れは穏やかである。
 たまに波立つ場所があっても、初心者が適度に緊張できる程度の波である。
 岸の風景を眺めながらのんびりと下る。
 途中の河川敷にはパークゴルフ場があって、プレーしている人達がこちらに気づいて手を振ってくれる。
 カヌーとは全く関係ない人達とのこんなコミュニケーションも良いものである。


ちょっとドキドキできる瀬   のんびり下る
ちょっとだけドキドキ   のどかな川下り

堰堤 やがて最初の障害物の堰堤が現れた。
 5年前に1度だけここを下った時はゲートが開いていて、そこを通過することも、堰堤から直接舟を降ろすことも可能だった。
 今回はゲートが閉じてポーテージするしかない。
 右岸か左岸か迷ったけれど、右岸に釣り人がいたので左岸に上陸することにした。
 右岸の方は自然のままの川岸に近いが、左岸はコンクリート擁壁や柵が設けられているので、まずはそれらの施設の手前に上陸する。
 昨日の300mポーテージもきつかったけれど、このポーテージも結構大変だった。
 密生したクマザサをかき分けてカヌーを運ぶ。洪水時にはその辺りまで水に浸かったらしく、クマザサには泥が付着していた。その中を歩くものだからドライスーツは泥まみれだ。
 コンクリート擁壁では皆で協力してカヌーを1台ずつ引き上げる。


ポーテージ   ポーテージ
藪の中からカヌーを引き上げる   協力し合ってポーテージ

堰堤越えの途中で休憩 今日もまたそこで体力を使い果たしてしまい、そのまま昼の休憩となった。
 この堰堤の下流がちょっとした瀬になっている。
 昨日の忠別川でフラストレーションが堪っていたので、ようやく少しはそれを解消できそうな瀬だった。
 その下流が瀞場になっているので、沈も気にせずにチャレンジできるのである。
 休憩を終えて早速、その瀬を気持ち良く漕ぎ下った。
 今日から参加しているJOさんとC葉さんの女性陣も果敢にチャレンジして、そして見事に轟沈。
 JOさんの乗っているダッキーは滅多なことでは沈しないと言われているが、私もダッキーが沈するのを初めて見ることができた。
 JOさんはクラブの例会では初めての沈だったけれど、それ程ショックを受けた様子はない。
 これでようやく一人前のパドラーの仲間入りである。


堰堤下の瀬   堰堤下の瀬
障害物もなく素直な瀬である   C葉さん、もう少しだったのだけど

瀬で遊ぶ その先はミニナイヤガラの滝まで難所はないけれど、増水しているおかげで所々に遊べそうなウェーブができていて、カヤック勢も退屈しないで下れている。
 今日はF本会長に先頭をお願いしてあったのに、途中で楽しいウェーブを見つけると、あっさりとその役割を放棄してしまう。
 まあ、最初にお願いした時からそうなることは目に見えていたので、私が先頭を下ることにした。
 川幅一杯に1〜2m程度の垂直の落ち込みになっているミニナイアガラの滝は前回もポーテージした場所なので、その手前で上陸しなければならない。
 はっきりとした場所を覚えていないので、前方に注意しながら下っていく。


美瑛川を下る
瀬もあって景色も良く楽しい川下りが続く

 やがて、ちょっとした瀬が見えてきたけれど、他に危険な場所は無かったはずなので気にしないで下り続けた。
 ところが近づくに従ってちょっと様子が変なことに気がつく。そして横一列の落ち込みを目の前にして、ようやくそこがミニナイアガラの滝であることを知ったのである。
落差の無くなったミニナイアガラの滝 増水によって本来の滝の落差が潰れてしまい、普通の瀬のように見えていたのだ。
 ただ、落差が無くなった分、そのまま通過できそうだったのでそのまま進むことにした。
 「何処へ行けば良いのよ!」と前で悲鳴を上げるかみさんに「このまま真っ直ぐだ!」と声をかけ、岩にぶつからないような場所を探して下り抜ける。
 そしてその下流の浅瀬にカヌーを乗り上げ、直ぐに後続のメンバーに左に寄るように指示を出す。
 その落ち込み自体は大したことは無いが、問題はその下流に待ち構えている瀬である。
 上流からでも波が高くなっている様子が分かり、下見なしで突入するにはリスクを伴いそうだ。
 まして、その前の落ち込みで沈でもしたらレスキューのしようもなく、下流の瀬まで流されるだろう。
 危うくC葉さんがそのまま流されそうになったけれど、何とか全員無事に瀬の手前の浅瀬に上陸できた。
 近くに寄って瀬の状態を確認したかったけれど、歩いては近づくことができない。
 一番後ろから悠然と下ってきたF本会長を見てI上さんが「よし、F本に行かせてみよう」と言う。それじゃあまるで人体実験、酷い話しである。
 私が、安全に下れそうなルートをF本さんに指示していたら、F本さんは左岸よりのヒーローコースに進みたがっているので、そのまま行ってもらうことにした。
 皆が上流から見守る中、慎重に下っていって瀬に突入するF本さん。スッと沈んだ様に見えたが無事に持ちこたえている。そしてまたスッと沈んで、今度は姿が見えなくなった。
 「あれ?どうした?」と思った途端、舳先を天に向けて波の中から飛び出てきたF本さんのカヤックは、そのままもんどり打って再び波の中に消えていった。
 「おぉ〜、すげぇ〜」
 当然ロールで起き上がるのだと思っていたら、しばらくしてからカヌーから離れた場所にF本さんの頭が浮かび上がった。
 「沈脱〜!」
 初めて見る会長の沈脱シーンだった。


ミニナイアガラの滝下の瀬で遊ぶ 岸に這い上がってから、こちらにOKサインを送ってくるF本会長。
 「沈脱しておきながらOKも無いもんだ」と思いながら皆も後に続く。
 ただし、会長が下った左岸側のコースには誰も向かわず、中州を挟んだ右側のルートを下っていく。
 そして私も皆の様子を見ながら右側を下って難なくクリア。
 C葉さんとJOさんさんは素直にポーテージして、結局ここで沈したのはF本会長一人という結果に終わったのである。

 この先はもう何もないからと言って下り始めた直後、流れが左岸の護岸に寄っている場所があった。
 そこから離れて下れば全然問題ないところだけれど、油断していると護岸に押しつけられてしまう。
 ちょっと気になったので途中で止まっていたら、案の定、C葉さんが沈をした。
 人間は直ぐにレスキューできても、流されるカヤックを回収するのは意外と難しい。他のカヤックで岸に向かって押していくしかないので、エディの無い流れでは大変である。
 何とか徒歩圏内でカヌーを回収できて事なきを得た。
 その後は本当に何もなく、緩やかな流れが続いているだけだ。こうなると直ぐにO橋さんが「退屈だ〜!」と騒ぎ始める。
 でもちょうど良い頃合いで、街の風景が目の前に広がってきた。
 適度に緊張しながらものんびりと下れる美瑛川。
 川の水は濁っていてもそれなりに楽しめる川である。

2011年6月12日 曇り
当日12:00 美瑛川水位(西神楽観測所) 134.76m


旭川の街の中まで下ってきた   川下が終了
旭川の街の中まで下ってきた   楽しかった川下りもこれで終わり

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