昼食のため途中の川原に上陸したけれど、風がまともに吹きつけてくる場所なので、ゆっくりと休んでいられそうにない。
でも、この区間では休むのに適当な川原もほとんど無いので、我慢してそこで小休止することにした。
じっとしていると体が冷えそうなので立ったままでおにぎりを食べる。
ドライスーツの下には何時もより1枚多く着込んだつもりだったけれど、それでは足りなかったようだ。
そして濡れたパドリングシューズからも寒さが体の中に伝わってくる感覚である。
パドリンググローブはまだ濡らしていないけれど、指先の無いタイプなので、体を温めることにはあまり役に立っていない。
体が冷える前に再び下り始める。
留産橋の下流には川を横断するように石が並べられている場所が何箇所かあり、水が少ない時は上流からその石が見えるけれど、今日は全て水の中に隠れているので、知らずに近づくと痛い目に遭いそうだ。
その後はポーテージが必要な堰堤まで、これと言った瀬も無く、向かい風の中を黙々と漕ぎ進むだけである。
この堰堤では過去に死者が出たことも有ったそうで、水量の増えている今回はちょっと心配していた。
しかし、その上流部は流れも緩く、余裕をもって上陸することができ、苦労するのは重たいカナディアンを堰堤の下流まで運ぶことだけである。
そこの護岸に張られたコンクリートブロックが少しだけ温まっていたので、そのブロックの上にへばり付いて暖をとるメンバーまで出てきた。
冷え切った川から上がると、冷たいコンクリートブロックまでが暖房器具に見えてくるのである。 |