雨が小降りになったところで昼食タイムの休憩となった。
上陸すると、そこには当別ダム建設予定地と書かれた看板が立てられていた。ダムの本体工事はもっと下流の方で始められているが、ダムが完成するとこの付近も水没するのかもしれない。
この当別ダムについては計画当時から反対運動が強く、公共事業の見直しによりダム事業の再検討も迫られていたようだが、規模を縮小して建設することが最近になって決まり、2012年の完成を目指して工事が進められている。
水没農地の用地交渉は当初計画に基づき行なわれて、現在は流域の住民も全て退去しているとのことである。
この様な状況なので、先ほどの様な吊り橋も撤去する必要も無く残されているのだろう。
いずれにせよ、数年先にはここをカヌーで下ることも出来なくなってしまいそうだ。
この先は川の様子をしっかりと目に焼き付けながら下ることにしようと気持ちを新たにして、再び下り始める。
何となくそれほど瀬のない川だろうと思っていたのだけれど、意外なほど次々に瀬が現れて楽しませてくれた。
増水気味なので、カヌーの底を擦る心配も無く、気持ちよく下ることができる。
遊べそうな小さなウェーブもところどころに有るのだけれど、先頭グループがどんどんと先に行ってしまうので、遊んでいる余裕もない。ロングツーリングなので、皆、先を急いでいるようだ。
やがて瀬も無くなり、穏やかな流れが続くようになってきた。GPSと地図で確認すると、ゴールまではまだ距離がある。
腕の筋肉にもそろそろ乳酸が溜まってきたみたいだ。
川はそれなりの流れがあるので、無理して漕がなくてもそのまま進んで行くのだけれど、他のメンバーが一生懸命に漕ぐものだから、こちらも休んでいるわけにはいかない。
この様な流れの中では、カヌーの中でゆったりと体を伸ばしてその自然環境の中に身を預けながら下るのがカナディアンの楽しみ方である。
カヤックやOC-1に乗っているメンバーはホワイトウォーター志向の人が多いので、この様な緩やかな流れは苦痛でしょうがないらしい。
それに、空模様もますます怪しくなってきたので、余計に先を急いでしまう。
そうしてようやくゴール地点に到着。
川を下り終えるのを待っていてくれたように雨脚が強くなってきた。
どうせならば、もう少しだけ待っていて欲しかった。ほとんどの車はスタート地点に停めてあるので、これからそれをとりにいかなくてはならないのだ。
30分ほどかけて戻ってくる間にも雨はますます激しくなり、その間ゴール地点で待っていたかみさんはずぶ濡れになっていた。
雨に打たれた今回の当別川だったけれど、初めて下る川の緊張感に、程よい瀬と早春の美しい河畔の風景を楽しみ、軽く疲労を感じる程度の下り終えた後の達成感も味わい、本当に充実した川下りだった。
2007/5/13 曇り時々雨 |