途中の川原で昼食タイムにする。
ドライスーツのファスナーを開けると、中に着ていたTシャツは汗でびしょ濡れになっていた。ドライスーツを着なくても良いのは、北海道では真夏の一時期だけだろうと思っていたけれど、やっぱり暑い時期に川を下るためのウェアも欲しくなってしまう。
釣り人がやって来て、もの珍しそうに「何処から下ってきて何処まで行くのですか?」と聞いてきた。説明すると、目を丸くして驚いている。尻別川や歴舟川でこのようなことを聞かれることはまず無いけれど、ここ美瑛川ではカヌーはまだ珍しい存在みたいだ。
再スタートして穏やかな流れの中を下っていくと再び前方から大きな瀬音が聞こえていた。周りの風景を見ると、どうやらそこが旭川カヌークラブの写真に写っていた落ち込みらしい。
各自が右岸、左岸に別れて上陸。私は左岸側に上陸した。
そこは、写真で想像していたものよりもはるかに落差のある落ち込みだった。
1〜1.5mの程度の落差だろうか。それが川幅一杯に広がっていて、まるでミニナイアガラの滝みたいだ。
岩がゴツゴツと飛び出しているので、カヌーで降りられそうなのは一箇所だけ。それも真直ぐな落ち方でないのが嫌らしい。
落ちた後は滝壺のバックウォッシュに巻き込まれるか、沈したまま直ぐ下流の岩だらけの瀬の中に流されていくか。
両岸からお互いに、腕をクロスさせて×マークを送り合い、全員がそこをポーテージすることにした。ポーテージは左岸側のほうが簡単だ。流れが無い場所で直接カヌーを落差の下に降ろす。
そこからもう少し下流までカヌーを下げれば安全に下れるけれど、面倒なのでN南さん以外はそこからカヌーに乗り込んだ。
岩が多くてカヌーで下れる場所は右岸側にしかないので、そこから滝つぼの中を横断していかなければならない。ナイアガラの滝の滝壺の中を進む観光船(そんなものが有るかどうかは知らないが)に乗っている気分である。
そんな場所でカヌーに乗るのは初めてで、川の水も下から湧き上がってきたり渦巻いていたりと複雑な流れになっているのでとても緊張する。やっとその出口までたどり着いたけれど、そこもまた結構な瀬になっている。
そして何とか無事にそこをクリアすることが出来た。
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